LESSON #00
文字と発音
Betűk és kiejtés
この話で学ぶこと
ハンガリー語のアルファベット
まずはアルファベットから。アルファベットとその読みかた、発音の方法を表にまとめました。下にアルファベットひとつひとつの発音を解説している動画を張っておきました。
アルファベット | 読み方 | 読み方の発音 | 文中での発音 |
А а | ア | [ɒ] | [ɒ] |
Á á | アー | [ɑː] | [ɑː] |
В b | べー | [bː] | [b] |
C c | ツェー | [tseː] | [ts] |
Cs cs | チェー | [tʃeː] | [tʃ] |
D d | デー | [deː] | [d] |
Dz dz | ヅェ― | [dzeː] | [dz] |
Dzs dzs | ジェー | [dʒeː] | [dʒ] |
E e | エ | [ɛ] | [ɛ] |
É é | エー | [eː] | [e] |
F f | エフ | [ɛfː] | [f] |
G g | ゲー | [geː] | [g] |
Gy gy | ヂェー | [ɟeː] | [ɟ] |
H h | ハー | [hɑː] | [h] |
I i | イ | [i] | [i] |
Í í | イー | [iː] | [iː] |
J j | イェ | [je] | [j] |
K k | カー | [kɑː] | [k] |
L l | エル | [ɛlː] | [l] |
Ly ly | エリプシロン | [ɛlipsilon] | [j] |
M m | エム | [ɛmː] | [m] |
N n | エヌ | [ɛnː] | [n] |
Ny ny | エニュ | [ɛɲː] | [ɲ] |
O o | オ | [o] | [o] |
Ó ó | オー | [oː] | [oː] |
Ö ö | エ | [ø] | [ø] |
Ő ő | エー | [øː] | [øː] |
Pp | ペー | [peː] | [p] |
Q q | クー | [kuː] | [k] |
R r | エッル | [ɛrː] | [r] |
S s | エシュ | [ɛʃː] | [ʃ] |
Sz sz | エス | [ɛsː] | [s] |
T t | テー | [teː] | [t] |
Ty ty | チェー | [ceː] | [c] |
U u | ウ | [u] | [u] |
Ú ú | ウー | [uː] | [uː] |
Ü ü | ユ | [y] | [y] |
Ű ű | ユー | [yː] | [yː] |
V v | ヴェー | [veː] | [v] |
W w | ドゥプラヴェー | [duplɒveː] | [v] |
X x | イクス | [iks] | [ks] |
Y y | イプシロン | [ipsilon] | [i] |
Z z | ゼー | [zeː] | [z] |
Zs zs | ジェー | [ʒeː] | [ʒ] |
母音 (magánhangzó)
ハンガリー語の母音は2音1組が7組、計14音で構成されています。
- a:「お」の口の形で「あ」と発音。
- á:「あー」をより大げさに発音。
- e:「え」もしくは短い「え」。
- é:「い」の口の形で「え」と発音 ほぼ「い」に聞こえる。
- i:「い」。
- í:「いー」。
- o:「お」を少し口をすぼめて発音。
- ó:「おー」を少し口をすぼめて発音。
- ö:舌を前に出したまま「お」と発音。(日本語の「お」では舌が後ろに下がっていませんか?)
- ő:öを伸ばす。
- u:口をしっかりすぼめて、強調するように「う」と発音。舌が浮く。
- ú:uを伸ばす。
- ü:日本語で軽く「う」と発音。舌は力が抜けていて、前に出ている。
- ű:üを伸ばす。
子音 (mássalhangzó)
子音 | 発音 | 発音のコツ | 例 | 例の和訳 |
|---|---|---|---|---|
p | [p] | パ行 | piros | 赤い |
b | [b] | バ行 | bor | ワイン |
t | [t] | 軽いタ行(軽いとは、空気をあまり伴わないということ) | toll | 羽ペン |
d | [d] | ダ行 | dollár | ドル |
ty | [c] | 「て」と「や」を続けて言って、「てゃ」と発音 | tyúk | めん鳥 |
gy | [ɟ] | テャ行の口で、ガ行を発音 | gyomor | 胃 |
k | [k] | 軽いカ行 | kaka | うんこ |
g | [g] | 軽いガ行 | gomb | ボタン |
m | [m] | マ行 | bomba | 爆弾 |
n | [n] | ナ行 「に」は軽く発音 | japán | 日本の |
ny | [ɲ] | ニャ行 日本語の「に」は"ni"ではなく、"nyi" | nyúl | ウサギ |
r | [r] | ラ行に近い 適当に言っている感じで言うとより良い | rózsa | ばら |
f | [f] | 下唇に上の歯をのせて、息を吐く。英語のFと同じ | forint | フォリント |
v | [v] | 下唇に上の歯をのせて、声を出す 英語のVと同じ | vonó | 楽器の弓 |
sz | [s] | サ行 | szép | 美しい |
z | [z] | 舌を上の歯茎に触れずに摩擦音だけで発するザ行 英語のZと同じ | zongora | グランドピアノ |
s | [ʃ] | 英語の"wish"の語尾の音と同じ 空気が口から出ていくときの「シュー」という音 | só | 塩 |
zs | [ʒ] | sと同じ口の形で喉を震わせて発音 "sz" - "z"、"s" - "zs"はそれぞれ無声音、有声音の関係 | zsargon | 俗語 |
j/ly | [j] | 舌を持ち上げて言ったヤ行 | jó | 良い |
h | [h] | ハ行 | hon | 国 |
c | [ts] | 「つぁ」「つぃ」「つ」「つぇ」「つぉ」 | cápa | サメ |
dz | [dz] | ザ行 | dzigol | はめる |
cs | [tʃ] | チャ行 | ments | 助けて! |
dzs | [dʒ] | 「じ」の子音。zとは異なり、舌を上歯茎につけて離すときに発音する | dzsungel | ジャングル |
l | [l] | 舌を上歯茎につけて出すラ行 | cola | コーラ |
母音のグループと母音調和
ハンガリー語の母音は大きく分けて2つ、細かく分けて3つに分類することができます。
- 後舌母音:舌の後ろ側で音を出す母音
- 前舌母音:舌の前側で音を出す母音
- 非円唇母音:口をすぼめないで音を出す母音
- 円唇母音:口をすぼめて音を出す母音

