ハンガリーの祝日・年中行事ガイド|四季のお祭りと伝統行事

THE HUNGARIAN

HOLIDAYS

Culture

Culture/2026-06-19

ハンガリーの祝日・年中行事ガイド|四季のお祭りと伝統行事

その国の祝日や年中行事をのぞくと、人々が何を大切にし、どんなふうに季節を感じているのかが見えてきます。ハンガリーには、革命を記念する厳かな国民の祝日から、冬を追い払う奇祭、イースターの愉快な「水かけ」習慣、ドナウ川を彩る建国記念日の大花火まで、個性豊かな行事が一年を通して散りばめられています。この記事では、ハンガリーの祝日と伝統行事を四季の流れに沿って紹介します。旅行のタイミング選びにも、現地の暮らしを知る読みものとしてもどうぞ。

まず押さえたい:ハンガリーの祝日カレンダー

ハンガリーの「国民の祝日(munkaszüneti nap)」は、年によって日付が動くもの(イースターなど)を含めおよそ13日。多くの店や施設が休業・短縮営業になるので、旅行前に要チェックです。

日付

祝日名

内容

1月1日

元日(Újév)

新年

3月15日

革命記念日

1848年革命を記念する国民の祝日

3〜4月(移動)

聖金曜日・復活祭・イースター月曜

キリスト教最大の祝祭。2026年は4月3日・5日・6日

5月1日

メーデー(労働の日)

各地で野外イベント

5〜6月(移動)

聖霊降臨祭(ペンテコステ)と翌月曜

2026年は5月24日・25日

8月20日

聖イシュトヴァーンの日(建国記念日)

一年で最大の国民の祝日

10月23日

1956年革命記念日

1956年蜂起と1989年の共和国宣言を記念

11月1日

諸聖人の日

故人を偲び墓地に灯をともす

12月25日・26日

クリスマス

キリストの降誕祭

イースターと聖霊降臨祭は年ごとに日付が動きます。旅行を計画するときは、その年のカレンダーで確認しましょう。

春(3月〜5月)― 革命の記憶と、いたずらっぽい復活祭

3月15日:革命記念日

1848年、ハプスブルク支配に対して立ち上がった革命と独立戦争を記念する、ハンガリー三大国民祝日のひとつ。この日は人々が国旗の色(赤・白・緑)のコカード(kokárda)を胸につけ、各地で記念式典が開かれます。詩人ペテーフィ・シャーンドルが革命を象徴する存在として語られる、誇り高い一日です。

イースター(復活祭)と「水かけ」の風習

ハンガリーのイースターでいちばんユニークなのが、復活祭月曜のlocsolkodás(ロチョルコダーシュ=水かけ)。男性や男の子が女性のもとを訪れ、短い詩を唱えてから香水や水を振りかけ、お返しに美しく彩色した卵(hímes tojás)やお菓子、ドリンクをもらう、という愛らしい伝統です。食卓にはハム、ゆで卵、甘い編みパン(kalács)が並びます。

5月1日:メーデーと「五月の木」

労働者の日として各地でコンサートや子ども向けイベントが開かれるほか、村によっては男性が想いを寄せる女性の家の前にリボンで飾った五月の木(májusfa)を立てる、春らしい風習も残っています。

夏(6月〜8月)― 一年で最大の祝祭、建国記念日

8月20日:聖イシュトヴァーンの日(建国記念日)

ハンガリー最古にして最大の国民の祝日。初代国王・聖イシュトヴァーン(聖ステファン)と、ハンガリー建国そのものを祝う日です。ブダペストでは、聖イシュトヴァーンの遺骸の一部とされる「聖なる右手(Szent Jobb)」の行列や、その年の新麦で焼いた「新しいパン」を祝福する儀式が行われます。

そしてハイライトは夜。ドナウ川の上空を埋め尽くす大花火は中欧でも屈指のスケールで、川岸は見物客で埋め尽くされます。旅行で「祝祭のハンガリー」を体感したいなら、まずこの日が狙い目です。

8月20日前後のブダペストは混雑し、宿も埋まりやすくなります。花火を見るなら、早めの予約と場所取りを。

夏は音楽祭のシーズンでもある

伝統行事ではありませんが、夏のハンガリーは大型フェスの季節。中でもブダペストのオーブダ島で開かれるSziget Festival(シゲット・フェスティバル)は、ヨーロッパ最大級の音楽フェスとして世界中から人が集まります。

