構造から診る02 アクセスと提供体制/JAPANEUROPEOTHER
分かりにくいのは、誰の問題か
ヘルスリテラシーが低い人は平均して2人に1人だという。その数字の出所を辿ったら、欧州調査で満点の約3分の2として規約的に置かれた境界だった。同じ8000人に別の尺度を当てると全体の率はほぼ変わらないのに国の順位は入れ替わり、日本の全国標本で使われている尺度にはそもそも境界が無い。「何%が低いか」には、尺度と下位概念と調査方法と閾値によって違う答えが出る。だとすれば個人を低群と高群に選別するより、全員に対して情報負荷を下げ、理解を確認する設計のほうが合理的である。
ダイジェスト解説 VIDEO
「ヘルスリテラシーが十分でない人は、平均して2人に1人いる」——この言い方をよく見る。
前回まで三回、日本の入口と継続性を見てきた。かかりつけを持たない予測因子の一つはヘルスリテラシーだった。だから、その変数を開いておきたい。
「2人に1人」がどこから来た数字なのかを、まず辿った。
その線は、分布の中央に引かれていた
出所は欧州のヘルスリテラシー調査(HLS-EU)である。8か国、各国約1,000人、計7,795人1。
Nearly every second (47.6%) respondent’s HL is limited
47.6%。これが「2人に1人」である。
では「limited」とは何か。47項目の設問に「とても難しい/やや難しい/やや簡単/とても簡単」で答えてもらい、得点化して、そこに3本の線を引いている。その線の引き方が、報告書に書いてある。
The border between sufficient and problematic health literacy was fixed by a score value of 33, i.e. below 2/3 of the possible points that could be reached. This score coincides with the modus, median and mean of the distributions of the four indices
The cutting point between ‘sufficient’ and ‘excellent’ health literacy was designated by 42 … approximately marks the bottom 80% and the top 20% population border.
公開時の本文は、この引用から「i.e. below 2/3 of the possible points」の一句を落としていた※訂正。落とすと因果の順序が逆になる。
報告書が書いている順はこうである。まず33点を尺度満点の約3分の2として境界に設定し、その値が結果として分布の平均・中央値・最頻値とも一致した。「分布の中央に線を引いたから半分が下に落ちた」のではない。(査読論文版には、カテゴリー化した後も連続得点との相関や関連変数との関係がなるべく失われないよう閾値を選んだ、という別の方法論的説明もある。)
正確に書けばこうなる。33点は尺度満点の約3分の2として設定され、その値が標本分布の代表値とも一致した。したがって「limited」の割合は、能力の自然な断絶ではなく、規約的な境界の位置に強く依存する。——線への依存という論点は残るが、「半分になるよう設計した」という含意は成り立たない。
なお、この記事は同じ回答者に実施された自己評価(Q47)と実技テスト(NVS)を並べていくが、この二つは最初から異なるものを測っている※追記。Q47は情報へのアクセス・理解・評価・活用についての自己評価であり、NVSは栄養表示を使った読解と数的処理の実技である。相関が中程度にとどまることも国別の順位が入れ替わることも、「同じ尺度が失敗した」だけでなく、異なる下位構成概念を測った結果とも読める。(また NVS と学歴の r=.35、NVS とHL指数の r=.25 という差が統計的に検定されたかどうかを、私は確認していない。)
米国でよく引かれる「36%」も、由来は別のところにある2。全米成人識字調査の健康部分で、Basic 22% と Below Basic 14% の合算だ。だがその区分は——
The BOTA Committee on Performance Levels for Adult Literacy was not asked to recommend performance levels for the health scale … Cut-points for the health scale were established so that each task was classified into the same category on the health scale as on the other scale (prose, document, or quantitative)
健康のために設けられた閾値ではない。一般識字調査の区分を借用したものである。
後継調査(17か国)では、同じ「limited」が 25%から72% まで振れた3。そして調査本体が、こう書いている。
Consequently, in some cases, respondents with equal scores are assigned to different levels. …respondents who reported a higher health literacy level … may be assigned to a lower categorical health literacy level than respondents who reported a lower level
同点の人が別のレベルに割り振られ、上位の回答者が下位カテゴリに落ちることがある——設計者自身の記述である。
同じ8,000人に別の尺度を当てると、順位が崩れる
ここからが本題である。
HLS-EU は妥当性の検証のために、同じ回答者に別の尺度(Newest Vital Sign, NVS)も実施している。栄養表示を読んで計算させる実技テストだ。
全体の率は、ほとんど変わらなかった。
as far as limited general HL is concerned, the proportion is rather similar to the one shown by the NVS test with 44.7%
47.6% と 44.7%。ここで止めれば、「二つの尺度は一致している」という結論になる。
国別に並べると、そうならない。
相関は r = .25。そして報告書は、こう続けている。
It is however smaller than the association of NVS test with level of education (r= .35)
NVS は、ヘルスリテラシー指数よりも学歴とよく相関する。オランダに至っては r = .07——実質的に無相関である。
全体の人数が合うことは、同じ集団を指していることを意味しない。
この分野では、この問題は既知である。19の尺度を評価した論文の結論はこうだ4。
Health literacy is not consistently measured, making it difficult to interpret and compare health literacy at individual and population levels.
scoring categories were poorly defined and may not be mutually exclusive
そして——HLS-EU の報告書は、この論文を脚注で引いている。引用箇所は「自分たちの結果は国際的な研究と整合している」と述べる文である。
日本の数字は、二つある
日本で最も引かれるのは、日本語版 HLS-EU-Q47 による調査だろう5。
limited が日本85.4%、欧州47.6%。日本のほうが圧倒的に低い、という結論である。
「2人に1人」どころではない。6人に5人になる。
だが、この比較には決定的な非対称がある。欧州は対面面接、日本はウェブ自記式である。著者らはそれを明記したうえで、こう論じている。
Participants in Japan may have been skewed toward a high level of Internet literacy … This implies that the differences between Japan and Europe might be even larger than shown in this survey.
