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03 総合診療という領域/JAPAN

島根モデルは、再現できるのか

前の記事で宿題を残した。島根で何が効いたのか、他県で再現できるのか。日本専門医機構の年次報告を8年分突き合わせると、論文の掲げる採用率15.8%は単年の値で、8年をプールした値は11.4%だった。さらに大学のプレスリリースには論文にない列がある——42名中17名が地域枠等。国際論文と国内向け資料を照合すると、ネットワークとは別の要素が見えてくる。採用増は検算できるが、その原因は一つに特定できない。一方、同じ発想で別の軸を畳んだ福井は、設計を残したまま2026年度の採用が0になっている。

公開2026-08-18
更新2026-09-01
出典12 SOURCES

ダイジェスト解説 VIDEO

前の記事の最後に、私は宿題を書いた。島根で何が効いたのか。孤立の解消という設計思想は、他県でも再現できるのか。

取りかかってすぐに気づいたのは、再現を論じる前に確かめるべきことが残っているということだった。そして確かめてみると、その宿題は、私が思っていたのとは違う形をしていた。

二つの県が、別々の軸を畳んだ

日本の総合診療をめぐる話には、構造的によく似た試みが二つある。

福井は、時間を畳んだ。2003年、福井大学は救急部と総合診療部の合体運営を始めた。急性期の救急と、継続性の総合診療。医療のなかで最も遠いように見える二つの時間の流れを、一つの組織と一人の医師のキャリアに統合した。寺澤秀一が2008年に書いた合体の論理は、驚くほど実務的である。「平日の日中は救急部に余裕があり、総合診療部を手伝える。夜間や週末は総合診療部に余裕があり救急部を手伝える。忙しい時間帯が逆なので、合体作戦は双方の疲弊を防ぎ、マンパワー確保に有効」1。

島根は、空間を畳んだ。2021年、島根大学医学部附属病院に総合診療医センターが設置され、県内17の連携医療機関をSlackとZoomで結ぶ「Virtual Office」と、県全体を一つの実践共同体とする「Neural GP Network」が構築された。東西230kmに散らばり、離島を含む県を、一つの部屋に畳んだことになる2。

どちらも、総合診療が抱える問題——孤立、キャリアの見えなさ、人手の薄さ——に対する構造的な回答である。そして、どちらも美しい。

問題は、その先にある。

福井——設計の存続は、採用の持続を保証しなかった

福井の合体構造は、今も生きている。2026年度の総合診療専門研修プログラムの冊子は、その冒頭に「通称:救急に強い総合診療医養成福井大学コース」と掲げている。救急科側のプログラムもまた、研修部門を「救急外来・総合診療外来、病棟・ICU、カンファレンス室」と記す3。23年前の設計思想は、文書のなかに正確に保存されている。

では、効果はどうか。日本専門医機構が毎年公表している都道府県別・領域別の採用数を、8年分並べてみた4。

年度福井の総合診療県内全体割合
20180390.0%
20192504.0%
20201571.8%
20211452.2%
20222444.5%
20232533.8%
20243515.9%
20251442.3%
20260440.0%

8年を通算すると12名/383名、3.1%。同じ期間の全国加重平均は2.6%である。つまり福井は、全国平均とほとんど区別がつかない。そして2026年度の採用は、0名だった。

組織のほうも残っている。現在の科長は林寛之で、その肩書きは大学病院の公式ページに「科長・救急部長・総合診療部長・教授」と並記されている5。一人が三つの部門長を兼ねるという形で、合体は人事の上でも維持されている。医学部のページは今も「救急部と総合診療部の合体運営によるER型診療の試みは全国に例がなく本院の特色の一つとなっています」と書く。

そして、ここに一つの空白がある。この合体運営を評価した公表文献は、2008年以降、一つも見つからない。J-STAGE、CiNii、医学界新聞、日経メディカル、大学自身のサイトを当たったが、寺澤秀一自身によるものも、他の誰かによるものもない。寺澤の2008年の2本が、この設計について書かれた最後の文章である。彼は現在、同大学の地域医療推進講座に特命教授として名を連ねている5。

23年続いた仕組みが、23年間、検証されていない。だから「なぜ効かなかったのか」も、そもそも「どの時期までは効いていたのか」も、公表資料からは言えない。2008年の時点では、寺澤は救急部27名・総合診療部16名という数字を挙げていた1。当時は、確かに人が来ていたのである。

これをどう読むべきか。私は当初、「二つの設計が、それぞれのやり方で成功した」という話を書くつもりでいた。それは成り立たない。

ただし公開時の本文は、ここで「設計は残り、効果は消えた」と書いた。これは言い過ぎである※訂正。「効果が消えた」と言うには、介入前との比較が要る。合体運営が始まったのは2003年で、比較可能な採用データは専門医制度が変わった2018年以降しかない。しかも合体の目的は総合診療専攻医の採用だけではなく、救急側の人材確保、勤務負荷の平準化、臨床能力の育成も含まれていた——寺澤自身が「双方の疲弊を防ぎ、マンパワー確保に有効」と書いている。

データが支持するのはここまでである。設計は残っている。しかし現在の総合診療専攻医の採用数だけを見れば、全国平均を大きく上回る状態は確認できない。

構造は文書に保存できる。人の流れが保存されているかどうかは、この指標では見えない。

島根——15.8%という数字の出どころ

島根の数字は、桁が違う。論文の要旨はこう書く。「Annual recruitment averaged 15.8% of specialty trainees, significantly exceeding the national average (2.6%; P < 0.001)」2。全国の6倍である。

