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03 総合診療という領域/JAPANOTHER

総合診療専門医は、増えているのか

2018年、総合診療は19番目の基本領域として制度化された。それから8年、専攻医数は全体の3%前後で推移し、2026年度は2021年度以来の減少になった。専門医937人の内訳、志望する医学生14.6%との隔たり、期限を超過した標榜科の議論、そして米国家庭医療が1960年代に経験した募集難との重なりから、この制度の現在地を検証する。

公開2026-08-18
更新2026-08-31
出典38 SOURCES

ダイジェスト解説 VIDEO

2018年、総合診療は19番目の基本領域として、日本の専門医制度の中に正式な位置を得た。それまで「必要だが名づけにくかった仕事」だったものが、制度上の専門領域になった——これ自体は、日本の医療にとって小さくない転換だった。

それから8年が経つ。制度は定着したと言えるのだろうか。この問いを、公式データと、日本語・英語双方の文献から検証する。総合診療医を目指す立場の人間として、自分がこれから入っていく制度の現在地を、できるだけ正確に把握しておきたいという動機もある。

公式データが示す8年間——そして2026年の反転

日本専門医機構が2026年7月に公表した「専攻医採用実績数 診療科別一覧表」(令和8年3月2日時点の確定値)は、制度開始からの全期間を一望できる1。

年度総合診療全19領域計比率
20181848,4102.19%
20191798,6152.08%
20202229,0822.44%
20212069,1832.24%
20222509,4482.65%
20232859,3253.06%
20242909,4543.07%
20253009,7623.07%
20262829,9982.82%

(比率は公表された2つの数値からの計算による)

注目すべきは最終行である。2026年度、総合診療の専攻医数は2021年以来はじめて前年から減少に転じた(300→282、-18人)。しかも同じ年、全19領域の合計は過去最多の9,998人に達している。比率は2.82%と、2023年の水準を下回った。

ただし公開時の本文は、ここで「全体が増える中で総合診療だけが減った」と書いていた。これは誤りである※訂正。同じ2025→2026年で、皮膚科308→259、放射線科326→290、耳鼻咽喉科278→262、形成外科226→210、眼科347→341、病理109→91と、複数の基本領域が前年割れしている。全19領域の合計が過去最多を更新する中で減った領域の一つ、というのが正確である。総合診療の減少は単独の現象ではない。

なお記事の説明文で「ついに前年から減少に転じた」と書いたのも、強すぎる表現だった。総合診療は2018→2019年(184→179)、2020→2021年(222→206)にも前年割れしており、2022年度から4年続いた増加が途切れて2021年度以来の減少になった、というのが起きたことである。

比較のために、同じくシーリング(都道府県・診療科別の定員上限)の対象外とされている救急科を見ると、同期間で267人から527人へとほぼ倍増している。総合診療の184人→282人(+53%)とは対照的である。

この鈍さは、分野の内部でも率直に語られてきた。日本プライマリ・ケア連合学会の当時の理事長・草場鉄周は2024年、「研修を開始する専攻医数は300名程度と伸びは鈍く、医学生・研修医に対する広報がまだ不足しています」と述べ、内科や救急科とのダブルボード希望者の実態把握や資格更新のあり方を未解決の課題として挙げた上で、総合診療科の標榜については「大きな宿題として残っている状況」としている2。

機構自身も、この数字を率直に評価している。2026年3月発行の『日本専門医制度概報』で、理事長・渡辺毅は次のように書いている——「総合診療専門医は少子高齢化時代の日本の国民医療にとって中心的役割が期待され、当機構設立時に19番目の基本領域として設置され、単一の担当領域学会がないことから当機構が運営しています。しかし、2018年の制度開始以後に専攻医登録は徐々に増加していますが、2025年度300名(全体の3%程度)に達した程度です」3。同じ文書は、未解決の課題として「総合診療専門医の社会的定着」を明示的に挙げている。

なお、英語圏の文献が報告してきた数値——2018年に8,410人中184人、2022年に9,448人中250人4、2018〜2020年の3年間で26,107人中585人(2%)5——は、この公式データと完全に一致する。

専門医937人の内訳——「移行措置」という実態

専攻医(研修中の医師)ではなく、資格を取得した総合診療専門医の数を見ると、別の事実が浮かび上がる。2025年4月時点で937名。これは他の基本領域と比べて際立って少ない(小児科16,711名、整形外科17,996名、救急科4,489名)3。

さらに重要なのは、その内訳である。ただし公開時の本文は、ここで整合しない数字を並べていた※訂正。2023年度について「特任指導医169名・専攻医148名・家庭医療移行34名」と書いたが、合計は351名で、同じ資料の2023年度340名と合わない。

そして「新制度修了者は4割程度」という結論も、現在のデータでは維持できない。機構が公表している2024年度の内訳は、総合診療専門研修を経て171名、特任指導医の移行措置96名、家庭医療専門医の移行措置12名、計279名である。新制度の研修修了者が61.3%で、過半数を占めている6。

移行措置から通常の研修経路への世代交代は、進んでいる。なお約4割が移行措置による認定である、というのが現在の姿である。

この「特任指導医」という制度自体が、発足時の構造的な困難を物語っている。制度開始時点では総合診療専門医が一人も存在しなかったため、指導する側を先に用意する必要があった。特任指導医は11の代替経路——大学病院や臨床研修病院の総合診療部門に所属する医師、都道府県医師会や郡市区医師会からの推薦を受けた医師などを含む——から認定されている。指導される制度によって指導者が認定されるという循環が、初期には避けられなかったということである。言い換えれば、この分野には最初から先例となる完成形が存在しなかった。

そしてもう一点、他の18領域と決定的に異なる構造がある。総合診療専門医は、制度を担当する単一の学会が存在しない唯一の基本領域であり、そのため機構自身が制度を運営している。機構の『概報』は、総合診療専門医検討委員会の項に「学会がないため、会員数は0人」「学術誌 なし」と記載している3。

ただし、これを「この分野に学会も学術誌もない」と読むのは誤りである。日本プライマリ・ケア連合学会は和文誌と英文誌(Journal of General and Family Medicine、Wiley発行、PubMed収載)を、日本病院総合診療医学会も独自の学会誌を持つ。正確には、学問的な足場が存在しないのではなく、単一の担い手に集約されていないということである。内科なら日本内科学会、小児科なら日本小児科学会というように、他の18領域が「その領域を代表する一つの学会」を持つのに対し、総合診療では家庭医療と病院総合診療という二つの系譜が別々の学会として並立し、専門医制度そのものはそのどちらでもなく機構が抱えている。

志望と登録の乖離

ここで、しばしば見落とされる数字を挙げたい。日本医師会総合政策研究機構が2015年に実施した医学生1,309人への調査では、将来専門にしたい診療科(2つまで回答)として総合診療科を挙げた学生は14.6%にのぼった。内科33.8%、小児科19.3%に次ぐ3番目で、外科の14.4%を上回っている。報告者自身が「総合診療専門医…を志望する医学生の割合がやや多いことは目立つ」と注記しているほどである7。

ただしこの14.6%と、専攻医登録の2〜3%を直接引き算してはいけない※訂正。この調査は2診療科まで回答できる設計で、しかも専門医新制度の開始前である。専攻医登録のほうは数年後の別コホートが最終的に選んだ単一の基本領域である。同一集団を追跡した数字ではないので、この差を個人レベルの「離脱率」として読むことはできない。

言えるのは、学生段階で選択肢として挙げる割合と、専門研修開始時に実際に選ばれる割合の間に大きな隔たりがある、という検証すべき仮説が立つ、というところまでである。

医学生の14.6%が関心を持ち、実際に専攻医として登録するのは2〜3%。この乖離こそが、この制度の中心的な問題である。「そもそも人気がない」のではなく、関心を持った人が最後まで残らない構造がある、ということになる。

