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構造から診る02 アクセスと提供体制/JAPANOTHER

受診しない人は、どれだけいるのか

日本では通院者率409.2が有訴者率255.7を上回る。しかしこれは「症状の大半は医療に持ち込まれない」という症状の氷山と矛盾しない。無症候性の慢性疾患管理が通院者を積み上げるからである。では病気やケガがあっても受診しない人は何%か。全国標本調査でも、広く尋ねれば2022年JGSSで24.2%、費用に限定すれば2023年調査で3.6%。未受診者が数えられていないのではない。何を「未受診」と数えるかが、まだ一つではない。

公開2026-08-19
更新2026-09-01
出典9 SOURCES

ダイジェスト解説 VIDEO

医療社会学が受診行動を扱うとき、出発点になる見方がある。症状があることと、医療機関に行くことのあいだには、解釈と判断の長い過程がある。臓器が人を医師のもとへ運ぶのではなく、人が自分の判断で臓器を運んでくる。だから症状とともに生活することのほうが規範であり、受診は例外である——。

私はこの見方を、そのまま日本に持ち込むつもりだった。受診率という統計は、病気の量ではなく判断の結果を測っている——そう書けば、フリーアクセスの記事やゲートキーピングの記事の手前に、きれいに一段が入る。

だが日本の統計を開いたら、話が反対だった。

第一層——通院者は、有訴者より多い

厚生労働省の国民生活基礎調査に、二つの率がある1。

病気やけが等で自覚症状のある者〔有訴者〕は人口千人当たり 255.7 傷病で通院している者〔通院者〕は人口千人当たり 409.2

通院している人のほうが、症状のある人より1.6倍多い。

年齢で切っても同じである。

2025年(人口千対)有訴者率通院者率
9歳以下94.3102.1
20〜29歳130.6142.0
60〜69歳291.4568.8
80歳以上465.5705.8
総数255.7409.2

逆転する年齢階級が、一つもない。そして差は高齢になるほど開く。

ただし公開時の本文は、ここから「症状とともに生きるのが規範で、受診は例外」という命題が日本では成り立たない、と結論した。これは比較の単位を取り違えている※訂正。

symptom iceberg が測っているのは、発生した症状のエピソードのうち、何割が専門職への相談に持ち込まれるかである(英国の住民調査では、報告された症状のうち一次医療の専門職に相談されたのは12%だった)。一方、有訴者率255.7と通院者率409.2が測っているのは、調査時点で自覚症状がある人の人口割合と、現在なんらかの傷病で通院している人の人口割合である。高血圧を10年間無症状で通っている人は、後者に入って前者に入らない。

「現在の通院者のストックが、現在症状のある人のストックを上回る」ことと、「一つ一つの症状エピソードの大半が医療に持ち込まれない」ことは、同時に成り立つ。この二つは矛盾しない。

言えるのはこうである。日本の医療利用のストックは、症状だけでは説明できない。無症候性の慢性疾患の定期管理という、別の回路が大きい。それは symptom iceberg が日本には無いという意味ではない。

症状と受診は、別の回路で動いている

もっと踏み込める。同じ調査が、症状別と傷病別のそれぞれで上位を出している。

公開時の本文は、これを「男女とも」の一つの表にまとめていた。実際は男女で違う※訂正。原典の図を性別に並べ直す(2025年、人口千対)。

男女
有訴 1位腰痛 85.9腰痛 100.8
2位頻尿 50.1肩こり 89.2
3位肩こり 48.3手足の関節が痛む 64.2
通院 1位高血圧症 150.1高血圧症 136.4
2位糖尿病 70.6脂質異常症 81.6
3位脂質異常症 59.5眼の病気 66.9

男女それぞれで、有訴の上位3項目と通院の上位3傷病に重なりはない。

訴えられている症状は筋骨格が中心である。通われている傷病の上位は、いずれも自覚症状のないまま管理される慢性疾患だ。血圧が高いことは痛くない。脂質異常症も痛くない。

ただし「腰痛と肩こりは通院の上位に一つも入らない」と書いたのは誤りである※訂正。女性の通院者率の第5位は「腰痛症」(51.2)である。入っていないのは肩こりのほうで、これは男女とも通院上位5に現れない。

そして「最も多く訴えられている症状が、最も少なく持ち込まれている」という一文は撤回する※撤回。上位3に入っていないことから「最も少ない」は導けない。

言えるのはこうである。現在感じている症状の構成と、現在継続して通院している傷病の構成は、かなり違う。

受療行動調査が、その裏づけを別角度から出している。病院の外来患者に、初診時に自覚症状があったかを尋ねた結果である2。

自覚症状があった 66.3%/自覚症状がなかった 28.1%

この調査対象では、3人に2人が症状を伴って受診している※撤回。公開時の本文はここで「日本では、症状が受診を呼んでいるのではない」と断定したが、引用している当の調査がそれを否定している。