ここで、確かめられることがあった。島根大学が2026年5月29日に出したプレスリリースには、論文には載っていない年次表が添付されている6。そして日本専門医機構の年次報告と突き合わせると、両者は小数第1位まで一致する。つまり、この数字は完全に検算できる。

年度採用うち地域枠等県内全体割合
201800370.0%
201930446.8%
2020534610.9%
2021736111.5%
2022522817.9%
2023544012.5%
2024935715.8%
2025825714.0%
計421737011.4%

採用の合計は42名。論文が対象とするN=42と一致する。そして——15.8%は、2024年度単年の値である(9/57)。

平均の取り方をすべて書いておく※追記。8年間をプールした採用割合は42/370=11.4%、年度別割合の単純平均でも約11.2%である。15.8%はどちらの平均値にも一致せず、2024年度単年の値と一致する。加重平均か非加重平均か、という反論の余地はない。

これは些細な違いに見えるかもしれないが、比較の仕方が非対称になっている。論文の図の凡例は、全国の2.6%について「the weighted mean national recruitment rate for general practice in Japan over the study period (2018-2025)」と明記している。全国側は8年間の加重平均として正しく算出されている。それに対置された島根側の数字が、単年の値なのである。

しかも15.8%は、8年で最も高い年ですらない。2022年度の17.9%のほうが高い。ただしその年は、県内の専攻医総数が61名から28名へ半減した年であり、総合診療は5名で横ばいだった。分母が縮んだだけである。

この訂正は、結論を壊さない。11.4%でも全国2.6%の4倍以上であり、依然として際立っている。だが再現を語るなら、再現すべき数字が何であるかは、正確でなければならない。

コホートの40.5%は、県内勤務を返還免除条件とする制度の出身だった

もっと重要なものが、同じ添付資料にあった。「うち地域枠出身者数」という列である。

合計すると17名。42名中17名、40.5%。注記によれば、ここでいう地域枠等とは「島根大学(地域枠、緊急医師確保対策枠、県内定着枠、学士地域枠)、鳥取大学(島根県枠)および県奨学金貸与者」を指す6。

公開時の本文はこれを「県内に留まる契約を負っていた」と書いたが、表現を正す※訂正。「地域枠等」は複数の制度をまとめた分類で、義務の内容は制度区分と入学年度で異なる。県の奨学金制度が定める返還免除の要件は「島根県内で臨床研修を受け、その期間も含め9年間(うち4年間は特定地域)勤務」であり、診療科の指定はない7。正確には——コホートの40.5%は、県内勤務を返還免除の条件とする地域枠・奨学金制度の出身だった、である。

論文には、この記載が一切ない。本文にも、表にも、脚注にもない。「地域枠」に相当する語が、一度も現れない2。

そして、ここに奇妙な符合がある。論文が選択バイアスへの反論として掲げるのは、「40.5%(17/42)が県外の医学部出身である」という数字なのだ。同じ40.5%、同じ17名。もちろん別の17名だろう(地域枠の多くは島根大学出身のはずである)。だが、多様性の証拠として提示された割合と、県内に契約で縛られている割合が、たまたま同じ値になっている。

公平を期して言えば、地域枠の義務は地理的なものであって、診療科を指定しない。「地域枠だから総合診療を選んだ」わけではない。彼らは選んでいる。

そして公開時の本文は、ここから「分母それ自体があらかじめ県内に囲われた集団を相当程度含んでいる」と書き、地域枠が採用率を押し上げたかのように結んだ。これは、現在のデータでは言えない※訂正。

必要なのは、この表である。

総合診療を選択他科を選択
地域枠等17?
非地域枠25?

県内全体370名のうち地域枠等が何名だったかが、どこにも公表されていない。もし370名中150名が地域枠等なら、総合診療42名中17名(40.5%)という構成比はほぼ全体と同じで、地域枠は11.4%の説明にならない。逆に370名中30名しか地域枠等がおらず、そのうち17名が総合診療を選んだのなら、きわめて強い関連である。この2×2表の右列が無いかぎり、どちらとも言えない。

したがって書ける結論はこうである——地域枠が採用増の一因だった可能性を検証するために必要な分母が、論文にもプレスリリースにも提示されていない。

一方、17名という数字が強く効くのは、採用率ではなく定着率88.1%の解釈のほうである※追記。論文の残留の定義は「2026年1月時点でSGMCの連携機関ネットワーク内に勤務しているか」という横断的なものである。そこに、県内勤務が返還免除の条件になっている医師が17名含まれている。ならば最低限、地域枠等17名のうち何名が残留し、非地域枠25名のうち何名が残留したかは報告されるべきだった。17/17と20/25なら、全体88.1%という数字の意味はまるで変わる。

前の記事で確認したとおり、2018年加入者と2025年加入者を2026年1月という同じ一点で「残留」と数えているため、追跡期間も揃っていない。88.1%は注目すべきスナップショットだが、追跡期間が異なり、地域枠等の勤務要件で層別されてもいないため、ネットワークそのものの残留効果としては解釈できない。