「だから差はむしろ広がるはずだ」と。これは論証であって、測定ではない。私はこの85.4%を単独では使えないと思う。
日本にはもう一つ、標本設計のはるかに強い調査がある。国立がん研究センターの INFORM Study 2020 だ6。
10,000 Japanese individuals were sampled using two-stage stratified random sampling, with the census area as the primary sampling unit
郵送、解析 3,511名、回答率37%、非回答バイアスを重み付けで調整。ウェブパネルではない。
尺度は日本製の CCHL(5項目)。結果はこうである。
| 設問 | 「そう思う」 |
|---|---|
| いろいろな情報源から情報を集められる | 80.3% |
| 自分の求める情報を選び出せる | 63.1% |
| 情報をもとに計画や行動を決められる | 54.3% |
| 情報を理解し、人に伝えることができる | 51.8% |
| 情報をどの程度信頼できるかを判断できる | 44.7% |
「情報の信頼性を判断できる」と答えたのは44.7%。「理解して人に伝えられる」は51.8%。
ただし公開時の本文は、ここから「日本で最も堅い標本から出てくる『2人に1人』は、ここである」と書いた。直後の注意書きと矛盾している※訂正。44.7%は「情報の信頼性を判断できると思う」に同意した割合であって、limited health literacy の割合ではない。5項目のうち50%付近の二つを選んで「2人に1人」を作れば、それは別の形の「2人に1人」を作っているだけである。
CCHL には「limited」と「adequate」を分ける確立した区分が無い。したがって日本で最も信頼できる標本から得られるのは、単一の有病割合ではなく、項目ごとのプロフィールである——情報収集は高く(80.3%)、信頼性の評価は低い(44.7%)。
線が無ければ数えられず、線を引けばその位置が答えを決める。
その尺度は、一社の男性事務職190名から来ている
日本の全国調査の標準尺度になっている CCHL の、開発時の標本を見ておきたい7。
The participants were 190 male office workers at a Japanese company. A self-administered questionnaire was distributed at the annual health checkup
一社の、男性の、事務職、190名。年次健診の場で配られた質問紙である。
これは尺度が悪いという意味ではない。日本語で使える尺度は限られている——日本語版の TOFHLA も REALM も存在しない。その中で、この5項目は繰り返し使われ、全国調査にまで乗った。
だが、日本の一般人口について語るときに使っている物差しの由来は、記録しておくに値する。
職域制度が関連を弱める可能性——ただし確認はされていない
公開時の本文は、この節を「制度がある場所では、リテラシーは効かなくなる」と題し、この記事でいちばん重要な所見だとしていた。撤回する※撤回。
日本人1,002名を対象に、ヘルスリテラシーと健診・がん検診の受診の関連を見た研究がある8。
全体では、関連があった(調整オッズ比 1.431、95%CI 1.131–1.810)。
だが、就業状況で分けると——
Among all participants and non-workers … (adjusted OR = 1.431 …; adjusted OR = 1.614, 95% CI, 1.114-2.339, respectively). Among workers, we observed no significant association between health literacy and health-care utilization.
数値を並べる。就業者 OR 1.252(95%CI 0.899–1.744)、非就業者 OR 1.614(95%CI 1.114–2.339)。
片方が有意で片方が非有意でも、両群の効果が有意に異なるとは限らない※撤回。二つの信頼区間は大きく重なっており、論文は交互作用検定を報告していない。
そしてこれは「制度あり/制度なし」の自然実験でもない。「就業者」には自営業者も経営者もパートも含まれ、全員に職域健診が提供されたかは測られていない。アウトカムは健診とがん検診を合成しており、非就業者にも自治体検診という制度がある。
著者らの結論も、条件法である。
Japan’s health-care system in workplaces may promote use of preventive health-care services regardless of health literacy, whereas improving health literacy may be more critical among non-workers.
書ける範囲はこうである。職域の制度が関連を弱める可能性を示す層別の結果である。ただし効果修飾は統計的に確認されていない。(公開時の本文は「制度が整っている場所では、個人の能力の差が結果に出ない」「能力の差が受診の差になるのは、制度が無い場所だけである」と書いた。いずれも、この結果からは導けない。)
ただし、関係が既にある場所では、また別のことが起きている。湯河原町の住民基本台帳から無作為抽出した381名の調査で、ヘルスリテラシーの高い群はかかりつけ医の評価が高かった9。とくに大きかったのは包括性(提供されたサービス)で、最高四分位と最低四分位の差は 10.23(95%CI 2.64–17.82)。運動・健康情報の使い方・仕事と生活のバランスといった健康教育を「受けた」という実感である。著者らはこう解釈している。
patients who have limited HL may tend not to understand or remember the content of health education by their primary care provider.
同じ診察を受けても、持ち帰るものが違う。(ただし著者ら自身が、逆向きの因果——良いかかりつけ医がリテラシーを上げる——を排除できないと書いている。そして機能的ヘルスリテラシーは有意でなかった。効いたのは伝達的・批判的のほうである。)
つまり、制度が呼びに行く場面ではリテラシーの差が消え、診察室の中で何が伝わるかという場面では残る。
さきほどの職域健診の所見は「リテラシーが大事だ」という話にも読めるし、「制度があればリテラシーは要らない」という話にも読める。私は後者に近いと思う。というのは、前回までに見てきたものと同じ形だからだ——第一接触は疾患が開けており、継続性は疾患が作っており、説得の効果量は小さかった。個人の側の変数は、いつも制度の側の変数より小さく出る。
リテラシーは、教育と認知機能と重なっている
もう一段、疑わしいところがある。ヘルスリテラシーという独立した構成概念が、本当にあるのか。
先ほど見たとおり、NVS はヘルスリテラシー指数(r=.25)より学歴(r=.35)とよく相関する。
そして、この疑いを最も強く出しているのは、この分野の外の人ではない。
シカゴの784名に、TOFHLA・REALM・NVS の三尺度すべてを実施し、認知機能も測った研究がある10。
After adjusting for cognitive abilities, associations between health literacy, physical health and depressive symptoms were attenuated and no longer significant.
共著者は Baker DW と Wolf MS。ヘルスリテラシー研究を作った当人たちである。
死亡でも同じことが起きる。1936年エディンバラ出生コホート795名を8年追跡した研究11——
| 尺度 | 年齢・性調整 | 流動性知能で調整後 |
|---|---|---|
| S-TOFHLA | 0.95(0.92–0.98) | 0.97(0.93–1.01) |
| NVS | 0.88(0.80–0.97) | 0.96(0.86–1.08) |
| 一般HL合成 | 0.77(0.65–0.92) | 0.87(0.67–1.13) |
| REALM | 0.95(0.90–1.01) | — |
REALM は最初から関連せず、残り三つは認知機能の調整で消える。同じコホート、同じ死亡、四つの尺度で結論が割れる。
ただし、これで決着したとは言えない。認知機能がヘルスリテラシーから健康への因果経路の途中にあるなら、それで調整するのは過剰調整である。系統的レビューも同じ懸念を書いている——「some controlled for variables that would be expected to be in the [causal pathway]」12。同じデータから「両者は独立に効く」と結論した研究もある。
私はここを断定しない。言えるのは、この構成概念は教育年数・認知機能・所得と大きく重なっており、それらを越えて何を説明するのかが十分に明確でないということまでである※訂正。(公開時は「自立していない」と書いたが、示されているのは重なりの大きさと増分妥当性の不明さであって、構成概念が存在しないことではない。)
なお、その系統的レビューには、こういう注意書きが付いている。
Caution: No studies examined the relationship between oral literacy (speaking and listening skills) and outcomes.