そして症状がなかった患者が受診した理由の最多は、こうだった。

健康診断(人間ドックを含む)で指摘された 45.2%

しかもこの割合は上がり続けている——平成29年42.7%、令和2年44.2%、令和5年45.2%。外来患者の4人に1人以上は症状がなく、そのまた半数近くは健診に呼ばれて来ている。掛け合わせれば、この調査対象の約12.7%が「症状なし・健診指摘での受診」にあたる。

なお、この調査の客体は全国の一般病院を利用した患者である。診療所の患者も、そもそも受診しなかった人も入らない。28.1%を日本の外来全体の構成として読んではいけない。

日本人の受診回数は、国際的にも多い。OECDの原データで、国民一人あたりの年間対面受診回数は日本12.1回、OECD31か国平均6.5回3。約1.9倍で、韓国に次ぐ2位である。

輸入しようとした命題——症状とともに生きるのが規範で、受診は例外——は、日本の統計と矛盾するわけではなかった。測っている単位が違っただけである。見えたのは別のことだ。日本の通院には、症状を契機とする受診と、無症候性の慢性疾患の定期管理という、少なくとも二つの回路がある。

第二層——では、受診しない人はどれだけいるのか

こう書いてしまうと、「日本では受診しない人は少ない」で話が終わりそうになる。だが、そこを確かめようとして、私は行き詰まった。

同じ国の調査が、まったく違う数字を出す。

調査設問結果
日医総研 2023(面接・層化3段無作為)具合が悪いのに費用がかかるという理由で行かなかった3.6%
JGSS-2008(訪問留置)病気やケガにもかかわらず控えた(軽い風邪や虫歯も含めて)42.6%

3.6%と42.6%。同じ「受診しなかった人」を数えて、12倍の開きがある。

そして公開時の本文は、この二つしか並べていなかった。同じ設問が、その後も繰り返されている※追記。JGSSの公開コードブックを取得して数えた。

調査「控えたことがある」
JGSS-2008(n=2,060)42.5%(876人)
JGSS-2021H(n=1,800)24.9%(449人)
JGSS-2022H(n=1,581)24.2%(383人)

2021年・2022年の設問は「過去1年間に、病気やケガにもかかわらず、医師の診断を受けることを控えたことがありますか。風邪や虫歯の場合も含めて」で、2008年の「病院や診療所に行くのを控えた」とは動詞がわずかに違うが、ほぼ同じ問いである4,5。

ただしこの低下を単純な趨勢として読むことはできない。2021年・2022年に控えた理由の最多は「新型コロナウイルスに感染したくない」で、それぞれ51.7%・49.6%だった。COVID-19流行下の調査である。

日医総研の調査は、層化3段無作為抽出の個別面接で、日本の世論調査としては最も堅い部類に入る。結果は3.6%で、2020年の4.5%からむしろ下がっている。年齢別では45歳未満5.9%、65歳以上1.1%6。

JGSS-2008の42.6%は、著者自身が理由を書いている7。

データからは、4割以上の人が、何らかの理由によって過去1年間に医療を受けられなかった経験をしていることになる。しかしこの設問には、「軽い風邪や、虫歯の場合も含めて」という注釈があるため、病院にいくほどではないという自己判断によるものが多く含まれている。

実際、控えた理由の最多は「病院に行くほどの病気・ケガではないと判断した」で、経験者の半数以上を占める。

この理由の分布は、論文には図としてしか載っていない。公開時の本文は、その図の目盛りから概数を読み取って表にしていた。JGSSの公開集計表に正確な値がある※訂正。差し替える。

JGSS-2008 の理由(複数回答、受診を控えた876人が分母)8

理由%
病院に行くほどの病気・ケガではないと判断した57.0
忙しくて時間がない34.4
待ち時間が長い33.4
費用がかかる31.8
病院に行くのは好きではない25.3
どの病院に行ったらよいかわからない4.6
病院が近くにない3.9
その他2.2
交通手段がない0.7

(目視での概数は57/35/34/32/26/5/5/3/1で、正確値との差は最大1.4ポイントだった。それでも、公開されている数表があるのに図を目測したのは手順として誤りである。)

公開時の本文は、ここを「測っているのは、現象ではなく設問である」と結んだ。設問の効果だけに帰すのは行き過ぎである※訂正。二つは2008年と2023年で15年離れており、留置調査と個別面接という方式も違い、回答者構成も違う。

より根本的に、この二つは測定誤差以前に別の構成概念である。JGSSが尋ねているのは「何らかの理由で一度でも控えたこと」、日医総研が尋ねているのは「具合が悪いのに費用がかかるという理由で行かなかったこと」——広義の受診抑制と、費用起因の受診抑制である。