なぜ選ばれないのか

日本語の質的研究は、この乖離の中身をかなり具体的に描き出している。

総合診療に興味を持ちながら最終的に臓器別専門医を選んだ研修医5名への研究(M-GTA)では、「将来の不安」と並んで「臓器別専門医からの批判」が主要因として抽出された。対象者全員が、他科の専門医から否定的な働きかけを受けていた。研究に記録された語りは端的である——「皆さんそろって言われたのが、やっぱり何をするんだろうねっていう。ネガティブキャンペーンはありましたね。中途半端になっちゃうと」8。

総合診療を志向している医学生10名への別の研究でも、志向していてなお障壁となる要因として「周囲の評判の悪さ」「キャリアパスの不明瞭さ」「卒前教育の不足」「専門医制度の複雑さ」が挙げられている9。研修中の専攻医107名への調査では、「目指す医師像が不明瞭」という回答が7割に達した10。

「キャリアパスの不透明さ」は、抽象的な不安ではなく、実際に測定されている。日本プライマリ・ケア連合学会の家庭医療専門医後期研修プログラム全160件を悉皆調査した研究によれば、web上の情報で給与の記載がないものが31.0%、常勤の記載があるものが49.6%、そして無期雇用であることを確認できるものはわずか8.5%だった11。裏を返せば、9割以上のプログラムについて、応募しようとする医師は「この仕事が任期付きなのかどうか」すら事前に判断できなかったということである。

英語圏の研究も、同じ方向を指している。全国横断研究は、総合診療科のローテーション経験(調整オッズ比3.39)と2か月を超える地域医療研修(同13.35)が総合診療の選択と強く関連することを示す一方、考察において、認定された総合診療専門医がまだ存在しなかったことが専攻医に具体的なキャリア像を描きにくくさせた可能性を指摘している5。日本プライマリ・ケア連合学会の専攻医部会は、自らの立場から「日本におけるジェネラリスト養成の現行制度は混沌とした移行期にある」と率直に述べ、あわせて「日本で専攻医がどのように支援されているかについての具体的なデータは存在しない」とも指摘している12。

診療科の「地位」が進路選択に影響することは、他国でも一貫して観察されている。スウェーデンの若手医師への質的研究は、地位が低いと認識されている診療科にとって人気を高めること自体が課題になり、採用と定着に問題が生じやすいと述べている13。ただし、こうした研究が総合診療そのものを対象にしているわけではない点は、正確に扱っておきたい。

一方で、対策として何が有効かについては、慎重な読み方が必要である。プライマリケア医の採用・定着策に関する系統的レビュー(51研究、無作為化比較試験はゼロ)は、金銭的インセンティブについて「弱く、一貫しないエビデンス」があるとし、地方出身者の入学・学部段階での地方実習・卒後の地域配置については「弱いエビデンス」があるとする。しかし同じレビューは、専門職としての能力開発への支援やウェルビーイング支援については「結論を導くには研究の質が不十分であった」と明記している14。効果があると証明されたわけでも、ないと証明されたわけでもない、というのが現状である。不人気診療科の研究が示すもう一つの教訓は、「一つの解決策がすべてに当てはまるわけではない」ということでもある15。

三つの未完成——標榜科、サブスペシャルティ、データ

制度が抱える未完成部分は、相互に絡み合っている。

第一に、標榜科。総合診療科は、医療法施行令に定める広告可能な診療科名に含まれていない。基本領域19のうち、これができないのは総合診療だけである。この論点は2024年6月の規制改革実施計画で閣議決定され、「令和6年度検討開始・令和7年結論」という期限が明記された16。ただし「期限そのものが削除された」という書き方は正確でない※訂正。比較しているのは規制改革実施計画と地方分権改革の対応方針という別系列の政府文書である17。言えるのは、2024年の規制改革実施計画が設定した「令和7年中に結論」という期限までに決着せず、2026年時点でも検討が続いている——政府自身が設定した期限を超過した、ということである。2026年6月時点のフォローアップでも、措置状況は「検討中」のままである18。厚生労働省の説明は「総合診療に関連する学術団体等に検討を依頼しているところ」というものだが、これを「判断を学会側に委ねた」と読むのは正確でない※訂正。医療法上、標榜診療科を定める際には厚生労働大臣が学術団体や医道審議会の意見を聴くことになっており、法定の手続きの一環である。最終的な制度判断は厚生労働省・医道審議会の側に残る。なお検討を依頼された総合診療専門医検討委員会は「学会」ではなく、日本専門医機構の委員会である19。言えるのは、専門性の内容についての意見が学術団体側から示されるのを待っている段階だ、ということまでである。

その学会側——日本専門医機構の総合診療専門医検討委員会は、公式FAQで次のように述べている。「当局に申し入れを行っていますが、仮に総合診療科の標榜が認められた場合、求められる総合診療医像とは関係なく総合診療科を標榜し、国民や患者に混乱を来す可能性もあり、総合診療が浸透するまで標榜科としての承認を待つ方が良いとする考え方もあるようです」20。つまり、分野の内部にも慎重論がある。日本プライマリ・ケア連合学会は2026年、前野哲博理事長のもとで関連2学会と連名の要望書を年内に提出する方針を示しており21、状況は動きつつある。

第二に、サブスペシャルティ。2021年、日本病院総合診療医学会と日本プライマリ・ケア連合学会は合同声明を出し、総合診療専門医取得後の進路として「病院総合診療専門医」(2022年4月開始目標)と「新・家庭医療専門医」(2020年4月開始)を提案した22。これは、まさに「キャリアパスの不透明さ」への回答として設計されたものだった。しかし2026年3月発行の『日本専門医制度概報』——機構認定のサブスペシャルティを網羅的に列挙した172ページの文書——には、「家庭医療」も「病院総合診療」も登場しない。いずれも学会認定にとどまり、機構認定のサブスペシャルティにはなっていない。同概報自身が「サブ領域専門医制度の構築は未完成です」と記している3。

第三に、データそのもの。ただしここは、公開後に自分で確かめて誤りだと分かった※訂正。

公開時の本文は「総合診療専門医が全国にどう分布しているかを示す統計は存在しない」「標榜科の問題とデータの問題は、同じ一つの問題だ」と書いていた。これは成立しない。

総合診療専門医は2022年の省令改正で医師届出票の資格項目に加えられており、三師統計では資格として集計されている。本稿の後に書いた別の回で第37表を実際に取得して数えたところ、医療施設に従事する総合診療専門医は1,046人で、主たる診療科とのクロス集計まで取れた。二次医療圏・市区町村別の集計も公表されている。

つまり「標榜科として見えないこと」と「専門医資格として行政統計で数えられないこと」は、同じ問題ではなかった。——診療科名としては標榜できない。だが資格としては、所在地まで数えられる。

残っている空白は、別の場所にある。資格を取った後にどこへ移動したか、実際に総合診療を主業務としているか、地域に定着しているか、ダブルボード取得後にどう働いているか。「数える枠がない」のではなく、「資格の所在は数えられるようになったが、その資格が地域でどんな診療機能として使われているかを追う統計が弱い」——これが正確な形である。制度開始から8年、修了者を追跡したコホート研究も、定着率のデータも見つかっていない。