ただしこれは、2011年のこのレビューの検索時点についての記述である※訂正。2015年には、口頭・聴解のリテラシーと患者・医療者間の会話を扱った系統的検索が999件から12研究を同定し、口頭で要求されるリテラシーの高さが患者の学習の低下と関連すること、患者側の口頭リテラシーの低さが健康アウトカムの悪化と関連することを整理している。測定用具も3つ、介入も2つ開発されている。「ゼロである」を現在形で書くことはできない。
制度が「理解の確認」を独立の指標・要件にした例は乏しい
最後に、制度の側を見る。ただし先に断っておく※訂正。以下で確かめられるのは、指定した語が特定の文書に無いことだけである。言葉と数値目標が無いことと、政策上その論点が無視されていることは別である。
健康日本21(第三次)の告示本文と別表第一〜第四を全文検索した13。
| 語 | 件数 |
|---|---|
| リテラシー | 0 |
| 健康情報 | 0 |
| 理解 | 0 |
51ある目標項目に、ヘルスリテラシーもそれに準ずる指標も一つも無い。第二次(2013–2023年)も同じく0件だった。
(ただし出典情報の側には「正しい情報へのアクセス」や「意思疎通への配慮」といった記述が実際に存在する。無いのは、独立した測定指標としての位置づけである。)
「地域の人々とのつながりが強いと思う者の増加」は目標項目に入っている。つながりは測っていて、理解は測っていない。
測る仕組みが無いわけでもない。国民健康・栄養調査は毎年、300単位区を層化無作為抽出して回っている14。生活習慣調査票が把握するのは——
食生活、身体活動、休養(睡眠)、飲酒、喫煙、歯の健康等
毎年これだけの標本設計を回しながら、健康情報の入手も理解も一項目も聞いていない。(もっともこれは、この調査で定期測定していないことを示すだけである。先に見たとおり、INFORM調査は全国標本でCCHLを測っている。)
診療報酬はどうか。令和8年度改定の医科点数表の留意事項通知(約95万字)を全文検索した15。
| 語 | 件数 |
|---|---|
| ヘルスリテラシー/リテラシー | 0 |
| 理解を確認 | 0 |
| 理解の程度 | 0 |
| 平易な/わかりやすく | 0 |
「理解度」が要件になっているのは吸入薬指導加算と経管投薬支援料の2項目だけで、どちらも対象は手技である。吸入器の使い方は理解度を問われ、病気の説明は問われない。
そして今回の改定で、こういう変更があった。生活習慣病管理料(Ⅰ)の要件——
令和6年度:療養計画書により丁寧に説明を行い、患者の同意を得るとともに、当該計画書に患者の署名を受けた場合に算定できる 令和8年度:療養計画書により丁寧に説明を行い、患者の同意を得た場合に算定できる
理由は「署名又は記名・押印の簡素化が図られた」。
ただしこれを「理解の後退」と読むには、根拠が足りない※訂正。署名は、患者がその紙を読んだことの証拠でも、理解したことの証拠でもない。そして令和8年度も「丁寧に説明を行い、患者の同意を得た場合」という要件そのものは残っている。署名の削除が実務にどう影響したかのデータを、私は持っていない。
そして「制度は確認された理解に一円も払わない」も言い切れない。説明や意思確認の費用が基本診療料等に包括されている可能性がある。
書ける範囲はこうである。中核的な健康政策と診療報酬に、理解の確認を独立した測定指標・算定要件として明示した例は乏しい。
総合診療にとって、これが何を意味するか
三つ書いておきたい。
第一に、「2人に1人」は現象ではなく、線の位置である。33点は満点の約3分の2として規約的に置かれた境界で、その位置が割合を決めている※訂正。第1回で見た「受診を控えた人」が3.6%にも42.6%にもなったのと、同じことが起きている。あのときは設問の書き方が答えを決め、今回は閾値の位置が答えを決めている。そして日本で最も堅い標本(無作為抽出3,511名)で使われている尺度には、そもそも線が無い。
第二に、この構成概念は教育・認知機能・所得と大きく重なっている※訂正。尺度どうしは中程度にしか一致せず、国の順位は尺度を変えると入れ替わり、実技テストは学歴とのほうが強く相関し、認知機能を調整すると死亡との関連が消える。それらを越えて何を説明する概念なのかが、十分に明確でない。(公開時は「教育年数と認知機能と所得を、個人の属性の名前で呼び直したものかもしれない」と書いたが、増分妥当性が示されていないことと、構成概念が存在しないことは別である。過剰調整の反論もある。)
第三に、この記事から言えるのは「個人の能力だけで説明するのは不十分だ」までである※訂正。「制度が個人の能力を無効にする」までは実証されていない。日本の層別解析は職域制度が関連を弱める可能性を示すが、効果修飾は統計的に確認されておらず、制度側の変数と個人側の変数を同じモデルで比較した研究でもない。(公開時は「能力の差が結果の差になるのは、制度が無い場所だけである」と書いた。撤回する。)
では、どうするか。この分野は既に、個人を測る路線から降りかけている。universal precautions を提唱した論文には、こう書いてある16。
Providers tend to be unaware of their patients’ limited literacy, but screening for limited literacy does not appear, in and of itself, to facilitate successful communication.