なお地域枠出身者は、最初の2年間は0名、0名で、その後3、3、2、4、3、2と続く。この経路が開いた時期と採用が伸びた時期は重なっているが、それだけでは前後関係の域を出ない。

論文自身が限界として挙げているのは、こういう文である。「unmeasured contextual or systemic factors, such as concurrent national policy changes or local institutional dynamics, may also have contributed to the observed trends」。まさにそれが、大学自身の手元にある表に載っていた。

同じ介入から、二つの機序が語られている

ここからが、この記事を書こうと思った理由である。

国際誌に向けて、島根大学はこう説明する。孤立が障壁である。だからSelf-Determination Theoryに基づき、自律性・有能感・関係性を支えるネットワークを設計した。そして「本事業は構造的・財政的条件がほぼ変わらない文脈で実施された。したがって観察された改善は、財政的インセンティブや大規模な構造改革にではなく、ジェネラリスト・ネットワークのプログラム的要素に帰属させうる」2。

日本の報道機関に向けて、同じ大学は、同じ日に、こう説明する。「地域枠医師のキャリアパス確立——R2年度以降、地域枠出身者の養成が定着している。卒前からの継続的な関わり(卒前臨床実習や卒後教育、進路支援等)により、地域枠生が迷わず総合診療のみちを選択できるルートが確立された」6。

二つとも、もっともらしい。二つとも、おそらく部分的に正しい。

公開時の本文は、これを「同じ大学が、二つの聴衆に別の因果を語る」と書いた。攻撃的すぎたし、批判としても弱い※訂正。この二つは競合する仮説とは限らない。地域枠というパイプライン、卒前からの関与、県内の研修ネットワーク、Virtual Office、指導医コミュニティ——これらが一つの複合介入を形づくっている可能性のほうが高い。

だとすれば、より強い批判はこうなる。二つの説明が矛盾しているのではない。一つの複合介入の異なる構成要素が、文書ごとに別々に前景化されているために、何が効いたのかを分離できないのである。

そして実務上の問題は残る。国際誌の読者はネットワークの物語を受け取り、日本の読者は地域枠パイプラインの物語を受け取る。「島根モデル」として全国展開が語られるとき、輸出されるのは前者だけだ。

助成の要件が、結果を先取りしていた

そしてもう一つ、因果の向きが怪しくなる事実がある。

島根の総合診療医センターは、厚生労働省の「総合的な診療能力を持つ医師養成拠点の形成事業」に採択されて設置された。その実施要綱を読むと、事業の目的は「総合診療医を養成・確保するための拠点(総合診療医センター)を」大学内に設置することだと書かれている。センターの名前そのものが、事業の側から来ている。

そして実施主体の要件(3)は、こうである8。

別枠方式の地域枠入学試験を実施しており、地域枠入学者が、当該大学の総合診療専門医を養成するプログラムの研修を受けた実績を有すること。

つまり、地域枠から総合診療へ人が流れているという実績が、採択の前提条件だった。事業内容にも「総合診療医を希望する地域枠医学生等の選考時から卒後のキャリア支援まで一貫した指導」が明記されている。この助成事業は、設計そのものが地域枠を軸に組まれている。

ただし公開時の本文は、ここから「助成はこの現象を作ったのではなく、この現象が既に起きている場所を選んだ」と結論した。これは年代が揃っていない※訂正。私が確認したのは現行の実施要綱(案)であり、この文書には年度も通知番号も記載がない。島根大学が採択された2020年度の要綱に同じ条項があったかどうかを、私は確かめられていない。「既に起きている場所を選んだ」と言うには、採択時点の要件を示す必要がある。

年代に依存しない形で言えることは、それでも十分に鋭い。この国の事業は、当初から地域枠学生のキャリア形成を中核に据えた制度である。事業内容には「総合診療医を希望する地域枠医学生等の選考時から卒後のキャリア支援まで一貫した指導」が明記され、「総合診療医センター」という名称そのものが事業の側から来ている。SGMCという「ネットワーク介入」と地域枠パイプラインは、政策設計の上でも切り離されたものではなかった。

論文の「条件はほぼ変わっていない」という主張は、字義的には支持できる。県の新規予算はなく、診療科を指定する義務もなく、医師が流入したわけでもない。だがそれはインセンティブについて真であって、制度については偽である。2020年度に国の事業がセンターを作り、それ以前から地域枠と総合診療をつなぐ経路が存在していた。変わらなかったのは金であって、土台ではない。

そして、島根県全体は医師少数県ではない

再現を考えるとき、もう一つ前提を揃えておく必要がある。

「島根モデル」は、医師不足に苦しむ地方の希望として語られる。だが島根県自身の保健医療計画は、こう書いている9。

● 島根県の医師偏在指標は 265.1、全国 18 位で医師少数でも多数でもない都道府県に位置しています。

人口10万対医師数で見ると、令和6年12月31日現在で島根県は334、全国281に対して全国9位である10。密度で言えば、島根は医師の多い県だ。

ただし、この数字は素直に読めない。同じ資料で総医師数は2,143人、前回調査比マイナス10人である。医師は減っている。人口がそれ以上に減ったから、密度だけが上がった。そして県内の偏りは激しい。出雲圏域507に対し、雲南193、隠岐194——同じ県のなかで2.6倍の開きがある。県の計画は雲南・大田・益田を医師少数区域に、松江・出雲・浜田を医師多数区域に設定している9。