秋(9月〜11月)― 収穫を祝い、静かに故人を偲ぶ

ワインの収穫祭(szüret)

ぶどうの収穫期を迎える秋は、各ワイン産地(エゲル、トカイ、ヴィッラーニなど)で収穫祭が開かれます。ブダペストでも、9月にブダ城でブダペスト国際ワインフェスティバルが開催され、絶景とともに国内外のワインを楽しめます。

10月23日:1956年革命記念日

1956年にソ連支配に対して起きた民衆蜂起と、1989年の共和国宣言を記念する日。3月15日と並ぶ重要な国民の祝日で、こちらはより厳粛な追悼の色合いが濃く、各地で式典が行われます。

11月1日:諸聖人の日(Mindenszentek)

故人を偲ぶ日。人々は家族の墓を訪れ、菊の花を供え、たくさんのキャンドル(mécses)をともします。夕暮れ、無数の灯りで墓地全体がやわらかく輝く光景は、ハンガリーの秋を象徴する静かで美しい風物詩です。

冬(12月〜2月)― クリスマス市から、冬を追い払う奇祭まで

アドベントとクリスマス市

クリスマス前の約4週間がアドベント。この時期、ブダペストのヴルシュマルティ広場や聖イシュトヴァーン大聖堂前には、ヨーロッパでも評価の高いクリスマスマーケットが立ち、ホットワイン(forralt bor)や郷土料理の屋台でにぎわいます。

12月6日:ミクラーシュ(聖ニコラウスの日)

子どもたちが楽しみにする日。前夜にブーツを磨いて窓辺に置いておくと、ミクラーシュがお菓子やチョコ、みかん、ナッツを詰めてくれます。いたずらっ子には、金色に塗った小枝(virgács)が添えられる、というユーモラスな言い伝えも。

12月24日:クリスマス・イブが本番

ハンガリーではクリスマス・イブ(Szenteste)こそが最大の祝い日。家族でツリーを飾り、ごちそうを囲みます。プレゼントを運んでくるのはサンタではなく幼子イエス(Jézuska)とされるのが特徴。食卓には魚のスープ(halászlé)やロールキャベツ(töltött káposzta)、けしの実やクルミを巻いた菓子パンベイグリ(bejgli)が並びます。25日・26日は国民の祝日です。

大晦日(Szilveszter)と新年の縁起担ぎ

大晦日は花火やパーティーでにぎやかに。元日には金運を願ってレンズ豆を食べ、「幸運が逃げる」として鶏肉は避け、「幸運を前へ掘り進める」として豚肉を食べる、といった縁起担ぎがあります。豚(malac)は幸運のシンボルです。

ファルシャング(謝肉祭)とブショーヤーラーシュ

年明けから四旬節前までの謝肉祭シーズンがファルシャング(Farsang)。揚げ菓子のドーナツ(fánk)を食べる習慣があります。そのクライマックスを飾るのが、南部の町モハーチで行われるブショーヤーラーシュ(Busójárás)。恐ろしげな木彫りの仮面と毛皮をまとった「ブショー」たちが練り歩き、騒音とともに冬(そして言い伝えではかつてのオスマン軍)を追い払う奇祭で、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。例年2月、四旬節直前の火曜に最高潮を迎えます。

ブショーヤーラーシュは日付が年ごとに変わります(謝肉祭の終わりに合わせて2月頃)。見に行くなら、その年の開催日を事前に確認しましょう。

まとめ ― 行事に合わせて旅の時期を選ぶ

ハンガリーの一年は、厳かな記念日と、思わず笑顔になる民俗行事が交互に訪れます。祝祭の華やかさを味わうなら8月20日の建国記念日奇祭を見たいなら2月のブショーヤーラーシュ幻想的な街並みを楽しむならアドベントのクリスマス市。旅の時期をこうした行事に合わせると、ハンガリーの素顔にぐっと近づけます。気になる行事があったら、ぜひその季節を狙って訪れてみてください。

※祝日のうちイースター・聖霊降臨祭・ブショーヤーラーシュなどは年ごとに日付が変わります。ご旅行前に最新のカレンダーをご確認ください。