測って選別するのではなく、全員に対して確認する。その代表的な方法がティーチバック——説明した内容を患者に言い直してもらう——である。2020年の系統的レビューはメタ解析をしておらず、20件のうち実施方法を詳述したのは半分で、実施忠実度を検証した研究はゼロだった17。
ただし評価はそこで止まっていない※訂正。その後、心不全の再入院など疾患別には効果の統合が進んでおり、2024年まで検索した更新レビューは、自己効力感と推奨行動への遵守に改善を認める一方、知識・技能、効果の持続、実装方法については不確実性が残るとしている。「効果量がまだ束ねられていない」ではなく、「疾患別には統合が進んでいるが、アウトカムと実装方法の異質性が大きく、一般的な効果量は定まっていない」が現在の状態である。
つまり、こういう状況にある。「2人に1人」という数字は線引きの産物で、その構成概念は教育・認知機能・所得と大きく重なり、日本の制度は理解の確認を独立した指標にしておらず、代わりに提案された方法の効果は疾患ごとにばらついている。
だからこそ、個人を低群と高群に選別するより、全員に対して情報負荷を下げ、理解を確認する設計のほうが合理的である。日本の職域制度が格差を弱めている可能性はあるが、それはまだ因果として確定していない。
それでも、診察室でできることは一つ残っている。分かったかどうかを、こちらから確かめること。それがどれだけ効くかはアウトカムによる。だが、確かめなければ分からないということだけは、どの尺度も否定していない。
訂正 CORRECTIONS
公開後に直したこと。本文は直したうえで、何をどう変えたかをここに残している。本文中の※ が、直した箇所を指す。
- 訂正HLS-EUの33点を「分布の中央だから選ばれた」と因果を逆に書いていた2026-09-01 · sanbun-no-ni引用から「i.e. below 2/3 of the possible points that could be reached」の一句を落としていた。報告書が書いている順は、まず33点を尺度満点の約3分の2として境界に設定し、その値が結果として分布の平均・中央値・最頻値とも一致した、である。査読論文版にはさらに、カテゴリー化後も連続得点との相関や関連変数との関係がなるべく失われないよう閾値を選んだという別の方法論的説明がある。「33点は満点の約3分の2として設定され、その値が標本分布の代表値とも一致した。したがってlimitedの割合は、能力の自然な断絶ではなく規約的な境界の位置に強く依存する」に改めた。線への依存という論点は残るが、「半分になるよう設計した」という含意は成り立たない。
- 撤回「制度がある場所では、リテラシーは効かなくなる」を撤回した2026-09-01 · shugyou就業者 OR 1.252(95%CI 0.899-1.744)、非就業者 OR 1.614(95%CI 1.114-2.339)。片方が有意で片方が非有意でも、両群の効果が有意に異なるとは限らない。二つの信頼区間は大きく重なっており、論文は交互作用検定を報告していない。またこれは「制度あり/制度なし」の自然実験でもない——就業者には自営業者・経営者・パートも含まれ、全員に職域健診が提供されたかは測られておらず、アウトカムは健診とがん検診の合成で、非就業者にも自治体検診がある。「職域の制度が関連を弱める可能性を示す層別の結果である。ただし効果修飾は統計的に確認されていない」に改め、節見出しも同様に改めた。
- 訂正「能力の差が結果の差になるのは、制度が無い場所だけである」を撤回した2026-09-01 · chushin制度側の変数と個人側の変数を同じモデルで比較した研究ではない。この記事から言えるのは「個人の能力だけで説明するのは不十分だ」までであり、「制度が個人の能力を無効にする」までは実証されていない。結論を「個人を低群と高群に選別するより、全員に対して情報負荷を下げ理解を確認する設計のほうが合理的である。日本の職域制度が格差を弱めている可能性はあるが、それはまだ因果として確定していない」に組み替えた。
- 訂正INFORM調査から「2人に1人」を作っていた2026-09-01 · inform直後に「CCHLには limited と adequate を分ける確立した区分が無い」と自分で書いておきながら、44.7%と51.8%を選んで「日本で最も堅い標本から出てくる2人に1人はここである」と結んでいた。44.7%は「情報の信頼性を判断できると思う」に同意した割合であって、limited health literacy の割合ではない。「全国標本から得られるのは単一の有病割合ではなく、情報収集は高く信頼性の評価は低いという項目別のプロフィールである」に改めた。
- 追記Q47とNVSが異なる下位構成概念を測っていることを明記した2026-09-01 · q47-nvsQ47は情報へのアクセス・理解・評価・活用についての自己評価であり、NVSは栄養表示を使った読解と数的処理の実技である。相関が中程度にとどまることも国別順位が入れ替わることも、「同じ尺度が失敗した」だけでなく異なる下位構成概念を測った結果とも読める。またNVSと学歴のr=.35とNVSとHL指数のr=.25の差が統計的に検定されたかを確認していない旨も添えた。
- 訂正「この構成概念は自立していない」を証拠の範囲に戻した2026-09-01 · kousei-gainen示されているのは教育・認知機能との相関、認知機能調整後のアウトカム関連の減弱、尺度間の不一致であり、これは重なりの大きさと増分妥当性の不明さの証拠であって、構成概念が存在しないことの証拠ではない。とくに認知機能が因果経路上にある可能性は本文自身が認めている。「教育・認知機能・所得と大きく重なり、それらを越えて何を説明する概念なのかが十分に明確でない」に改めた。
- 訂正「話す・聞く能力とアウトカムの研究はゼロ」を現在形で書いていた2026-09-01 · oralこれは2011年のレビューの検索時点についての記述である。2015年には口頭・聴解のリテラシーと患者・医療者間の会話を扱った系統的検索が999件から12研究を同定し、口頭で要求されるリテラシーの高さが患者の学習の低下と関連すること、患者側の口頭リテラシーの低さが健康アウトカムの悪化と関連することを整理している。測定用具3つ、介入2つも開発されている。歴史的記述に限定した。
- 訂正ティーチバックの評価を2020年のレビューで止めていた2026-09-01 · teachback2020年のレビューがメタ解析をしていないこと自体は正しいが、その後、心不全の再入院など疾患別には効果の統合が進んでおり、2024年まで検索した更新レビューは自己効力感と推奨行動への遵守に改善を認める一方、知識・技能、効果の持続、実装方法には不確実性が残るとしている。「効果量がまだ束ねられていない」ではなく「疾患別には統合が進んでいるが、アウトカムと実装方法の異質性が大きく、一般的な効果量は定まっていない」に改めた。
- 訂正キーワードが無いことから「制度は理解を測っていない」へ飛躍していた2026-09-01 · seido-sokutei三点を補った。第一に、健康日本21の出典情報には「正しい情報へのアクセス」や「意思疎通への配慮」といった記述が実際に存在する。言葉と数値目標が無いことと、政策上その論点が無視されていることは別である。第二に、国民健康・栄養調査に項目がないことは、その調査で定期測定していないことを示すだけである(記事自身がINFORM全国調査を紹介している)。第三に、診療報酬に独立項目がなくても説明や意思確認の費用が基本診療料等に包括されている可能性があり、「一円も払わない」は立証できない。また署名は患者が読んだことや理解したことの証拠ではなく、令和8年度も「丁寧に説明し、同意を得る」という要件は残っているため、署名削除を「理解の後退」と読むには実務への影響データが要る。節見出しを「制度が『理解の確認』を独立の指標・要件にした例は乏しい」に改めた。
出典 SOURCES
- 1Comparative Report on Health Literacy in Eight EU Member States. The European Health Literacy Survey HLS-EU (second revised and extended version)HLS-EU Consortium · 2014 · accessed 2026-08-20裏付けた主張: 8か国それぞれ15歳以上約1000人を Eurobarometer 基準の多段階無作為抽出で調査した報告書。一般ヘルスリテラシー指数の有効 N=7795。「Somewhat more than every tenth (12.4%) respondent has inadequate general HL and more than every third (35.2 %) has problematic general HL. Nearly every second (47.6%) respondent's HL is limited」。Figure 13 の国別内訳(inadequate/problematic/sufficient/excellent)は AT 18.2/38.2/33.7/9.9、BG 26.9/35.2/26.6/11.3、DE(NRWのみ) 11.0/35.3/34.1/19.6、EL 13.9/30.9/39.6/15.6、ES 7.5/50.8/32.6/9.1、IE 10.3/29.7/38.7/21.3、NL 1.8/26.9/46.3/25.1、PL 10.2/34.4/35.9/19.5、TOTAL 12.4/35.2/36.0/16.5。閾値の設定については「For 'inadequate' health literacy a threshold of below score 26 has been chosen, i.e. individuals with inadequate health literacy have at least rated 50% of the items as difficult or very difficult. The border between sufficient and problematic health literacy was fixed by a score value of 33, i.e. below 2/3 of the possible points that could be reached. This score coincides with the modus, median and mean of the distributions of the four indices which lie between 33 and 34 points. … The cutting point between 'sufficient' and 'excellent' health literacy was designated by 42, which is equivalent to 5/6 of possible index points and approximately marks the bottom 80% and the top 20% population border」と記す。