公開時の本文はここを「島根の問題は、不足ではなく偏在である」とまとめた。これは二項対立にしすぎている※訂正。正確には——島根県全体は「医師少数都道府県」ではないが、県内には明確な医師少数区域が存在する。偏在の結果として、雲南や大田や益田では実際に不足が起きている。

そしてもう一つ。センター長の白石吉彦は、2023年のインタビューでこう述べている11。

島根県は、総合診療医の数としては、対人口比率で全国平均の4倍、日本トップクラスを誇ります。これは島根では高齢化が加速していたため、総合診療医の育成にいち早く取り組んできたためです。

これはデザイン誌のインタビューでの発言であり、出典も分母も定義も示されていない。統計として扱うことはできない。

公開時の本文は、そう書いた直後に「既にいた人たちをつないだ」「つなぐべき人が既にいる県でしか成り立たない」と続けていた。統計として使えないと断ったはずの数字を、二段落あとで事実として使っていたことになる※訂正。撤回する。島根に総合診療医の厚い層が既にあったかどうかを、私は確かめていない。

出典で言える範囲に絞ると、こうなる。島根には、センター設置以前から制度的・教育的な土壌があった。2010年に島根県が、2011年に大田市が出資した寄附講座がそれである12。10年分の土台がある場所に、2021年のセンターは載った。したがってSGMCを、ゼロから立ち上げられた単独の介入として扱うことはできない。

Neural GP Networkという名前——独立した細胞ではなく、細胞と細胞のあいだの結合を作るという発想——が実態をよく表しているかどうかは、その土台が何であったかを特定してからでないと言えない。

では、何を再現するのか

宿題に戻る。島根で何が効いたのか。他県で再現できるのか。

正直に書けば、現時点の公表資料からは、決められない。

決められない理由は、島根が失敗しているからではない。11.4%は本物である。全国2.6%の4倍以上であり、2026年1月時点で42名中37名が県内ネットワークにいるというスナップショットも注目に値する※訂正(ただし前述のとおり、これは追跡期間が揃っておらず地域枠で層別もされていないため、「定着率」として単独で扱える数字ではない)。

決められないのは、効いた可能性のある要素が複数あり、そのうち一つだけが論文に書かれているからである。

これらの寄与を分離する材料は、公表されていない。そして再現しようとする県は、どれを持ち帰ればいいのかがわからない。

公開時の本文はここに「SlackとZoomだけを持ち帰った県は、おそらく福井と同じ結末を迎える」と書いた。これは論理がつながっていない※撤回。福井の介入は救急部と総合診療部の組織統合であり、島根の介入は分散した総合診療医をVirtual Officeで結ぶことである。そもそも別の介入なので、片方の帰結から他方を予言できない。

書けるのはこうである。Virtual Officeという最も可視的な部分だけを移植しても、同じ結果になる保証はない。再現すべき対象がソフトウェアなのか、既存の人材の密度なのか、地域枠パイプラインなのか、指導医ネットワークなのかが、まだ同定されていないからである。

その一段手前を、はっきり書いておきたい。島根モデルを「Virtual Officeを中心とするネットワーク介入」として単独で評価すること自体が、おそらく問いの立て方を間違えている。公開資料から見える実態は、地域枠パイプライン、卒前教育、寄附講座による10年分の土台、国の助成事業、分散型研修、Virtual Office を束ねた複合介入である。採用率が高かったことは検算できる。だが、どの構成要素が必要条件で、どれが十分条件なのかは、現在の報告からは識別できない。

だから他県が再現すべきなのは「島根モデル」という完成品ではなく、その構成要素と作用機序を分解して検証するプロセスそのものだと思う。

そして私は、この記事の結論を「島根はすごい」でも「島根は怪しい」でもなく、こう置きたい。11.4%という成功は本物である。問題は、その成功を何に帰属させるかであり、それを決める作業は、成功を報告するのとは別の仕事で、まだ誰もやっていない。

そしてそれは、批判ではなく、空いている仕事である。前の記事で私は、総合診療の学術基盤が弱いと書いた。ここに、その弱さが具体的に現れている。プログラム評価を、記述ではなく検証として設計できる人が、この分野には足りない。42名という規模でも、地域枠か否かで層別すれば言えることは増える。追跡の基準時点を揃えれば、比較は成立しうる。それをやる人が要る。

私にとっての意味

私はいずれ日本に帰り、どこかのプログラムを選ぶ。だからこれは、他人事の分析ではない。

今回わかったのは、プログラムを選ぶときに何を聞けばいいか、である。採用実績の数字を見せられたら、それは単年か通算かを聞く。定着率を見せられたら、いつ時点の、誰を分母にした数字かを聞く。そして——その人たちは、どういう経路でそこに来たのかを聞く。

意地の悪い質問ではない。むしろ逆で、答えられるプログラムは、自分たちが何をしているかを把握しているということだ。島根は、少なくともその表を作っている。作った上で、論文では報告されなかった※訂正(なぜ報告されなかったのかを、私は知らない)。次に必要なのは、報告することのほうだと思う。

福井が教えるのは、もっと静かなことだ。良い設計を作った人がいて、その設計は今も文書のなかにある。だが2026年度、そのコースを選んだ人は一人もいなかった。設計が残っていることは、選ばれ続けていることを意味しない。