わずかに存在する手がかりは示唆的である。機構が自ら公表している調査(回答269/307)によれば、総合診療専門医の勤務場所は市中病院57.8%、診療所23.7%、大学病院17.8%である6。前身資格にあたる家庭医療専門医の悉皆調査(2014年、302名回答)でも、勤務先は診療所148名・病院146名とほぼ半々で、勤務地の市区町村人口は10万人以上が63.5%、1万人未満はわずか6.6%だった23。ただしこの二つを重ねて「都市部の病院総合医になっている」と結論することはできない※訂正。前者は2023年時点の総合診療専門医307人中269人の回答で、言えるのは病院勤務が多いということまでである。後者の市区町村人口の内訳は、2014年の旧・家庭医療専門医についての調査である。別の資格・別の時点のものを組み合わせている。また総合診療専門医の到達目標は地域のニーズに応じた幅広い診療であって、へき地診療所医に限定した制度ではない。

なお同じ機構調査では、資格取得への満足度が「はい」88.1%と高い6※追記。ただしこれは937人全体ではなく、2023年3月に実施された回答者98人のアンケートで、その半数以上が特任指導医の経路である。現在の新制度修了者を代表しているとは限らない。

政府の並行した賭け——養成ではなく学び直し

見落とされがちだが、政府は総合診療医を増やす手段として、専門医制度とは別の経路にも投資している。2024年12月の「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」は、「若い世代を中心とした専門医制度における総合診療専門医の養成に加えて、中堅以降の医師を主な対象として、地域で働く上で必要とされる総合的な診療能力について学び直すためのリカレント教育に係る取組を推進する」と明記している24。

日本専門医機構も既存の専門医向けのリカレント教育を準備しており、日本病院会は独自に「病院総合医」の認定を2018年4月——専門医制度と同じ月——に開始している。ただし、ここから「三つの組織が独立に、既存の臓器別専門医を再訓練する方が早いという判断に至った」と読むのは行き過ぎだった※訂正。これらはいずれも専門医制度による養成を否定しておらず、政策文書自身が「専門医制度における総合診療専門医の養成に加えて」と書いている。日本病院会の「病院総合医」も、専門医制度の代替ではなく病院勤務医の総合的な診療能力を対象とした独自認定である。確認できるのは、専門医制度による新規養成だけでは当面の需要に間に合わないという認識が複数の主体で共有されている、という並行投資の事実までである。どちらが早いと判断したかは、これらの資料からは読み取れない。

なお、シーリング制度において総合診療科が対象外とされている理由は、8回の募集サイクルを経た2026年時点でも「今後の役割についてさらなる議論が必要とされている等の理由」のままである1。

米国家庭医療との比較——general practice から family medicine への再構成※訂正

日本の総合診療を米国の家庭医療と比較する議論は、実は日本国内で繰り返し行われてきた。東京大学の大西弘高は、2018年の厚労科研報告書で「英国や米国が総合診療、家庭医療の認定を行うようになったのと比べると、制度としては半世紀ほどの遅れを見ている」と述べている25。

米国家庭医療の歴史は、確かに参照に値する。家庭医療は1969年、米国家庭医療委員会の設立とともに20番目の専門科として公式に認められ、卒後研修は1970年の290人から1978年には6,000人を超えるまで拡大し、医学部の3分の2に講座が設置された26。数の面では、日本とは比べものにならない速度である。

しかし——ここが重要なのだが——米国は、その1969年の成功の前に、一度失敗している。大西の報告書はこの経緯を記録している。米国医師会の病院医学教育協議会は1959年に総合診療準備に向けた報告書を提出し、パイロットとなる2年間の総合診療プログラムを16策定した。これは1963年には165プログラム・783人の枠まで拡大したが、「その47%しか定員が埋まらず、しかもその半数以上が外国医学部卒業者であったことから、10年以内にこれらのプログラムは閉じられるに至った」。そして大西は、その原因をこう記している——「総合診療医の専門性が明確でなく、学問基盤がなく、専門医との明確な違いを打ち出せなかったことが挙げられている」25。

ただし「失敗して廃止され、1969年にゼロから再出発した」という筋書きは、公開時の本文が単純化しすぎていた※訂正。1969年以降のfamily practice residencyは、既存のgeneral practice residencyを転換したものを含んでおり、白紙から作り直されたのではない。低迷していたgeneral practiceを、学問基盤・専門性・認定制度を備えたfamily medicineへ再構成した、というのが実態に近い。「制度を作ったが人が来なかった」という事実と、「専門性の説明が弱かった」という診断は保持できるが、そこから「一度全部やめた」を導くことはできない。

専門性が明確でない。学問基盤がない。他の専門医との違いを打ち出せない。これは、2026年の日本の総合診療が直面している状況の、ほぼ正確な記述である。

そして1969年の制度化後も、米国家庭医療の課題は消えなかった。医療史家のRosemary Stevensは、1969年から2000年の30年を検証し、「プライマリケアのための正式な行政的枠組みが存在しなかったことが、家庭医療の明確な役割にとって最大の障害であった」「医療の他のあらゆる部分から自らを区別することも困難であった」とし、「米国文化における家庭医療の役割は、1969年に構想された潜在的な役割よりも、今や不明確になっている」と結論づけた27。2002年の別の分析も、家庭医の役割規定の不十分さと、「改革運動なのか既成の専門科なのかという混乱」を指摘している28。研究基盤についても、「1969年に家庭医療が確立された当時、研究は優先度の低い課題であった」とされ、学術的承認を得るための苦闘は長く続いた29。

新しい専門領域が制度的承認だけでは定着しないというのは、家庭医療に限った話ではない。インドの救急医学の専門科化を分析した研究は、関係者ネットワークの分断が「より広範な政策課題への結集を困難にし、最終的に不確実な長期的道筋をもたらした」こと、研修プログラムの形態が複数併存し「調整と標準化は限定的であった」ことを報告している30。新興専門職のアイデンティティ形成が制度設計と同時進行することの困難は、より一般的な現象として論じられている31。

もっとも、米国を無条件の成功例として参照するのは正確でない。大西と錦織は2008年の時点で、米国のプライマリケア医の待遇の相対的な低さと医学生の債務負担を指摘し、「米国医学部卒業者はプライマリケア医になりたがらず、ポジションの半分以上は外国人によって占められている」と述べている32。制度が定着することと、その分野が魅力的であり続けることは、別の問題である。

数字で見た場合の落差も押さえておきたい。英国では2017年度、後期研修1年目の全枠8,846のうちGP枠が3,857——全体の44%を占める33。日本の2.82%とは、桁が違う。

ただし、この二つを同じ物差しの上に並べることはできない※追記。英国のGPはNHSの入口を担う独立した職種であり、一次医療への入職経路がほぼGP研修に一本化されている。日本では一次医療の相当部分を一般内科医、臓器別専門医の開業医、小児科医が担っており、総合診療専門医の専攻医数が日本の一次医療の担い手の総量を表しているわけではない。この44%と2.82%が示しているのは一次医療人員の規模差ではなく、専門医制度の中で「総合診療」という枠がどれだけの位置を占めているかの違いである。

なお、日本が1980年代に一度、米国型の家庭医制度導入を試みて頓挫していることも記録に残っている。小泉俊三は、「米国の家庭医レジデンシーを体験した若手医師が次々と留学から帰り」構想が提示されたが、「性急に米国式の制度を直輸入するものとの、日本医師会を中心とした消極論により、この提言は、すぐには根付かなかった」と記している34。

成功している例もある

全体像は厳しいが、個別のプログラムには明確な成功例がある。島根大学の地域総合診療プログラムは、2018〜2025年に42名の専攻医を受け入れ、年間採用率は専攻医全体の15.8%と、全国平均2.6%を大きく上回った(P<0.001)。2026年1月時点で88.1%(37/42)が県内ネットワークに残留している35。これは単一施設の記述的評価であり、対照を置いた研究ではないため、因果を主張できるものではない。しかし少なくとも、総合診療が本質的に選ばれない分野なのではなく、設計次第で選ばれうることは示している。