同じ回答者に Newest Vital Sign(NVS)も実施しており、Figure 7 の国別内訳(high likelihood of limited/possibility of limited/adequate)は AT 12.8/21.5/65.6、BG 28.8/24.9/46.3、DE 15.8/21.8/62.4、EL 17.7/28.2/54.1、ES 34.3/28.8/36.9、IE 19.9/22.5/57.6、NL 8.9/14.8/76.3、PL 32.3/25.5/42.2、TOTAL 21.2/23.4/55.3(N=8100)。本文は「as far as limited general HL is concerned, the proportion is rather similar to the one shown by the NVS test with 44.7%」とする。相関については「For the total sample the correlation between NVS score and general health literacy index is highly significant and with r= .25 of moderate amount. It is however smaller than the association of NVS test with level of education (r= .35) and much smaller than the intercorrelations between the different health literacy indices」「The associations between NVS and the HLS-EU-Q indices vary strongly by country; e.g. … there are countries with a definitely higher correlation of r= .34 (Bulgaria) or r= .33 (Poland) and at the other end with lower correlations of r= .07 for the Netherlands or r= .13 for Germany」と記す。ドイツはノルトライン=ヴェストファーレン州のみ、27加盟国のうち8か国のみという限界が明記されている
- 2The Health Literacy of America's Adults: Results From the 2003 National Assessment of Adult Literacy (NCES 2006-483)Kutner M, Greenberg E, Jin Y, Paulsen C/U.S. Department of Education, National Center for Education Statistics · 2006 · accessed 2026-08-20裏付けた主張: 「The majority of adults, 53 percent, had Intermediate health literacy (figure 2-1). An additional 22 percent of adults had Basic health literacy, 14 percent had Below Basic health literacy, and 12 percent had Proficient health literacy」。よく引用される36%はこの22%と14%の合算である。水準の設定については「The BOTA Committee on Performance Levels for Adult Literacy was not asked to recommend performance levels for the health scale, because every health literacy task was included on the prose, document, or quantitative scale. NCES mapped each health task to the health literacy scale based on their level of difficulty as prose, document, and quantitative items… Each health task was mapped to the prose, document, or quantitative scale … at the point on the scale … where an adult with that scale score would have a 67 percent probability of doing the task correctly. … Cut-points for the health scale were established so that each task was classified into the same category on the health scale as on the other scale (prose, document, or quantitative) with which the task was associated」と記す。対象は16歳以上の家庭内居住者および受刑者で、言語または認知・精神障害のため面接できなかった者(2003年で3%)は除外されている
- 3International Report on the Methodology, Results, and Recommendations of the European Health Literacy Population Survey 2019-2021 (HLS19) of M-POHLAustrian National Public Health Institute (M-POHL) · 2021 · accessed 2026-08-20裏付けた主張: 17か国が参加した後継調査。「In line with the HLS-EU study, when the HL categorical levels 'inadequate' and 'problematic' are combined as 'limited health literacy', the resulting variation ranges from 25% (SI) to 72% (DE), i.e., between one out of four (in SI) and three out of four (in DE) residents in participating countries have limited General HL. Compared to the HLS-EU, with one out of three up to two out of three, the variation between countries is even more pronounced, which could be the result of different methodology and different countries being included in the two studies」と記す。水準の算出方法については「Since the calculation of health literacy scores in the HLS19 (which is based on dichotomized items) deviates from the HLS-EU methodology, where a mean score of the polytomous items was used, the calculation of the levels had to be adapted. … Consequently, in some cases, respondents with equal scores are assigned to different levels. Another challenge with the definition of the four levels of health literacy described above is that in some cases, respondents who reported a higher health literacy level when using the original 4-point rating scale for all the HLS19-Q12 items may be assigned to a lower categorical health literacy level than respondents who reported a lower level of health literacy based on the same rating scale」と自ら記している
- 4Critical appraisal of health literacy indices revealed variable underlying constructs, narrow content and psychometric weaknessesJournal of Clinical Epidemiology 64(4):366-379 (Jordan JE, Osborne RH, Buchbinder R) · 2011 · accessed 2026-08-20裏付けた主張: 1990年から2008年までの汎用ヘルスリテラシー指標を系統的に同定し、19の尺度を評価した研究。「Nineteen instruments were evaluated. Three measurement approaches were identified: direct testing of individual abilities, self-report of abilities, and population-based proxy measures. Composition of underlying constructs and content varied widely across instruments, and none appeared to fully measure a person's ability to seek, understand, and use health information. The content was focused primarily on reading comprehension and numeracy; scoring categories were poorly defined and may not be mutually exclusive, and few indices had been assessed for reliability」。結論は「Health literacy is not consistently measured, making it difficult to interpret and compare health literacy at individual and population levels」。なお HLS-EU 比較報告書は本論文を脚注17で引用しており、その引用箇所は自らの結果が「international studies」と整合すると述べる文である