私が入ろうとしているのは、そういう分野である。

訂正 CORRECTIONS

公開後に直したこと。本文は直したうえで、何をどう変えたかをここに残している。本文中の※ が、直した箇所を指す。

  1. 訂正「分母それ自体があらかじめ県内に囲われた集団を相当程度含んでいる」を撤回した2026-09-01 · bunbo地域枠が採用率を押し上げたと論じるには、総合診療を選んだ42名の内訳だけでなく、県内全体370名のうち地域枠等が何名だったかが要る。その分母が論文にもプレスリリースにも公表されていない。370名中150名が地域枠等なら40.5%という構成比は全体とほぼ同じで説明にならず、370名中30名しかいないなら強い関連になる。「地域枠が採用増の一因だった可能性を検証するために必要な分母が、どちらの資料にも提示されていない」という形に改めた。
  2. 追記地域枠17名が強く効くのは採用率ではなく定着率88.1%の解釈だと整理し直した2026-09-01 · teichaku論文の残留の定義は「2026年1月時点でSGMCの連携機関ネットワーク内に勤務しているか」という横断的なもので、そこに県内勤務が返還免除の条件になっている医師が17名含まれている。地域枠等17名と非地域枠25名それぞれの残留数が報告されていれば、88.1%の意味は大きく変わりうる。追跡期間も揃っておらず層別もされていないため、この数字はネットワークそのものの残留効果としては解釈できない旨を明記した。
  3. 訂正「県内に留まる契約を負っていた」という表現を正した2026-09-01 · chiikiwaku「地域枠等」は複数の制度をまとめた分類で、義務の内容は制度区分と入学年度で異なる。島根県の奨学金制度が定める返還免除の要件は「島根県内で臨床研修を受け、その期間も含め9年間(うち4年間は特定地域)勤務」であり、診療科の指定はない。「コホートの40.5%は、県内勤務を返還免除の条件とする地域枠・奨学金制度の出身だった」に改め、節見出しも同様に改めた。
  4. 追記15.8%との対比を、平均の取り方をすべて示す形に厳密化した2026-09-01 · heikin8年間をプールした採用割合は42/370=11.4%、年度別割合の単純平均でも約11.2%であり、15.8%はどちらの平均値にも一致せず2024年度単年の値(9/57)と一致する。加重平均か非加重平均かという論点が残らないよう、三つの値をすべて明示した。
  5. 訂正福井について「効果は消えた」と書いたのを撤回した2026-09-01 · fukui「効果が消えた」と言うには介入前との比較が要るが、合体運営の開始は2003年で、比較可能な採用データは専門医制度が変わった2018年以降しかない。また合体の目的は総合診療専攻医の採用だけでなく、救急側の人材確保、勤務負荷の平準化、臨床能力の育成も含まれていた。「設計は残っている。しかし現在の総合診療専攻医の採用数だけを見れば、全国平均を大きく上回る状態は確認できない」に改め、節見出しも「設計は残り、効果は消えた」から「設計の存続は、採用の持続を保証しなかった」に改めた。
  6. 撤回「SlackとZoomだけを持ち帰った県は、おそらく福井と同じ結末を迎える」を削除した2026-09-01 · slack福井の介入は救急部と総合診療部の組織統合であり、島根の介入は分散した総合診療医をVirtual Officeで結ぶことである。別の介入なので、片方の帰結から他方を予言できない。「Virtual Officeという最も可視的な部分だけを移植しても同じ結果になる保証はない。再現すべき対象がソフトウェアなのか、既存の人材の密度なのか、地域枠パイプラインなのか、指導医ネットワークなのかが、まだ同定されていないからである」に置き換えた。
  7. 訂正現行の実施要綱の要件を2020年の採択時に遡及させていた2026-09-01 · youkou-nendo確認したのは現行の実施要綱(案)であり、この文書には年度も通知番号も記載がない。島根大学が採択された2020年度の要綱に「地域枠入学者が総合診療プログラムの研修を受けた実績」という要件があったかどうかは確かめられていない。したがって「助成はこの現象が既に起きている場所を選んだ」とは言えない。年代に依存しない形で「この国の事業は当初から地域枠学生のキャリア形成を中核に据えた制度であり、SGMCというネットワーク介入と地域枠パイプラインは政策設計の上でも切り離されたものではなかった」に改めた。
  8. 訂正「同じ大学が、二つの聴衆に別の因果を語る」を複合介入の問題として書き直した2026-09-01 · fukugou国際誌のネットワーク説明と国内向け資料の地域枠パイプライン説明は、競合する仮説とは限らない。地域枠パイプライン、卒前教育、県内の研修ネットワーク、Virtual Office、指導医コミュニティが一つの複合介入を形づくっている可能性のほうが高い。「二つの説明が矛盾しているのではなく、一つの複合介入の異なる構成要素が文書ごとに別々に前景化されているために、何が効いたのかを分離できない」に改め、節見出しも「同じ介入から、二つの機序が語られている」に改めた。あわせて記事全体の中心命題を、島根モデルを単独のネットワーク介入として評価すること自体が問いの立て方を誤っている、という形に置き直した。
  9. 訂正「島根の問題は不足ではなく偏在」という二項対立を解いた2026-09-01 · henzai島根県全体は「医師少数都道府県」ではないが、県内には雲南・大田・益田という明確な医師少数区域が存在する。偏在の結果として局所的には実際に不足が起きているため、不足か偏在かという対立にはならない。節見出しも「そして、島根は医師不足県ではない」から「そして、島根県全体は医師少数県ではない」に改めた。
  10. 訂正「既に総合診療医の厚い層があった」という前提を撤回した2026-09-01 · atsuiセンター長の「全国平均の4倍」という発言を、出典も分母も定義もないので統計としては扱えないと書いた直後に、「既にいた人たちをつないだ」「つなぐべき人が既にいる県でしか成り立たない」という結論の根拠として使っていた。撤回する。出典で言える範囲は、2010年に島根県が、2011年に大田市が出資した寄附講座という制度的・教育的な土壌がセンター設置以前から存在していたことまでであり、そこから言えるのはSGMCをゼロから立ち上げられた単独の介入として扱えない、ということである。
  11. 訂正88.1%を「定着率」として扱わない書き方に改めた2026-09-01 · 88-12026年1月時点で42名中37名が県内ネットワークにいるというスナップショットであり、追跡期間が揃っておらず地域枠でも層別されていないため、「定着率」として単独で扱える数字ではない旨を明記した。
  12. 訂正「国際誌には載せなかった」を「論文では報告されなかった」に改めた2026-09-01 · nosenai掲載しなかった理由や意図は分からないため、意図を推測する書き方をやめ、事実の記述にとどめた。