書ける範囲はこうである。同じ「未受診率」として引用できそうな数字でも、何を分子に入れるかで桁が変わる。

(公開時はさらに、JGSSの42.6%のうち費用を挙げた約32%を掛けて13.6%とし、日医総研の3.6%と「3.8倍の開き」と比べていた。この計算は削除した※撤回。JGSSの31.8%は複数回答で「費用も理由の一つ」と答えた人であり、日医総研は「費用が理由で行かなかったことがあるか」という別の設問である。しかも15年離れている。量として比べる意味がない。)

距離は、理由になっていない

もう一つ、この図には地域医療にとって重要なことが出ている。

「病院が近くにない」3.9%、「交通手段がない」0.7%。

受診を控えた人のうち、地理的な理由を挙げたのはこれだけである。最多の「大したことないと判断した」57.0%とは一桁違う。そしてこの形は、その後の調査でも変わらない※訂正——2021年は3.6%と1.8%、2022年は2.1%と0.0%である。

ただし「日本の全国標本では、受診しない理由は距離ではない」と書いたのは強すぎる。言えるのは、全国標本の自己申告理由では、地理・交通は一貫して上位要因になっていないというところまでである。離島や中山間地域のような少数集団での大きな障壁は全国平均に薄められるし、「病院が遠い」を選ばなかった人にも地理が間接的に効いている可能性は残る。

これは無医地区や交通の問題が存在しないという意味ではない。全国の平均としては地理が主因にならない、ということである。裏返せば、地理が効く場所は平均の中に埋もれるということでもある。前の記事で見た医師偏在指標の問題と、同じ形をしている。

ただし、42.6%を切り捨てることもできない

同じ著者が、その直後にこう書いている。

とはいえ、「病院に行くほどの病気・ケガではないと判断した」という回答が、社会経済的地位や居住地によって異なるのであれば、医療の必要性に対する認識自体が医療アクセスの差をもたらしているといえるため、この理由を、単純にさほど問題のないケースとして扱うことは早計であろう。

これが正確な立場だと思う。「大したことないと思ったから行かなかった」は、一見すると問題のない受診控えに見える。だがその判断の閾値そのものが、暮らし向きや住む場所で違うのなら、それは格差の現れである。

日医総研の数字にも同じ影がある。全体3.6%に対し、等価所得200万円未満の層は7.6%。全体は下がっているのに、低所得層では倍以上が「費用を理由に受診しなかった」と答えている。

空白は「調査が無い」ことではなかった

ここで、この記事が突き当たった空白を書き直す。

公開時の本文は「『症状はあったが、軽いと判断して受診しなかった人が何%か』を一本で出す日本の全国調査を、私は見つけられなかった」と書いた。撤回する※訂正。存在する。JGSSは2008年だけでなく2021年・2022年にも、全国の層化無作為標本に同じ問いを尋ね、控えた人の割合とその理由まで公表している。「病院に行くほどの病気・ケガではないと判断した」は2008年57.0%、2021年38.1%、2022年37.3%である。

したがって、この記事が本当に突き当たったのは別のものだった。未受診者を測る調査が無いのではない。「何を未受診と数えるか」が一つになっていないのである。

そしてもう一つ。これらはいずれも政府統計ではない。JGSSは大学の研究センターの調査であり、日医総研は職能団体の研究機関の調査である。国民生活基礎調査には有訴者の治療状況を尋ねた詳細表があるが、最新年は未公表である。受診しなかった人を、定義を定めて継続的に数える公的な仕組みは、確認できた範囲では見当たらない。

そして私自身、この記事を書く途中で一度間違えた。受療行動調査に「まず様子を見ようと思った」という回答があり、それを非受診の理由として使いかけた。使えない。同調査の客体は病院に来た患者である2。来なかった人は、原理的に一人も入っていない。あの数字は「最終的には受診した人が、遅れた理由」でしかない。

受診しなかった人を測る仕組みが、受診した人を測る仕組みの中には無い。当たり前のことだが、統計の名前だけを見ていると取り違える。

総合診療にとって、これが何を意味するか

三つ書いておきたい。

第一に、受診率の解釈が変わる。日本の受診回数がOECD平均の1.9倍であることは、しばしば「かかりすぎ」の証拠として使われる。だが一般病院の外来患者の28.1%は症状がなく、その45.2%は健診で呼ばれて来ている——掛け合わせて約12.7%である。

公開時の本文は、これを「多くの受診は、症状への反応ではなく、検査値と制度への反応である」と書いた。強すぎる※訂正。同じ調査で66.3%は症状を伴って受診している。書ける範囲は、一般病院の外来には、症状を契機としない受診も無視できない割合で存在し、その中では健診での指摘が大きな入口になっている、である。それでも「かかりすぎ」と言うなら、何にかかりすぎているのかを分けて言う必要がある、という含意は変わらない。