- 5Comprehensive health literacy in Japan is lower than in Europe: a validated Japanese-language assessment of health literacyBMC Public Health 15:505 (Nakayama K, Osaka W, Togari T, Ishikawa H, Yonekura Y, Sekido A, Matsumoto M) · 2015 · accessed 2026-08-20裏付けた主張: 日本語版 HLS-EU-Q47 による横断調査。「Participants were recruited from among those registered with a Japanese Internet research company. The research company had approximately 2.5 million voluntarily registered participants. … On March 11, 2013, potential respondents (n = 6613) were randomly invited via e-mail to participate in a cross-sectional Web-based anonymous health literacy questionnaire」。回収1054名、指標算出はn=927。2010年国勢調査に性・年齢・地域8区分でクオータ割付。一般ヘルスリテラシーの平均は日本25.3(SD 8.2)、欧州33.8(SD 8.0)。水準別では日本が excellent 4.2%・sufficient 10.4%・problematic 35.5%・inadequate 49.9%、欧州が16.5%・36.0%・35.2%・12.4%で、limited(inadequate + problematic)は日本85.4%、欧州47.6%(本文では47.9%と記載され論文内で不一致がある)。項目別では「医師から言われたことを理解する」を難しいとした者が日本44.0%・欧州15.3%、「健康改善のための意思決定をする」が日本50.7%・欧州21.7%、「病気の時に専門家に相談できるところを見つける」が日本63.4%・欧州11.9%であった。著者らは限界として「The HLS-EU Survey involves a face-to-face interview, and this study used a Web-based self-administered questionnaire. … If an interview survey had been used in Japan, the difference in health literacy might be smaller, but social desirability bias would certainly not account for all the difference」「Participants in Japan may have been skewed toward a high level of Internet literacy because of the use of a Web-based survey. This also means that people who have problems with literacy or Internet use are included in the European sample, but not in the Japanese sample. … This implies that the differences between Japan and Europe might be even larger than shown in this survey」と述べる。日欧で調査モードが異なる点は、著者らの論証によっては解消されない
- 6Effect modification by geographic area on the association between health literacy and self-rated health: a nationwide cross-sectional study in JapanBMC Public Health 23:952 (Ishikawa H, et al.)/国立がん研究センター INFORM Study 2020 · 2023 · accessed 2026-08-20裏付けた主張: 二段層化無作為抽出による全国調査。「10,000 Japanese individuals were sampled using two-stage stratified random sampling, with the census area as the primary sampling unit and individuals aged 20 years or older as the secondary sampling unit. From 35 strata, by crossing nine areas and four municipality groups by population size, we randomly selected 500 census areas with probability proportional to the size of the stratum」。2020年8-9月の郵送自記式、回収3605、解析3511、回答率37%、非回答バイアスを重み付けで調整。尺度はCCHL。「The majority of the participants reported that they had the ability to collect information from various sources (80.3%), whereas less than half agreed that they had the ability to judge the credibility of the information (44.7%)」。項目別の「そう思う」割合と重み付け平均は、情報を集められる80.3%(3.85、95%CI 3.82-3.89)、求める情報を選び出せる63.1%(3.50、3.46-3.53)、情報を理解し人に伝えることができる51.8%(3.32、3.29-3.36)、情報をどの程度信頼できるか判断できる44.7%(3.23、3.20-3.26)、情報をもとに計画や行動を決められる54.3%(3.36、3.32-3.40)、総得点3.45(3.42-3.48)。学歴別の重み付け平均は中学卒2.86(2.73-2.99)、大学以上3.64(3.60-3.68)、世帯年収別は200万円未満3.11(2.98-3.23)、1000万円超3.67(3.60-3.74)、70歳以上は3.17(3.10-3.24)。著者らは限界として回答率37%、COVID-19流行初年であること、自記式のため一定の読み書き能力を要すること、自己申告であることを挙げている。なおCCHLには HLS-EU-Q47 のような limited/adequate の確立した区分がなく、この調査から limited health literacy の割合を算出することはできない
- 7Developing a measure of communicative and critical health literacy: a pilot study of Japanese office workersHealth Promotion International 23(3):269-274 (Ishikawa H, Nomura K, Sato M, Yano E) · 2008 · accessed 2026-08-20裏付けた主張: 伝達的・批判的ヘルスリテラシー尺度(CCHL、5項目)の開発研究。「The participants were 190 male office workers at a Japanese company. A self-administered questionnaire was distributed at the annual health checkup」。すなわち開発標本は一社の男性事務職190名である。設問は「あなたは、もし必要になったら、病気や健康に関連した情報を自分自身で探したり利用したりすることができると思いますか」という導入のもとに、(1)新聞、本、テレビ、インターネットなど、いろいろな情報源から情報を集められる (2)たくさんある情報の中から、自分の求める情報を選び出せる (3)情報を理解し、人に伝えることができる (4)情報をどの程度信頼できるかを判断できる (5)情報をもとに健康改善のための計画や行動を決めることができる、の5項目を5件法で尋ねる。1から3が伝達的、4と5が批判的にあたり、機能的ヘルスリテラシー(読み書きそのもの)は含まれない。なお同じ研究者らが同年に Diabetes Care に発表した尺度は2型糖尿病外来患者138名で開発された14項目のFCCHLであり、CCHLとは別の尺度である。日本語の設問文は英文原著からの直接引用ではなく、尺度開発者本人による日本語総説からの引用である。また日本語版のTOFHLAおよびREALMは存在しない