出典 SOURCES

  1. 1救急医療と家庭医療(特集:病院と家庭医療)病院 67(10):882-888(寺澤秀一、福井大学医学部附属病院副院長/総合診療部教授) · 2008 · accessed 2026-08-18裏付けた主張: 福井大学では2003年から救急部と総合診療部の合体運営を開始し、2008年4月時点で救急部への入局者27名(7年間)、総合診療部16名(4年間)を確保したと記す。合体の論理を「平日の日中は救急部に余裕があり、総合診療部を手伝える。夜間や週末は総合診療部に余裕があり救急部を手伝える。忙しい時間帯が逆なので、合体作戦は双方の疲弊を防ぎ、マンパワー確保に有効」と説明する。地域↔病院、入院診療↔外来診療という2軸の図を用いて総合内科医・救命型救急医・家庭医・ER型救急医という4つのゼネラリストを配置し、「家庭医とER型救急医の両方を狙った研修をすると中途半端な医師になってしまう」という批判に対し、ある病院長が「先生! 今の日本に最も欠けているのは、その中途半端な医師なんですよ!」と語ったという逸話を紹介している
  2. 2A Decentralized, Academically Integrated Training Model for Rural General Practice in Japan - A Descriptive Program EvaluationJournal of General Internal Medicine (Sakaguchi K, Endo T, Shiraishi Y, Kaneko M, Watari T) · 2026 · accessed 2026-08-18裏付けた主張: 島根大学医学部附属病院総合診療医センター(SGMC)の分散型・学術統合型研修モデルを記述した論文。要旨に「Annual recruitment averaged 15.8% of specialty trainees, significantly exceeding the national average (2.6%; P < 0.001)」と記す。図1の凡例では全国値について「The horizontal dashed line denotes the weighted mean national recruitment rate for general practice in Japan over the study period (2018-2025) (2.6%), calculated from the annual reports of the Japan Medical Specialty Board」と述べ、8年間の加重平均であることを明示する一方、島根側の実線は「the annual recruitment rate (% of all postgraduate residents) in Shimane Prefecture」と単年の推移として説明されている。対象は2018〜2025年にネットワークに参加した専攻医42名。表1は出身大学を「Medical school location (local vs non-local)」として島根大学25名(59.5%)、その他17名(40.5%)に分け、脚注bで「Medical school location indicates undergraduate medical education」と定義する。2026年1月時点の残留は37名(88.1%)。理論的基盤としてSelf-Determination Theory(Ryan & Deci)と実践共同体の文献を挙げる。考察で「our project was implemented in a context in which these conditions remained largely unchanged. This observation is important because it suggests that the observed improvements cannot be readily attributed to enhanced financial incentives or major structural reforms but rather to the programmatic components of the generalist network」と述べる一方、限界として「this descriptive analysis cannot establish causal relationships」「unmeasured contextual or systemic factors, such as concurrent national policy changes or local institutional dynamics, may also have contributed to the observed trends」とも記す。学術産出はセンター設立(2021年)以降の査読付き英語論文58本とし、検索は「intentionally conservative and likely underestimated total scholarly output」と注記する。地域枠および奨学金貸与者に関する記述は本文・表・脚注のいずれにも存在しない