教育介入の効果については、慎重な見方もある。神戸大学の岡山雅信は、日本では地域基盤型臨床実習が学生の態度には良い影響を与えるものの進路選択への効果は不十分であるとし、必修の学部地域医療教育とその後の総合診療選択との間に正の関連が見られなかったというエビデンスを引用した上で、縦断的統合型臨床実習(LIC)への転換を提案している36。全国コホート研究でも、自治医科大学や地域枠の出身者と全医師との間で、卒後3〜5年目に内科または総合診療を専門とする割合に有意差は認められていない37。

なお、2024年4月から施行された医師の働き方改革は、外科・脳神経外科・整形外科・産婦人科・救急科での人員不足を地方に集中させると予測されており38、地域の総合的な診療能力への需要は、今後むしろ高まる可能性が高い。

総合診療専門医制度の8年を検証して、最も印象的だったのは、2026年度の数字だった。全体が過去最多の9,998人に達する中で、総合診療が300人から282人へ減った(前述のとおり、減ったのは総合診療だけではない※訂正)。この1年だけを取り出して趨勢を語ることはできないが、少なくとも「時間が解決する」という見通しは、いったん保留すべきだと思う。

そして、この制度の問題を「志望者が少ない」と要約するのは、正確ではないことも分かった。医学生調査では14.6%が志望科として挙げ、機構の調査に答えた取得者の88.1%が満足だと答えている。それでも専攻医登録は2〜3%にとどまる。ただし、この三つを引き算して「関心を持った人が途中で失われている」と読むことはできない※訂正。別の集団・別の時点・別の設計の数字である。言えるのは、学生段階で選択肢に挙がる頻度と、専門研修の入口で実際に選ばれる頻度の間に大きな隔たりがあり、その隔たりが何によるのかを説明する縦断データが無い、というところまでである。日本語の質的研究が繰り返し指摘するのは、その「何か」が、他科の専門医からの否定的な働きかけであり、資格取得後の姿が見えないことであり、そして9割以上のプログラムで雇用が任期付きかどうかすら事前に分からないという、きわめて具体的な条件だった。

米国の総合診療プログラムが1959年から1963年にかけて充足率で行き詰まっていたという事実は、今回の調査で最も応えた発見だった。165プログラム、783枠に対して充足率47%。原因は「専門性が明確でなく、学問基盤がなく、専門医との明確な違いを打ち出せなかった」こと。この記述を初めて読んだとき、これが1960年代の米国についての文章だとは思えなかった。日本の総合診療が今いる場所と、重なるところがある※訂正。ただし「あまりに正確に重なる」とまで書いたのは言い過ぎだった。役割の曖昧さと専門職としてのアイデンティティという点では似ているが、制度の成熟度は異なる。1963年の米国のパイロットには正式な専門科認定も到達目標も学会基盤もなかった。現在の日本には、機構認定の基本領域としての位置づけ、到達目標、専門研修プログラム、937人の認定者、複数の学会と学術誌がある。似ているのは診断であって、症例の重さではない。

ただし、この相似は悲観の理由にはならないと思う。米国は低迷したgeneral practiceをfamily medicineとして組み直し、10年で6,000人規模まで拡大した。うまくいかなかったのは「総合診療という理念」ではなく、専門性を説明できないまま制度だけ作ったという設計だった。だとすれば、日本の現在地から見るべき教訓は明確である。専攻医が集まらないことを広報の不足や若手の意識の問題に帰する前に、この分野が何を専門とするのかを、他の18領域と区別できる形で説明しきれているかを問うべきだということになる。

ここで、質的研究に記録されていた一言に戻りたい。総合診療に関心を持ちながら他科を選んだ研修医たちが、周囲から繰り返し言われたという「やっぱり何をするんだろうね」という言葉である。これは単なる偏見や嫌がらせとして片づけるべきものではないと思う。この言葉に凝縮されているのは、役割が定義されていない分野に若い医師を送り出すことへの、ある種の不信感だろう。そして厄介なことに、その不信には一定の根拠がある。専門医偏重と言われる日本の医療文化の中で、「専門医と認められるだけの学問的な基盤を持っているのか」という問いは、この分野に向けられる限り、真っ当な批判として成立してしまう。ここで注意深くありたいのは、その基盤が存在しないわけではない、という点である。学会も学術誌もある。ないのは、それらを束ねる単一の中心であり、専門医制度そのものは、二つの学会のどちらでもなく機構が抱えている。米国の1960年代の低迷が「専門性が明確でなく、学問基盤がなく、専門医との明確な違いを打ち出せなかった」ことに帰されたのだとすれば、日本の課題は「基盤がない」ことよりもむしろ、基盤が一点に収束していないことなのかもしれない。

先例がないことも、同じ根から来ていると思う。制度開始時に総合診療専門医が一人もいなかったため、指導医を移行措置で用意せざるを得ず、資格取得者の過半数が今なおその経路から出ている。しかし先例とは、単に先に資格を取った人がいるということではない。目指すべき完成形が描けて初めて、それに近づいた人を先例と呼べる。理想の総合診療医像がはっきりしないうちは、先例が立ちようがない——これが、広報や待遇よりも一段深いところにある問題ではないかと思う。

だとすれば、制度の整備を待つだけでは足りないのだろう。標榜科も、サブスペシャルティも、定員の枠組みも、確かに必要ではある。しかしそれらが全て整ったとしても、「総合診療とは何を専門とする分野なのか」という問いに答えるのは、制度ではなく、この分野に身を置く人間の仕事である。総合診療の必要性は、最終的には総合診療医自身が勝ち取るしかない。そのために要るのは、理念の反復ではなく、継続的な研究と、他の領域に対して説明可能な学術体系だと思う。ただし、日本の総合診療の学術基盤が実際にどの程度構築されているのか——論文数、研究インフラ、他の基本領域との比較——を、私はまだ検証していない。(公開時の本文はここで「学会と学術誌が存在しないという構造上の事実は確認できた」と書いていたが、同じ段落の少し前で「学会も学術誌もある」と書いており、単純な書き間違いである※訂正。)学会と学術誌は存在する。しかしそれらが総合診療固有の知識生産を支える一つの学術基盤としてどこまで機能しているのかは、この時点では検証していない。そこから「学問の確立こそ最優先課題だ」と言い切るには、実際の学術活動の分析が要る。これは、この記事の次に取り組むべき宿題として残しておきたい。

その意味で、標榜科をめぐる現状は象徴的だった。閣議決定で明記された「令和7年中に結論」という期限を過ぎてなお、措置状況は「検討中」のままである※訂正。厚労省は法定の手続きとして学術団体の意見を求めており※訂正、その学術団体の側には「総合診療が浸透するまで待つ方が良い」という慎重論がある。ここで公開時の本文は「標榜できないから統計に載らず、そもそも数える枠がない」と書いたが、これは前述のとおり誤りである※訂正。三師統計は総合診療専門医を資格として数えており、二次医療圏別の分布まで公表されている。残っているのは「数える枠がない」ことではなく、資格を取った後にその医師が地域でどんな機能を果たしているかを追う統計が無いことである。「前提を疑う」シリーズで繰り返し確認してきた「データはあるはずなのに集計されない」という構造は、ここでも同じ形で——標榜科の不在という、より目立つ問題の陰に隠れた形で——現れている。

同時に、政府が総合診療医を確保する手段として、専門医制度の外側——中堅医師のリカレント教育——にも並行して投資していることは、冷静に受け止める必要がある。複数の主体が並行して既存の臓器別専門医の学び直しに投資しているという事実は、19番目の基本領域による新規養成のペースだけでは間に合わないという認識が共有されていることを示している。

それでも、島根大学の事例が示すように、設計次第で15.8%という数字は実現しうる。そして働き方改革が地方の診療科別人員不足を深刻化させる見通しである以上、地域で総合的に診られる医師への需要が減ることは考えにくい。