- 8Relationship of health literacy with utilization of health-care services in a general Japanese populationPreventive Medicine Reports 14:100811 (Goto E, Ishikawa H, Okuhara T, Kiuchi T) · 2019 · accessed 2026-08-20裏付けた主張: 調査会社モニターから性・年齢を国勢調査に割り付けて抽出した郵送調査、n=1002。尺度はCCHL(平均3.61、SD 0.64)。「Among all participants and non-workers, logistic regression analyses revealed that health literacy was significantly associated with health checkup or cancer screening after adjusting for sex, age, marital status, education, and having a disease or disorder (adjusted OR = 1.431, 95% CI, 1.131-1.810; adjusted OR = 1.614, 95% CI, 1.114-2.339, respectively). Among workers, we observed no significant association between health literacy and health-care utilization. These results indicate that health literacy is closely related to use of preventive health-care. Japan's health-care system in workplaces may promote use of preventive health-care services regardless of health literacy, whereas improving health literacy may be more critical among non-workers」。すなわち職域健診の仕組みがある就業者では、ヘルスリテラシーと予防医療の利用に有意な関連が認められなかった。限界として、対象が調査会社の登録モニターであり日本の一般人口を代表しないこと、大学卒業者の割合が2010年国勢調査の約20%に対し本調査では約40%であったことを著者らが挙げている
- 9Association between health literacy and patient experience of primary care attributes: A cross-sectional study in JapanPLoS ONE 12(9):e0184565 (Aoki T, Inoue M) · 2017 · accessed 2026-08-20裏付けた主張: 神奈川県湯河原町の住民基本台帳から20-80歳の住民2000名を無作為抽出した郵送調査。「Potential study participants were randomly selected from residents aged 20-80 years in Yugawara Town in Kanagawa Prefecture, Japan, by using a basic resident register」。回答732名(36.6%)のうち、かかりつけ医を持たない351名を除いた381名を解析。尺度はHLS-14、アウトカムは日本語版Primary Care Assessment Tool(JPCAT)。「The HLS-14 total score was positively associated with the JPCAT total score, adjusting for age, sex, years of education, annual household income, self-rated health, and number of comorbidities [B = 4.49, 95%CI: 0.27 to 8.65 for the highest quartile, compared with the lowest quartile]. In addition, communicative and critical HL scores were positively associated with the JPCAT total score (B = 5.16, 95%CI: 0.70 to 9.63 for communicative HL score highest quartile, B = 4.52, 95%CI: 0.28 to 8.76 for critical HL score highest quartile)」。機能的ヘルスリテラシーは有意でなかった(B = 3.31、95%CI -1.38 to 8.00)。ドメイン別では縦断性5.70(0.05-11.34)と包括性(提供されたサービス)10.23(2.64-17.82)が有意で、第一接触1.25(-6.29-8.79)・連携2.92(-4.33-10.17)・地域志向性2.48(-3.60-8.56)は有意でなかった。著者らは「In countries like Japan, where the basic literacy rate is estimated to be 99%, functional HL is considered to play a weaker role than communicative and critical HL」「patients who have limited HL may tend not to understand or remember the content of health education by their primary care provider」と述べ、限界として「As we used a self-administered questionnaire, there is a possibility that the patients with very low HL could not participate in this survey」「There is a possibility that better perceptions of quality of primary care attributes lead to improvement in HL」を挙げる。1町のみの調査である
- 10Health Literacy, Cognitive Ability, and Functional Health Status among Older AdultsHealth Services Research 49(4):1249-1267 (Serper M, Patzer RE, Curtis LM, Smith SG, O'Conor R, Baker DW, Wolf MS) · 2014 · accessed 2026-08-20裏付けた主張: シカゴの大学一般内科外来および連邦認定保健センター4施設で2008年から2010年に面接した55-74歳784名の前向き研究(LitCog)。ヘルスリテラシーは TOFHLA・REALM・NVS の三尺度で、認知機能は長期記憶・作業記憶・処理速度・推論・言語能力で測定した。「All health literacy measures were significantly correlated with all cognitive domains. In multivariable analyses, inadequate health literacy was associated with worse physical health and more depressive symptoms. After adjusting for cognitive abilities, associations between health literacy, physical health and depressive symptoms were attenuated and no longer significant」。結論は「Cognitive function explains a significant proportion of the associations between health literacy, physical health and depression among older adults. Interventions to reduce literacy disparities in healthcare should minimize the cognitive burden in behaviors patients must adopt to manage personal health」。共著者に Baker DW と Wolf MS というヘルスリテラシー研究の中心人物が含まれる
- 11Role of cognitive ability in the association between functional health literacy and mortality in the Lothian Birth Cohort 1936: a prospective cohort studyBMJ Open 8(9):e022502 (Fawns-Ritchie C, Starr JM, Deary IJ) · 2018 · accessed 2026-08-20裏付けた主張: 1936年エディンバラ出生コホート795名(男413、女382)を8年追跡し130名が死亡した前向き研究。年齢・性を調整したモデルでの死亡ハザード比は S-TOFHLA 0.95(95%CI 0.92-0.98)、NVS 0.88(0.80-0.97)、一般ヘルスリテラシー合成指標 0.77(0.65-0.92)で、REALM 0.95(0.90-1.01)は当初から有意でなかった。現在の流動性知能を調整したモデルでは S-TOFHLA 0.97(0.93-1.01)、NVS 0.96(0.86-1.08)、合成指標 0.87(0.67-1.13)となりいずれも有意でなくなった。著者らは「Functional health literacy measures may, in part, assess fluid-type cognitive abilities, and this may account for the association between functional health literacy and mortality」と述べる。単一の出生コホートであり死亡130件と検出力は限定的である