  3. 3福井大学医学部附属病院 総合診療専門研修プログラム(2026年度)福井大学医学部附属病院 · 2026 · accessed 2026-08-18裏付けた主張: プログラム冊子の冒頭に「通称:救急に強い総合診療医養成福井大学コース」と明記されている。基幹施設を福井大学医学部附属病院総合診療部とし、「本研修PGでは、福井大学医学部附属病院救急部・総合診療部において臨床推論、医療面接」等の基礎研修を行うと記す。「当院の最大の利点としては救急部と合同でコミュニケーションをはかりながら外来」診療にあたれる環境を整えていることを特徴として挙げる。同院の救急科専門研修プログラム(2026年度)も「基幹病院である福井大学病院では救急部と総合診療」の両部門にまたがる研修を組み、研修部門を「救急外来・総合診療外来、病棟・ICU、カンファレンス室」と記載しており、2003年に始まった救急部と総合診療部の合体運営が、両方向の専門研修プログラムの構造として2026年度時点でも維持されていることが確認できる
  4. 4専攻医採用数 年次報告(2018〜2026年度)一般社団法人 日本専門医機構 · 2026 · accessed 2026-08-18裏付けた主張: 都道府県別・基本領域別の専攻医採用数を毎年度公表している一次資料。島根県の総合診療/県内全体は2018年度 0/37、2019年度 3/44、2020年度 5/46、2021年度 7/61、2022年度 5/28、2023年度 5/40、2024年度 9/57、2025年度 8/57、2026年度 4/47。2018〜2025年度を通算すると42/370で11.4%となり、論文がN=42とする母集団と採用数の合計が一致する。各年度の割合はプレスリリース添付表の数値と小数第1位まで一致し、15.8%は2024年度単年の値(9/57)であることが確認できる。福井県の総合診療/県内全体は2018年度 0/39、2019年度 2/50、2020年度 1/57、2021年度 1/45、2022年度 2/44、2023年度 2/53、2024年度 3/51、2025年度 1/44、2026年度 0/44で、2018〜2025年度の通算は12/383(3.1%)。全国の総合診療/全体は2019年度 179/8,615、2020年度 222/9,082、2021年度 206/9,183、2022年度 250/9,448、2023年度 285/9,325、2024年度 290/9,454、2025年度 300/9,762、2026年度 282/9,998であり、総合診療の全国採用数は2025年度の300名から2026年度に282名へ減少している
  5. 5救急科/救急部/総合診療部 部長・スタッフ紹介福井大学医学部附属病院 · accessed 2026-08-18裏付けた主張: 診療科の名称そのものが「救急科/救急部/総合診療部」と三者を併記する形になっている。スタッフ紹介の筆頭に肩書き「科長・救急部長・総合診療部長・教授」、氏名「林 寛之」、専門領域「救急初期診療・外傷」と記載され、一人が救急科科長・救急部長・総合診療部長を兼務していることが確認できる。医学部側のページ(https://www.med.u-fukui.ac.jp/laboratory/emergency/)は「大学病院ではまれな「北米型ER」を導入して以来、救急患者数は大きく増加し、その数は、全国国立大学病院の中で3番目に位置しています。また、救急部と総合診療部の合体運営によるER型診療の試みは全国に例がなく本院の特色の一つとなっています」と記す(この自己記述には年次の注記がない)。同ページは林寛之の着任を平成23年とし、寺澤秀一は現在、地域医療推進講座の特命教授として掲載されている。なお2008年以降にこの合体運営を評価した公表文献は、J-STAGE(寺澤秀一・寺沢秀一の全ヒットを確認)、CiNii Research(全117件を列挙)、医学書院医学界新聞、日経メディカル、福井大学の各サイトのいずれからも見つからなかった
  6. 6若手総合診療医の定着率88.1%を達成 島根発の教育モデルが地域医師不足解消の成功例として国際誌に掲載島根大学医学部 · 2026 · accessed 2026-08-18裏付けた主張: 令和8年5月29日付のプレスリリース本体。添付資料2枚のうち1枚目が「総合診療専門研修プログラムの採用者数および地域枠出身者数」と題した年次表で、年度・採用者数・うち地域枠出身者数・全専攻医割合を H31 から R7 まで掲げる。値は 0名/0名/0.0%、3/0/6.8%、5/3/10.9%、7/3/11.5%、5/2/17.9%、5/4/12.5%、9/3/15.8%、8/2/14.0%。採用者数の合計は42名で論文のN=42と一致し、地域枠出身者の合計は17名となる。注記は「地域枠等とは、島根大学(地域枠、緊急医師確保対策枠、県内定着枠、学士地域枠)、鳥取大学(島根県枠)および県奨学金貸与者を指す」、出典は「島根県 地域医療対策関係資料、島根大学医学部附属病院 総合診療医センター集計」。同じ資料は「地域枠医師のキャリアパス確立」という見出しのもとで「R2年度以降、地域枠出身者の養成が定着している。卒前からの継続的な関わり(卒前臨床実習や卒後教育、進路支援等)により、地域枠生が迷わず総合診療のみちを選択できるルートが確立された」と述べる。2枚目の定着率スライドは基準時点を「2025年3月時点」とし、また「国際トップジャーナル JGIM に論文投稿中」と記しており、掲載前に作成された資料が添付されたものと読める(論文本文の基準時点は2026年1月)。本体本文には17の連携医療機関、Slack と Zoom による Virtual Office、厚生労働省「総合的な診療能力を持つ医師養成拠点の形成事業」での評価が記されている
  7. 7医学生地域医療奨学金島根県健康福祉部 · accessed 2026-08-31裏付けた主張: 島根県の医学生地域医療奨学金の制度説明。6年間貸与の場合の返還免除要件を「医師国家試験合格後12年の間に、島根県内で臨床研修を受け、その期間も含め9年間(うち4年間は特定地域)勤務で返還を免除」と定める。すなわち県内での臨床研修と、その期間を含む9年間の県内勤務が要件であり、診療科の指定に関する記載はない。対象は島根大学医学部の「地域枠推薦」「緊急医師確保対策枠推薦」「一般入試県内定着枠」および鳥取大学医学部「島根県枠」、全国大学枠でほぼ同じ条件が示される。ただし記載は「令和4年度以降に貸与決定された方」についてのものであり、それ以前の貸与決定者の要件は本ページからは分からない