自分がこれから入っていく制度の現在地を調べた結論として言えば、これは「失敗した制度」ではなく、制度承認を得た後の、最も難しい第二段階にある制度だと思う。米国が半世紀前に通った道と同じ場所に、日本は今いる。違いがあるとすれば、日本には参照できる先例があるということだ。その先例が教えているのは、理念を掲げ続けることではなく、専門性を説明しきること、そしてキャリアの見通しを具体的な条件として示すことだった。8年経ってなお「今後の役割についてさらなる議論が必要」とシーリングの但し書きに書かれ続けている状態を、あとどれだけ続けられるのかが問われているのだと思う。

訂正 CORRECTIONS

公開後に直したこと。本文は直したうえで、何をどう変えたかをここに残している。本文中の※ が、直した箇所を指す。

  1. 訂正「総合診療専門医の分布統計は存在しない」「標榜できないから数える枠がない」を撤回した2026-08-31 · toukei公開時の本文は「総合診療専門医が全国にどう分布しているかを示す統計は存在しない」「標榜科の問題とデータの問題は同じ一つの問題だ」と書いていた。これは誤りである。総合診療専門医は2022年の省令改正で医師届出票の資格項目に加えられ、三師統計では資格として集計されている。本稿の後に書いた別の回で第37表を取得したところ、医療施設に従事する総合診療専門医は1,046人で、主たる診療科とのクロス集計も二次医療圏別の集計も存在した。残る空白は「数える枠がない」ことではなく、資格取得後にその医師が地域でどんな診療機能を担っているかを追う統計が弱いことである、と書き直した。私見・考察の該当箇所も同様に訂正した。
  2. 訂正「全体が増える中で総合診療だけが減った」は誤りだった2026-08-31 · gensho2026年度に前年割れしたのは総合診療だけではない。同じ2025→2026年で皮膚科308→259、放射線科326→290、耳鼻咽喉科278→262、形成外科226→210、眼科347→341、病理109→91など複数の基本領域が減っている。全19領域の合計が過去最多を更新する中で減った領域の一つ、というのが正確である。あわせて、記事の説明文にあった「ついに前年から減少に転じた」という表現も、2018→2019年と2020→2021年に前年割れの前例があるため「2021年度以来の減少」に改めた。
  3. 訂正認定内訳の数字の不整合を解消し、「新制度修了者は4割程度」を撤回した2026-08-31 · uchiwake公開時の本文は2023年度について「特任指導医169名・専攻医148名・家庭医療移行34名」と書いたが、合計351名は同じ資料の2023年度340名と一致しない。また「新しい専門研修プログラムを修了して資格を得た者は4割程度」という結論も、現在のデータでは維持できない。機構が公表している2024年度の内訳は総合診療専門研修171名・特任指導医の移行措置96名・家庭医療専門医の移行措置12名の計279名で、新制度の研修修了者が61.3%と過半数を占める。移行措置から通常の研修経路への世代交代が進んでいる、という記述に改めた。
  4. 訂正「都市部の病院総合医になっている」という結論を撤回した2026-08-31 · toshibu勤務場所の内訳(市中病院57.8%等)は2023年時点の総合診療専門医307人中269人の回答、勤務地の市区町村人口の内訳(10万人以上63.5%)は2014年の旧・家庭医療専門医302名の悉皆調査であり、別の資格・別の時点の数字を重ねていた。また総合診療専門医の到達目標は地域のニーズに応じた幅広い診療であって、へき地診療所医に限定した制度ではない。前者から言えるのは病院勤務が多いということまでである、と限定した。
  5. 追記満足度88.1%の母集団を明記した2026-08-31 · 881この数字は認定者937人全体ではなく、2023年3月に実施された回答者98人のアンケートに基づく。回答者の半数以上が特任指導医の経路であり、現在の新制度修了者を代表しているとは限らない旨を補った。
  6. 訂正医学生の14.6%と専攻医登録2〜3%の差を「離脱」と読む記述を撤回した2026-08-31 · 14-6医学生調査は2診療科まで回答できる設計で、しかも専門医新制度の開始前のものである。専攻医登録は数年後の別コホートが最終的に選んだ単一の基本領域であり、同一集団を追跡した数字ではない。したがってこの差を個人レベルの離脱率として読むことはできない。「入口の関心と出口の満足の間にある何かが人を失わせている」という私見・考察の記述も、学生段階で選択肢に挙がる頻度と専門研修の入口で実際に選ばれる頻度に大きな隔たりがあり、それを説明する縦断データが無い、という形に改めた。
  7. 訂正「期限そのものが削除された」を「政府自身が設定した期限を超過した」に改めた2026-08-31 · kigen比較していた規制改革実施計画と地方分権改革の対応方針は別系列の政府文書であり、後者に期限の記載がないことは前者の期限の削除を意味しない。2024年の規制改革実施計画が設定した「令和7年中に結論」までに決着せず、2026年6月時点のフォローアップでも措置状況が「検討中」のままである、という事実の記述に改めた。
  8. 訂正「厚労省が判断を学会側に委ねた」という記述を修正した2026-08-31 · iinin医療法上、標榜診療科を定める際には厚生労働大臣が学術団体や医道審議会の意見を聴くことになっており、学術団体への検討依頼は法定の手続きの一環である。最終的な制度判断は厚生労働省・医道審議会の側に残る。また検討を依頼された総合診療専門医検討委員会は「学会」ではなく日本専門医機構の委員会である。
  9. 訂正米国を「失敗→廃止→1969年にゼロから再出発」と描いた筋書きを修正した2026-08-31 · beikoku1969年以降のfamily practice residencyは既存のgeneral practice residencyを転換したものを含み、白紙から作り直されたのではない。低迷していたgeneral practiceを学問基盤・専門性・認定制度を備えたfamily medicineへ再構成した、というのが実態に近い。「制度を作ったが人が集まらなかった」という事実と「専門性の説明が弱かった」という診断は保持しつつ、「一度全部やめた」という含意を取り除き、節見出しも「米国自身の『失敗』」から「general practiceからfamily medicineへの再構成」に改めた。
  10. 訂正日本と1960年代米国の「あまりに正確に重なる」という表現を限定した2026-08-31 · souji役割の曖昧さと専門職アイデンティティという点では似ているが、制度の成熟度は異なる。1963年の米国のパイロットには正式な専門科認定も到達目標も学会基盤もなかった。現在の日本には機構認定の基本領域としての位置づけ、到達目標、専門研修プログラム、937人の認定者、複数の学会と学術誌がある。似ているのは診断であって症例の重さではない、と限定した。
  11. 追記英国44%と日本2.82%を並べる際の制度差を明記した2026-08-31 · uk英国のGPはNHSの入口を担う独立した職種で、一次医療への入職経路がほぼGP研修に一本化されている。日本では一次医療の相当部分を一般内科医、臓器別専門医の開業医、小児科医が担っており、総合診療専門医の専攻医数が日本の一次医療の担い手の総量を表しているわけではない。この比較が示すのは一次医療人員の規模差ではなく、専門医制度の中で「総合診療」という枠が占める位置の違いである旨を補った。
  12. 訂正リカレント教育への並行投資から読み取れる範囲を限定した2026-08-31 · recurrent「三つの組織が独立に、既存の臓器別専門医を再訓練する方が早いという判断に至った」という記述は行き過ぎだった。政策文書自身が「専門医制度における総合診療専門医の養成に加えて」と書いており、いずれも専門医制度による養成を否定していない。日本病院会の「病院総合医」も専門医制度の代替ではなく病院勤務医向けの独自認定である。確認できるのは、新規養成だけでは当面の需要に間に合わないという認識が複数の主体で共有されているという並行投資の事実までである、と改めた。
  13. 訂正末尾の「学会と学術誌が存在しない」という記述を訂正した2026-08-31 · gakkai同じ段落の少し前で「学会も学術誌もある」と書いており、単純な書き間違いだった。学会と学術誌は存在する。検証していないのは、それらが総合診療固有の知識生産を支える一つの学術基盤としてどこまで機能しているか、という点である。