ハンガリー語において、1単語の中に含まれる母音は、同じグループに属していることが多いです。例えば、
- unoka 「孫」="u"も"o"も"a"も全て後舌母音(後舌母音系:すべて後舌母音で構成されている単語)
- ismerős 「知人」="i"も"e"も"ő"も全て前舌母音(前舌母音系:すべて前舌母音で構成されている単語)
しかし、すべてがそういうわけでもなく、異なるグループの母音が1単語中に含まれていることもあります。
- virág 「花」="i"は前舌母音、"á"は後舌母音(混合系:後舌、前舌混ざっている単語)
したがって、ハンガリー語の単語は、含まれている母音の種類によって、後舌母音系、前舌母音系、混合系の三つに分類することができます。

このように、ハンガリー語の母音にはグループがあるわけです。でも、なぜこんなに詳しく説明する必要があるのでしょうか。その答えはハンガリー語の接辞の仕組みにあります。
ハンガリー語における接辞
接辞とは接頭語、接尾語のことです。
接頭語とは単語の頭についてその単語に意味を付け足す言葉です。日本語でいうと「お手紙」の「お」や、「どん底」の「どん」などが接頭語に当たります。
接尾語もおなじ様に、単語の後ろについて意味を付け足す言葉のことを指します。日本語でいうところの「山本君」の「君」や、「女らしい」の「らしい」などです。
ハンガリー語にはこの接辞がたくさん存在しており、特に接尾語を使い分けることによってさまざまな意味を伝えています。そして、ハンガリー語の接尾語は同じ意味であっても異なる形をとることがあります。例えば、”-ban”と”-ben”は異なる形ですが、どちらも「~の中」にという意味です。
それではどのようにしてそれらを使い分けているのでしょうか。それを決めるのが、単語の母音なのです。上の例(-ban/-ben)では、付く単語が後舌母音系であれば”-ban”、前舌母音系であれば”-ben”が使われます。
接尾語 "-ban/-ben" 「~の中に」
- 後舌母音系:asztal-ban 「机の中に」
- 前舌母音系:szekrény-ben 「タンスの中に」、bőrönd-ben「スーツケースの中に」
また、接尾語の中には、異なる形が3つ存在するものもあります。その場合であっても、上の場合と同じように単語の母音系の種類によって使い分けがされています。接尾語の形が3つあるということは母音系も3つに区別しなければならないわけです。お分かりの通り、その場合は後舌母音系、非円唇母音系、円唇母音系の3つに区別します。
接尾語 "-hoz/-hez/-höz" 「~の方へ」
- 後舌母音系(後舌系):asztal-hoz 「机の方へ」
- 非円唇母音系(前舌系):szekrény-hez 「タンスの方へ」
- 円唇母音系(円唇系):ismerős-höz 「知人の方へ」
上の例に出てきたismerősのように、異なるグループの母音が混じっている単語も存在します。その場合、最後の母音のグループによって接尾語の種類が決まります。ismerősの最後の母音はőですから、使われるのは円唇母音系のhözとなるわけです。
ここから、たとえある単語が様々なグループの母音を持っていたとしても、必ず接尾語の形は最後の母音に基づいて、ひとつに特定されるということがわかります。それゆえ、すべての単語は、使われる接尾語の種類によって3つに分類することができます。後舌母音の接尾語(例:hoz)が付く単語を後舌系、非円唇母音の接尾語(例:hez)が付く単語を前舌系、円唇母音の接尾語(例:höz)が付く単語を円唇系と呼びます。

それではここでひとつ問題です。tanárnő「女性教師」には-hoz/-hez/-hözのどれが付くでしょうか?
tanárnőに含まれる母音はa、á、őの三つであり、後舌母音と円唇母音が混在していることがわかります。この場合は最後の母音(ő)が接尾語の形を決めるのですから、この単語は円唇系、hözグループに分類されます。したがって、tanárnőhözとなります。
接辞の形の例外
母音”i”は、接辞の形の決定に関わらない場合があります。その場合は”i”を無視して考えます。
- kocsi → ”i”のまえは”o”だからhozグループ → kocsi-ban
- április → ”i”のまえは”á”だからhozグループ → április-ban
また、母音”i”や”í”は前舌母音で、通常であればその単語は前舌系になるはずですが、その二つの母音(iとí)が接辞の形を決定する場合、例外的にその単語は後舌系として扱われます。
- híd → ”í”は前舌母音だが単語自体はhozグループとなる → hídhoz
アクセント
ハンガリー語の単語のアクセントは一番最初にあります。
- japán 〇ヤパーン ×ヤパーン