  8. 8総合的な診療能力を持つ医師養成拠点の形成事業 実施要綱(案)厚生労働省医政局医事課医師臨床研修推進室 · accessed 2026-08-18裏付けた主張: 事業の目的を「総合診療医を養成・確保するための拠点(総合診療医センター)を」大学内に設置し「地域医療の現場に総合診療医を確保すること」と定める。実施主体の要件(3)は「別枠方式の地域枠入学試験を実施しており、地域枠入学者が、当該大学の総合診療専門医を養成するプログラムの研修を受けた実績を有すること。また、過去に事業を実施していない大学においてはその見込みがあること」。要件(2)は責任者の選任について「地域医療における診療実績や指導実績を含めた活動実績を評価し、博士の学位の保持や研究上の業績を必須の要件としない選考を行うこと」と定める。事業内容には広域ネットワークの構築、大学内への総合診療科医師を責任者とする講座の設置、卒前教育のコーディネートに加え、「総合診療医を希望する地域枠医学生等の選考時から卒後のキャリア支援まで一貫した指導行うため、総合診療医等の人材データベースを保有した上で、都道府県の策定したキャリア形成プログラム等と連携する」ことが含まれる。またその他の項に「医政局長は、地域枠医学生等の採用、育成にあたって、大学に犯罪又は不適正な行為が認められた場合…補助金の全部又は一部を交付しないことがある」とある
  9. 9島根県保健医療計画(令和6年4月) 第7章 医療従事者の確保島根県 · 2024 · accessed 2026-08-18裏付けた主張: 「3)島根県の医師偏在指標における相対的位置」の項に「● 島根県の医師偏在指標は 265.1、全国 18 位で医師少数でも多数でもない都道府県に位置しています」と記す。二次医療圏別では「医師偏在指標において、全国の二次医療圏と比較して、雲南、大田、益田の各圏域が下位 1/3 に位置し、松江、出雲、浜田の各圏域が上位 1/3 に位置しており、隠岐圏域はどちらにも該当していません」とし、これに基づき「「雲南、大田、益田」の各圏域を医師少数区域に、上位 1/3 に位置する「松江、出雲、浜田」の各圏域を医師多数区域に設定します」と定める。県内の専門研修プログラムによる専攻医採用状況を示す表も収録しており、その総数は日本専門医機構の年次報告と一致する
  10. 10医師の偏在(人口10万対医師数)/島根県の医師数島根県医療政策課(令和6年医師・歯科医師・薬剤師統計、令和6年12月31日現在) · 2026 · accessed 2026-08-18裏付けた主張: 人口10万対医師数は島根県全体334で全国順位9位、全国値は281。二次医療圏別では松江292、雲南193、出雲507、大田238、浜田294、益田281、隠岐194であり、県内最高の出雲と最低の雲南で2.6倍の開きがある。併載の島根県の医師数(https://www.pref.shimane.lg.jp/medical/kenko/iryo/ishikakuhotaisaku/siryou.data/R6ishisu.pdf)では令和6年の島根県の総医師数は2,143人で、前回調査(令和4年)比マイナス10人。全国は347,772人で前回比プラス4,497人であり、全国が増加するなかで島根県の実数は減少している。すなわち人口10万対の密度上昇は人口減少による効果を含む
  11. 11ネットワークで社会を変える(後編)Good Design Journal(公益財団法人日本デザイン振興会、取材・撮影 石黒知子、しまね総合診療センター長 白石吉彦) · 2023 · accessed 2026-08-18裏付けた主張: グッドデザイン賞受賞の反響を問われた白石吉彦が「島根県は、総合診療医の数としては、対人口比率で全国平均の4倍、日本トップクラスを誇ります。これは島根では高齢化が加速していたため、総合診療医の育成にいち早く取り組んできたためです。でも、しまね総合診療センターという存在や、島根で総合診療医をつくる仕組みができていることは、まだ多くの方が知らないのです」と述べている。この4倍という数値について、記事中に出典・分母・総合診療医の定義はいずれも示されていない。同じインタビューで白石は「40の手技なら98パーセントの患者を診ることができます。しかし多くの場合、総合診療科でなく外科を訪れているのが実情です」とも述べる
  12. 12地域医療支援学講座 講座のご案内/大田総合医育成センターとは島根大学医学部 地域医療支援学講座/大田市立病院 · accessed 2026-08-18裏付けた主張: 地域医療支援学講座は「平成22年4月に島根県の寄付講座として島根大学医学部内に設置されました」と自ら記す。連携先として「地域医療教育学講座、地域医療政策学講座、総合医療学講座、卒後臨床研修センター」を挙げており、島根大学医学部に地域・総合診療系の講座が複数並立していることがわかる。大田市立病院のページ(https://www.ohda-hp.ohda.shimane.jp/1937.html)は「島根大学医学部では、幅広い診療能力を持つ総合医を育成するため、大田市からの寄附により医学部内に「総合医療学講座」を開設し、併せて、大田市立病院内には地域における診療の充実と教育、研究、研修の実践の場として、大田総合医育成センターを2011年10月に設置しました」と記す。いずれも総合診療医センター(2021年設置)より10年前に設置された寄附講座である

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