出典 SOURCES

  1. 1令和8年度の専攻医採用と令和9年度の専攻医募集について(令和8年度第1回医道審議会医師分科会医師専門研修部会 資料1)日本専門医機構・厚生労働省 · 2026 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 「専攻医採用実績数 診療科別一覧表」(令和8年3月2日時点確定値)として、総合診療の専攻医採用数を2018年184人、2019年179人、2020年222人、2021年206人、2022年250人、2023年285人、2024年290人、2025年300人、2026年282人と示し、全19領域の合計を同期間で8,410人から9,998人と示している。また、シーリングの対象外とする6診療科として外科・産婦人科・病理・臨床検査・救急・総合診療科を挙げ、総合診療科を対象外とする理由を「今後の役割についてさらなる議論が必要とされている等の理由」としている
  2. 2総合診療専門医制度の近況日本プライマリ・ケア連合学会(草場鉄周・当時理事長) · 2024 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 「研修を開始する専攻医数は300名程度と伸びは鈍く、医学生・研修医に対する広報がまだ不足しています」と述べ、内科や救急科とのダブルボードを希望する専攻医の研修実態の把握と資格更新のあり方を未解決の課題として挙げ、総合診療科の標榜については「大きな宿題として残っている状況」としている
  3. 3日本専門医制度概報 令和7年(2025年)度版一般社団法人日本専門医機構 · 2026 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 理事長・渡辺毅による「発刊にあたって」で「総合診療専門医は少子高齢化時代の日本の国民医療にとって中心的役割が期待され、当機構設立時に19番目の基本領域として設置され、単一の担当領域学会がないことから当機構が運営しています。しかし、2018年の制度開始以後に専攻医登録は徐々に増加していますが、2025年度300名(全体の3%程度)に達した程度です」と述べ、また「総合診療専門医の社会的定着」を未解決の課題として挙げている。総合診療専門医数は937名(令和7年11月現在)で、担当学会が存在しないため学会認定数と機構認定数が一致する唯一の基本領域である。総合診療専門医検討委員会の項には「学会がないため、会員数は0人」「学術誌 なし」と記載されている。サブスペシャルティ領域の一覧には「家庭医療」「病院総合診療」のいずれも含まれておらず、「サブ領域専門医制度の構築は未完成です」と記されている
  4. 4Rural generalist medicine: a developing approach to health care in rural and island JapanRural and Remote Health, 24(2):8641(Schubert NS, Tsuzaki T, Evans R, Sen Gupta T, Larkins S, Battye KM) · 2024 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 総合診療専攻医は2018年に8,410人中184人、2022年には9,448人中250人であったと報告し、地域住民の受容と、総合診療を内科から区別してブランドとして確立することの必要性を指摘している
  5. 5Impact of the new Japanese medical specialty system on residents' career choices in general medicine: a nationwide cross-sectional studyBMC Medical Education, 25:1087(Yamamoto Y, Hatakeyama S, Matsumura M, Koike S) · 2025 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 2018〜2020年に専門研修に登録した26,107人のうち、総合診療を選択したのは585人(2%)であったと報告している。また総合診療科のローテーション経験(調整オッズ比3.39)と2か月を超える地域医療研修(同13.35)が総合診療の選択と有意に関連していた。考察では、認定された総合診療専門医がまだ存在しなかったことが専攻医に具体的なキャリア像を描きにくくさせた可能性を指摘し、この分野で明確なキャリアパスを確立することが依然として重要な課題であると述べている
  6. 6一般の皆さまへ(総合診療専門医検討委員会)一般社団法人日本専門医機構 総合診療専門医検討委員会 · 2025 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 総合診療専門医の取得者数を年度別に示し(2021年度74名、2022年度244名、2023年度340名、2024年度279名、総数937名、2025年4月1日現在)、2023年度の内訳として「特任指導医移行措置を経て169名、専攻医から148名、家庭医療専門医移行措置を経て34名」と注記している。また専門医取得者の勤務場所を市中病院57.8%・診療所23.7%・大学病院17.8%・その他0.7%(2023年4月20日現在、回答269/307)、「総合診療専門医を取得したことに満足していますか」への回答をはい88.1%・いいえ11.9%と示している
  7. 7医学生のキャリア意識に関する調査(日医総研ワーキングペーパー No.337)日本医師会総合政策研究機構(坂口一樹) · 2015 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 医学生1,309人への調査で、将来専門にしたい診療科(2つまで回答)として内科33.8%、小児科19.3%、総合診療科14.6%、外科14.4%という結果を示し、「総合診療専門医…を志望する医学生の割合がやや多いことは目立つ(14.6%、内科・小児科に次いで3番目に多く、外科の14.4%よりも多い)」と述べている
  8. 8なぜ総合診療医を選ばなかったのか?総合診療に興味を持ちつつ、臓器別専門医を選んだ研修医の進路決定要因に関する質的研究日本プライマリ・ケア連合学会誌 42(3):134-140(土田知也・家研也・西迫尚・松田隆秀) · 2019 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 総合診療に興味を持ちながら臓器別専門医を選んだ研修医5名への質的研究(M-GTA)で、選ばなかった理由として「将来の不安」と「臓器別専門医からの批判」が抽出された。対象者全員が臓器別専門医から否定的な働きかけを受けており、「皆さんそろって言われたのが、やっぱり何をするんだろうねっていう。ネガティブキャンペーンはありましたね。中途半端になっちゃうと」という語りが記録されている
  9. 9総合診療医をどう増やすのか?——総合診療医を志向する医学生のキャリア選択要因に関する質的研究日本病院総合診療医学会雑誌 18(4):225-233(田端佑規ほか) · 2022 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 総合診療を志向する医学生10名への質的研究で、志向していてもなお障壁となる要因として「周囲の評判の悪さ」「キャリアパスの不明瞭さ」「卒前教育の不足」「専門医制度の複雑さ」が抽出された
  10. 10日本プライマリ・ケア連合学会専攻医部会のこれまでの活動と今後の展望日本プライマリ・ケア連合学会誌 46(3):112-116(飯塚玄明ほか) · 2023 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 2021年4月に実施された専攻医107名への調査で、ポートフォリオ作成への不安が8割、専門医試験への不安が8割、目指す医師像が不明瞭という回答が7割、出産・育児への不安が5割であったと報告している(この調査結果自体は学術大会シンポジウムからの引用)。また「専門医機構が管理しJPCAは関与しない総合診療専門研修制度の複雑化により、情報過多になって必要性が高い情報が埋もれてしまっている」と構造的な原因を指摘している
  11. 11後期研修プログラムのweb情報はキャリア形成リスクの判断に不十分である——家庭医療専門医後期研修プログラム雇用情報全数調査日本プライマリ・ケア連合学会誌 39(3):157-162(賀來敦) · 2016 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 日本プライマリ・ケア連合学会の家庭医療専門医後期研修プログラム全160件(うち非大学129件を分析、2013年1月時点)のweb掲載情報を悉皆調査した結果、給与の記載がないものが40プログラム(31.0%)、常勤の記載があるものが64プログラム(49.6%)、無期雇用であることを確認できるものはわずか11プログラム(8.5%)にとどまった。「Web上の記載内容では雇用契約期間による区分の判断は困難だった。現在、雇用条件表記方法の学会規定はなく」と結論づけている
  12. 12Supporting general medicine residents in Japan: From the perspective of Japanese Association of Family Physicians Trainees, official committee of JPCAJournal of General and Family Medicine, 24(3):203-204(Otsuka Y, Yashima S, Ito K, Iizuka G)。読者投稿(Letter to the Editor) · 2023 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 日本プライマリ・ケア連合学会の公式委員会である専攻医部会の立場から「日本におけるジェネラリスト養成の現行制度は混沌とした移行期にある(The current system for training generalists in Japan is in a chaotic transitional period)」と述べ、必要な支援として(1)知識・技能・経験の獲得、(2)ネットワークの構築、(3)国際的視野の獲得、(4)生涯にわたるキャリアの4点を挙げている。また「いずれにせよ、日本で専攻医がどのように支援されているかについての具体的なデータは存在しない」と、全国的な実態データの欠如を指摘している。さらに、日本プライマリ・ケア連合学会の家庭医療サブスペシャルティ研修に属する専攻医のみが同会の支援を受けられ、病院総合診療を志向する専攻医はその枠組みの外に置かれるという構造的な問題にも言及している