- 12Low Health Literacy and Health Outcomes: An Updated Systematic ReviewAnnals of Internal Medicine 155(2):97-107 (Berkman ND, Sheridan SL, Donahue KE, Halpern DJ, Crotty K) · 2011 · accessed 2026-08-20裏付けた主張: 96件(111論文)を対象とした系統的レビュー。「Low health literacy was consistently associated with more hospitalizations; greater use of emergency care; lower receipt of mammography screening and influenza vaccine; poorer ability to demonstrate taking medications appropriately; poorer ability to interpret labels and health messages; and, among elderly persons, poorer overall health status and higher mortality rates」。一方でメタ解析を行わなかった理由を「Because of heterogeneity across studies in their approaches to measuring health literacy」と述べ、交絡について「the final selection of confounding variables differed across studies, making synthesis of the literature difficult. … Many studies, however, controlled for educational attainment (which is highly correlated with health literacy), and some controlled for variables that would be expected to be in the [causal pathway]」、閾値について「Some smaller studies may have lacked sufficient statistical power to detect differences among health literacy levels or selected uncommon health literacy thresholds because of limitations in their sample distribution」と記す。編集部の注意書きに「No studies examined the relationship between oral literacy (speaking and listening skills) and outcomes」とある。numeracy については「few studies or inconsistent results among studies」のため結論を出していない
- 13国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針(健康日本21(第三次))令和5年厚生労働省告示第207号(令和5年5月31日告示、令和6年4月1日適用) · 2023 · accessed 2026-08-20裏付けた主張: 告示本文および別表第一から第四(空白を除き約15,000字)を全文検索したところ、「リテラシー」は0件、「健康情報」は0件、「理解」は0件であった。別表第三「社会環境の質の向上に関する目標」の12項目は、社会とのつながり・こころの健康の維持及び向上として①地域の人々とのつながりが強いと思う者の増加 ②社会活動を行っている者の増加 ③地域等で共食している者の増加 ④メンタルヘルス対策に取り組む事業場の増加 ⑤心のサポーター数の増加、自然に健康になれる環境づくりとして①健康的で持続可能な食環境づくりのための戦略的イニシアチブの推進 ②「居心地が良く歩きたくなる」まちなかづくりに取り組む市町村数の増加 ③望まない受動喫煙の機会を有する者の減少、誰もがアクセスできる健康増進のための基盤の整備として①スマート・ライフ・プロジェクト活動企業・団体の増加 ②健康経営の推進 ③利用者に応じた食事提供をしている特定給食施設の増加 ④必要な産業保健サービスを提供している事業場の増加、であり、ヘルスリテラシーおよびこれに準ずる指標は含まれない。機能的に最も近い記述は「第六」にある「国民に対して様々な媒体で流布されている情報には、誤った情報や著しく偏った不適切な情報が含まれ得ることについて注意喚起を行う。また、情報取得や意思疎通に配慮が必要な者を含めあらゆる国民が正しい情報にアクセスできるような環境整備に努める」で、数値目標は付されていない。なお健康日本21(第二次、平成24年厚生労働省告示第430号)の告示全文および参考資料についても「リテラシー」「理解」はいずれも0件であった
- 14令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要厚生労働省 · 2025 · accessed 2026-08-20裏付けた主張: 健康増進法第10条に基づく毎年の政府統計。「調査の対象は、令和5年国民生活基礎調査(約2,000単位区内の世帯約6万1千世帯及び世帯員約13万6千人)において設定された単位区から層化無作為抽出した300単位区内の全ての世帯及び世帯員」とする。生活習慣調査票(20歳以上、自記式)については「食生活、身体活動、休養(睡眠)、飲酒、喫煙、歯の健康等に関する生活習慣全般を把握した」と記す。結果の章立ては身体状況及び糖尿病等、栄養・食生活、身体活動・運動及び睡眠、飲酒・喫煙、歯・口腔の健康、地域のつながりであり、ヘルスリテラシーおよび健康情報の入手・理解に関する調査項目は含まれていない
- 15診療報酬の算定方法(令和8年度改定) 別表第一 医科診療報酬点数表および実施上の留意事項通知厚生労働省(令和8年厚生労働省告示第69号、令和8年3月5日告示、令和8年6月1日適用) · 2026 · accessed 2026-08-20裏付けた主張: 医科点数表の実施上の留意事項通知(別添1、約95万字)を全文検索したところ、「ヘルスリテラシー」および「リテラシー」は0件、「理解を確認」は0件、「理解の程度」は0件、「平易な」「わかりやすく」は0件であった。「理解度」は依存症集団療法の1件のみ、「理解が得られ」は4件でいずれも算定対象から除く消極的要件である。「理解度」が要件となっているのは吸入薬指導加算(「吸入指導の内容や患者の吸入手技の理解度等について」保険医療機関に情報提供する)と経管投薬支援料(「患者の家族等の理解度に係る情報提供」)の2項目のみで、いずれも対象は手技である。外来管理加算の要件には「患者の潜在的な疑問や不安等を汲み取る取組を行う」として「他に分からないことや、気になること、ご心配なことはありませんか。」という発話例が示されているが、直後に「診察に当たっては、イに規定する項目のうち、患者の状態等から必要と思われるものを行うこととし、必ずしも全ての項目を満たす必要はない」とある。また生活習慣病管理料(Ⅰ)の通知は令和6年度改定では「療養計画書により丁寧に説明を行い、患者の同意を得るとともに、当該計画書に患者の署名を受けた場合に算定できる」であったが、令和8年度改定では「療養計画書により丁寧に説明を行い、患者の同意を得た場合に算定できる」と改められ、患者の署名要件が削除された。理由として「令和8年度診療報酬改定において、署名又は記名・押印の簡素化が図られた」と記されている
- 16How Health Care Systems Can Begin to Address the Challenge of Limited LiteracyJournal of General Internal Medicine 21(8):884-887 (Paasche-Orlow MK, Schillinger D, Greene SM, Wagner EH) · 2006 · accessed 2026-08-20裏付けた主張: ヘルスリテラシーへの universal precautions(全員に対する標準予防策)という考え方を提唱した論文。「a process of confirming comprehension should be the standard in clinical care, and a basic universal precaution embedded into practice at multiple levels, using multiple methods」「the clinician can tailor teaching and reassess comprehension until the patient has exhibited mastery (teach-to-goal)」と述べる。そのうえで「Providers tend to be unaware of their patients' limited literacy, but screening for limited literacy does not appear, in and of itself, to facilitate successful communication」と、個人をスクリーニングする方針への懐疑を明記している
- 17Teach-back: A systematic review of implementation and impactsPLOS ONE 15(4):e0231350 (Talevski J, Wong Shee A, Rasmussen B, Kemp G, Beauchamp A) · 2020 · accessed 2026-08-20裏付けた主張: ティーチバックに関する系統的レビュー。対象は20件で、内訳は無作為化比較試験9件、対照臨床試験2件、前後比較4件、before-after 1件、前向きコホート3件、横断1件。「Teach-back is effective across a wide range of settings, populations and outcome measures, although implementation techniques are not well described」「Studies were of moderate quality which limits the degree of caution for interpreting this conclusion」とし、「only half of the included studies provided a detailed description of implementation」「implementation fidelity has been frequently recommended as an essential component of undertaking intervention trials, yet was not examined in any of the studies included in this review」と記す。本レビューはメタ解析を行っておらず、統合された効果量は報告されていない
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