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医療×倫理・哲学

本人が決められないとき、死をめぐる会話を誰が引き受けるのか。

02本の記事

FIELD & MEDICINE

この分野と医療

意思決定能力が揺らぐとき、終末期の会話が必要になるとき、誰が何を根拠に決めるのか。倫理学は原則を与えるが、現場ではその原則を誰が担うのかが問われる。ここでは、医療倫理の議論を現場の実態と突き合わせる。哲学・思想史からの接続は、記事が書けた段階でここに足していく。

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死をめぐる会話は、誰が引き受けているのか

医療心理学・生命倫理・医療コミュニケーションが同じ場面に集まり、三分野とも臨床家個人に技術を手渡す。その技術の来歴を辿ると、SPIKESの原著は自らを「経験的データから完全には導かれていない」と書き、Kübler-Rossの原典は段階が順に進むという理解を否定していた。日本の法令には、事前指示も尊厳死も終末期も延命措置も条文に一語もない。ただし制度が何も定めていないわけではない。国は終末期の決定を専用法ではなく、多職種チームによる反復的な対話に委ねている。具体化されていないのは、その対話を誰がいつ開始し、どの資源で支えるかである。

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本人が決められないとき、誰が決めるのか

意思決定能力を法的な competence と臨床的な capacity に分ける説明を採ろうとして、原典を読むとその区別は普遍的ではなかった。代わりに見えてきたのは、日本の制度の分断である。認知症支援にはAppelbaum型の四要素があり、後見事務にはMCA型の四要素がある。一方、一般医療では「本人の意思を確認できない場合」の後の手順は示されても、その前段階を全国共通に判定する法定テストはない。研究や精神科入院には個別の代諾ルールがある。政府自身が2019年の通知で、第三者の医療同意には法令上の一般ルールが存在せず慣習で行われていると書いている。欠けているのは概念ではなく、場面をまたいで接続する一般ルールだった。

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