  13. 13Sociological analysis of the medical field: using Bourdieu to understand the processes preceding medical doctors' specialty choice and the influence of perceived status and other forms of symbolic capital on their choicesAdvances in Health Sciences Education, 24(3):443-457(Olsson C, Kalén S, Ponzer S) · 2019 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: スウェーデンの若手医師15名への半構造化面接に基づく質的研究で、診療科ごとに社会的地位が異なること、そして「地位が低いと認識されている診療科にとっては、人気を高めることが課題となる」「一部の診療科は人材の採用と定着に問題を抱えている」と述べている。ただし本研究は総合診療・家庭医療そのものを対象としたものではない
  14. 14A systematic review of strategies to recruit and retain primary care doctorsBMC Health Services Research, 16(1)(Verma P, Ford JA, Stuart A, Howe A, Everington S, Steel N) · 2016 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: プライマリケア医の採用・定着策に関する系統的レビュー(51研究、うち比較群を持つものは15研究のみ、無作為化比較試験はゼロ)。金銭的インセンティブについては「弱く、一貫しないエビデンス」があるとし、地方の医療過疎地域での卒後研修配置・学部段階での地方実習・地方出身者の医学部入学が採用改善と関連するという「弱いエビデンス」を報告している。一方で「研究の質は、リテイナー制度、再参入制度、国際的な採用、専門のリクルーター、専門職としての能力開発や研究への支援、遅延パートナーシップ、ウェルビーイングや同僚間の支援、あるいは複合的アプローチについて結論を導くには不十分であった」と明記している
  15. 15Unpopular medical specialties: exploring the concept that 'the customer knows best'BMC Medical Education, 23(1)(Weissman C, Avidan A, Tandeter H, Zisk Rony RY) · 2023 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: イスラエルの医学部6年生119名と初期研修医84名を対象に、老年医学・麻酔科・救急医学が不人気である理由を調査し、「一つの解決策がすべてに当てはまるわけではない」と結論づけ、診療科ごとに異なる対策が必要であること、救急医学と麻酔科では金銭よりも生活様式・当直負担が支配的な要因であることを示している
  16. 16規制改革実施計画(令和6年6月21日閣議決定)内閣府 · 2024 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 項目14「患者本位のプライマリ・ケアの体制整備」として「厚生労働省は…標榜可能な診療科名に総合診療科を追加することについて、検討し、結論を得る。【実施時期】令和6年度検討開始・令和7年結論」と記載し、総合診療が基本領域の中で唯一標榜できない領域であること、また診療科名標榜部会が平成19年5月から平成20年2月にかけての議論以降開催されていないことにも言及している
  17. 17令和7年の地方からの提案等に関する対応方針(令和7年12月23日 地方分権改革推進本部決定)内閣府 · 2025 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 総合診療科の標榜科追加について「検討し、結論を得る。その結果に基づいて必要な措置を講ずる」と記載しており、令和6年の閣議決定にあった「令和7年中に結論を得る」という期限の記載が削除されている
  18. 18規制改革実施計画のフォローアップ結果について 参考資料6-2内閣府 規制改革推進会議 · 2026 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 総合診療科の標榜科追加について、令和8年3月31日時点の措置状況を「検討中」、評価区分を「継続フォロー」とし、実施状況欄に「現在も引き続き、総合診療に関連する学術団体において検討が行われている状況である」と記載している
  19. 19第6回医道審議会医道分科会診療科名標榜部会 資料3「その他の事項」厚生労働省 · 2025 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 総合診療科の標榜科追加に関する閣議決定を引用した上で、厚生労働省の対応状況として「上記(閣議決定)を踏まえて、厚生労働省としては、現在、総合診療に関連する学術団体等に検討を依頼しているところ」と記載している
  20. 20よくある質問「『総合診療科』は標榜可能な診療科になるのでしょうか」一般社団法人日本専門医機構 総合診療専門医検討委員会 · 2025 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 「総合診療科は、厚生労働省の医療広告ガイドラインで標榜可能な診療科として記載されていません。当局に申し入れを行っていますが、仮に総合診療科の標榜が認められた場合、求められる総合診療医像とは関係なく総合診療科を標榜し、国民や患者に混乱を来す可能性もあり、総合診療が浸透するまで標榜科としての承認を待つ方が良いとする考え方もあるようです」と記載している
  21. 21総合診療科の「単独標榜」、年内に要望へ 連合学会・前野理事長MEDIFAX web、2026年7月6日 · 2026 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 日本プライマリ・ケア連合学会の前野哲博理事長が、関連する2学会と連名で、総合診療科の標榜を求める要望書を年内に厚生労働省へ提出する方針を示したと報じている
  22. 22総合診療専門医取得後のキャリアに関する2学会合同声明日本病院総合診療医学会(理事長 林純)・日本プライマリ・ケア連合学会(理事長 草場鉄周) · 2021 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 総合診療専門医取得後のサブスペシャルティとして、日本病院総合診療医学会による「病院総合診療専門医」(2022年4月開始目標)と、日本プライマリ・ケア連合学会による「新・家庭医療専門医」(2020年4月開始、現在407名が研修中)を提案している
  23. 23家庭医療専門医の活動に関する実態調査日本プライマリ・ケア連合学会誌 39(4):243-249(遠井敬大・村田亜紀子・太田浩・小宮山学・大橋博樹・草場鉄周) · 2016 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 日本プライマリ・ケア連合学会の家庭医療専門医全384名への悉皆郵送調査(2014年4月、302名回答、回答率78.7%)。勤務先は診療所148名・病院146名とほぼ半数ずつであり、病院勤務者のうち500床以上が35.6%を占めた。勤務地の市区町村人口は10万人以上が63.5%を占める一方、1万人未満は18名(6.6%)にとどまり、回答者がいなかった県は秋田・山形・徳島・熊本の4県であった。回答者の年齢中央値は36歳、74.2%が30代であった
  24. 24医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ厚生労働省 · 2024 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 「若い世代を中心とした専門医制度における総合診療専門医の養成に加えて、中堅以降の医師を主な対象として、地域で働く上で必要とされる総合的な診療能力について学び直すためのリカレント教育に係る取組を推進する」と記載している
  25. 25わが国の総合診療はどうあるべきか:内科、プライマリ・ケア、プライマリ・ヘルス・ケア、家庭医療を含めた歴史的変遷に基づいた考察(厚生労働行政推進調査事業費補助金「総合診療が地域医療における専門医や他職種連携等に与える効果についての研究」報告書 第5部 pp.205-215)厚生労働科学研究費補助金(著者:大西弘高、東京大学医学系研究科医学教育国際研究センター。研究代表者:前野哲博) · 2018 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 「2018年春から開始された日本専門医機構による専門医制度においては、19番目の基本領域として総合診療専門医が制度化され始めたが、英国や米国が総合診療、家庭医療の認定を行うようになったのと比べると、制度としては半世紀ほどの遅れを見ている」と述べ、要旨で「ドイツ、英国、米国に比べて日本の総合診療の発展は遅れている」と結論づけている。また米国の初期の失敗として「AMAの病院医学教育協議会は1959年に総合診療準備に向けた報告書を提出し、パイロットとなる総合診療2年プログラムを16個策定するに至った。これは1963年には165プログラムに対し、783人の枠を設けるところまで拡大したが、その47%しか定員が埋まらず、しかもその半数以上が外国医学部卒業者であったことから、10年以内にこれらのプログラムは閉じられるに至った。こうなった要因として総合診療医の専門性が明確でなく、学問基盤がなく、専門医との明確な違いを打ち出せなかったことが挙げられている」と記述している
  26. 26Family practice in the United States of America: the first 10 yearsThe Journal of the Royal College of General Practitioners, 29(202):289-296(Geyman JP) · 1979 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 「家庭医療は1969年、米国家庭医療委員会の設立とともに、独立した専門分野として、また米国で20番目の専門科として公式に認められた」と述べ、卒後研修の急速な拡大について「1970年の290人から1978年には6,000人を超えるまでに進んだ」、また「医学部の3分の2に家庭医療講座が設置された」と報告している
  27. 27The Americanization of family medicine: contradictions, challenges, and change, 1969-2000Family Medicine, 33(4):232-243(Stevens RA) · 2001 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 米国の家庭医療は1969年に20番目の専門科となり、その指導者たちは医療改革の先駆けと位置づけたが、それゆえに自らのアイデンティティ・機能・威信をめぐる再定義の圧力に晒され続けたと論じている。「プライマリケアのための正式な行政的枠組みが存在しなかったことが、家庭医療の明確な役割にとって最大の障害であった」「医療の他のあらゆる部分から自らを区別することも困難であった」とし、家庭医療は医療界の周縁から中枢へ移行した一方で、「米国文化における家庭医療の役割は、1969年に構想された潜在的な役割よりも、今や不明確になっている」と結論づけている
  28. 28Family Practice in the United States: Position and ProspectsAcademic Medicine, 77(8):781-789(Green LA, Fryer GE) · 2002 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 米国の家庭医療について、家庭医の役割規定の不十分さ、他分野からの区別の困難さ、そして「改革運動なのか既成の専門科なのかという混乱」、家庭医は総合医なのか専門医なのかという混乱を指摘している
  29. 29Unfinished Business: The Role of Research in Family MedicineAnnals of Family Medicine, 17(1):70-76(Gotler RS) · 2019 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 「1969年に家庭医療が確立された当時、研究は優先度の低い課題であった」とし、この分野は「診療のあり方を変革しようとする一方で、学術的な承認を得るための苦闘を続けている」と述べている
  30. 30The Making of a New Medical Specialty: A Policy Analysis of the Development of Emergency Medicine in IndiaInternational Journal of Health Policy and Management, 7(11):993-1006(Sriram V, Hyder AA, Bennett S) · 2018 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: インドにおける救急医学の専門科化過程を分析した事例研究(87件の面接、122件の文書)。関係者ネットワークの分断が「より広範な政策課題への結集を困難にし、最終的に不確実な長期的道筋をもたらした」こと、「関係者が複数の形態の研修プログラムを推進したが、調整と標準化は限定的であった」こと、そして公式な認定が「救急医学の明確なアイデンティティを獲得する上での重要な節目」と位置づけられていたことを報告している
  31. 31Professional identity work in emerging healthcare professions: current perspectives, gaps, and future directionsFrontiers in Health Services, 6(Kyratsis Y, Meda F) · 2026 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 新興の医療専門職における職業的アイデンティティ形成に関するミニレビューで、この過程が制度設計と同時進行することの困難を論じている
  32. 32内科専門医の国際比較:日本、米国、英国の状況日本内科学会雑誌 97(12):3088-3092(大西弘高・錦織宏) · 2008 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 米国のプライマリケア医の待遇の相対的な低さと医学生の債務負担を指摘した上で、「米国医学部卒業者はプライマリケア医になりたがらず、ポジションの半分以上は外国人によって占められている」と述べている
  33. 33総合診療に関する国際比較(厚生労働行政推進調査事業費補助金「総合診療が地域医療における専門医や他職種連携等に与える効果についての研究」報告書 第4部、イギリスの章)厚生労働科学研究費補助金(イギリスの章:澤憲明。総論:岡田唯男) · 2018 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 英国について「2017年度は全診療科の後期研修一年目の枠数は8,846、そのうちGP枠は3,857で全体の44%」と記載している
  34. 341. 総合診療の必要性:歴史的、社会的背景日本内科学会雑誌 92(12):2319-2325(小泉俊三) · 2003 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 「1980年代に入って米国の家庭医レジデンシーを体験した若手医師が次々と留学から帰り…わが国のプライマリ・ケアのひずみを是正するのに有効な手段として、米国の家庭医療学研修制度と専門医制度に範を求めた家庭医制度導入の構想が積極的に提示された。…性急に米国式の制度を直輸入するものとの、日本医師会を中心とした消極論により、この提言は、すぐには根付かなかった」と述べている
  35. 35A Decentralized, Academically Integrated Training Model for Rural General Practice in Japan: A Descriptive Program EvaluationJournal of General Internal Medicine, 41(9):2618-2623(Sakaguchi K, Endo T, Shiraishi Y, Kaneko M, Watari T) · 2026 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 島根大学の地域総合診療プログラムについて、2018〜2025年に42名の総合診療専攻医を受け入れ、年間採用率は専攻医全体の15.8%と全国平均(2.6%)を有意に上回り(P<0.001)、2026年1月時点で88.1%(37/42)が県内ネットワークに残留していた(農村部日本の推計値約50%を上回る)と報告している。ただしこれはプログラム自身の教員による単一施設の記述的評価であり、対照を置いた研究ではない
  36. 36Rethinking community-based clinical training in Japan: Toward a more effective model for increasing the number of general practice physiciansJournal of General and Family Medicine, 26(5):383-384(Okayama M、神戸大学)。論説(Editorial) · 2025 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 日本では地域基盤型臨床実習が学生の態度には良い影響を与えるものの、進路選択への効果は不十分であるとし、必修の学部地域医療教育とその後の総合診療選択との間に正の関連が見られなかったというエビデンスを引用した上で、代替案として縦断的統合型臨床実習(Longitudinal Integrated Clerkship)を提案している
  37. 37Education policies to increase rural physicians in Japan: a nationwide cohort studyHuman Resources for Health, 19(1):102(Matsumoto M, Matsuyama Y, Kashima S, et al.) · 2021 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 全国コホート研究(対象2,454人、比較群40,293人)で、自治医科大学卒業生の義務年限内定着率98%、奨学金付き地域枠90%、奨学金のみ81%と報告する一方、卒後3〜5年目において内科または総合診療を専門とする者の割合は、いずれのプログラム出身者と全医師との間にも有意差が認められなかったとしている
  38. 38Labor shortage of physicians in rural areas and surgical specialties caused by Work Style Reform Policies of the Japanese government: a quantitative simulation analysisJournal of Rural Medicine, 19(3):166-173(Numata Y, Matsumoto M) · 2024 · accessed 2026-08-17裏付けた主張: 2024年4月施行の医師の働き方改革(週58.4時間の規制上限)のシミュレーション分析で、外科・脳神経外科・整形外科・産婦人科・救急科において人員不足が生じ、それが東北地方など地方の県に集中すると予測している。また全国的には「余剰」とされる診療科でも余裕は数%にとどまるとしている

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