第二に、総合診療が担う領域が、この非対称の中にある。訴えられている上位は腰痛・肩こり・関節痛で、通院の上位はいずれも無症候性の慢性疾患である(女性では腰痛症が通院の5位に入るが、肩こりは男女とも上位5に現れない)。この差の中で人々が何をしているのか——市販薬か、施術所か、何もしないのか——は、この記事の統計では追い切れなかった。だがそこは、地域で人を継続して診る立場からしか見えない領域である。

第三に、測り方を決めることが仕事に含まれる。3.6%と24.2%と42.5%の差は、調査者の怠慢ではない。「受診しなかった」という現象に、まだ合意された定義がないということである。前の記事で、この分野には測る仕組みが足りないと書いた。ここで出てきたのは、少し違う形だった。測る仕組みは複数ある。揃っていないのは、何を測るかの定義のほうである。

この記事のタイトルへの答えを書いておく。「受診しない人はどれだけいるのか」に、一つの数字では答えられない。分母と、何を未受診と呼ぶかを、先に決める必要がある。

日本で、この問いに最も近づいた観察を挙げておく。沖縄の離島14島の診療所を1年間追った研究がある9。住民12,238人を分母に取り、54,741件の受診を数え、住民千人・月あたり360.0件という発生率を出した。人口を分母にできている点で、病院に来た人だけを尋ねる調査より一歩近い。

ただし公開時の本文は「来なかった人は一人も含まれていない」と書いた。正確ではない※訂正。この研究は率を住民12,238人を分母に算出しているので、受診がゼロだった住民も分母には入っている。入っていないのは、その人たちについての個人単位の情報である。

正確にはこうである。人口を分母に置けているが、来なかった住民を個人として特定し、その人に症状があったのか、なぜ来なかったのかを観察することはできない。

そして「来なかった人を数えられる単位は、たぶん地域しかない」という結論も撤回する※訂正。JGSSのような全国の住民標本調査で、現に測れている。必要なのは「地域であること」ではなく、医療機関を起点にせず、人口を起点に標本を取ることである。この違いは大きい。

そのうえで、地域という単位にしかできないことは残る。「来るべきだったのに来なかった人」を特定することである。住民標本調査が測れるのは、本人が「控えた」と自己申告した割合までだ。本人が「大したことない」と判断した57.0%の中に、医学的には受診すべきだった人がどれだけいるのか——それは名簿と診療の両方を持つ場所からしか見えない。


なお、有訴者率は2019年302.5から2025年255.7へと低下しているが、この間に調査へのオンライン回答が導入されており、厚生労働省は水準の比較可能性について明示的な注記を置いていない。本稿では水準の比較ではなく、有訴者率が下がり通院者率が上がったという方向のみを用いた。

訂正 CORRECTIONS

公開後に直したこと。本文は直したうえで、何をどう変えたかをここに残している。本文中の※ が、直した箇所を指す。

  1. 訂正通院者率が有訴者率を上回ることから「症状の氷山」を反証していた2026-09-01 · iceberg比較の単位を取り違えていた。症状の氷山が測るのは、発生した症状のエピソードのうち何割が専門職への相談に持ち込まれるかである。一方、有訴者率と通院者率が測るのは、調査時点で自覚症状がある人の人口割合と、現在なんらかの傷病で通院している人の人口割合である。高血圧を無症状で通っている人は後者に入って前者に入らない。「現在の通院者のストックが現在症状のある人のストックを上回る」ことと「一つ一つの症状エピソードの大半が医療に持ち込まれない」ことは同時に成り立つ。日本の医療利用のストックは症状だけでは説明できず、無症候性の慢性疾患の定期管理という別の回路が大きい、という記述に改めた。
  2. 撤回「日本では、症状が受診を呼んでいるのではない」を撤回した2026-09-01 · shoujou-yobanai引用している受療行動調査自身が、初診時に自覚症状があった患者を66.3%と報告している。この調査対象では3人に2人が症状を伴って受診している。あわせて、症状なし28.1%のうち健診指摘45.2%を掛けると約12.7%であること、この調査の客体は全国の一般病院を利用した患者であって診療所患者も未受診者も含まないことを明記した。
  3. 訂正有訴・通院の上位を「男女とも」の一つの表にまとめていた2026-09-01 · danjo実際は男女で異なる。2025年の有訴者率上位3は、男が腰痛85.9・頻尿50.1・肩こり48.3、女が腰痛100.8・肩こり89.2・手足の関節が痛む64.2。通院者率上位3は、男が高血圧症150.1・糖尿病70.6・脂質異常症59.5、女が高血圧症136.4・脂質異常症81.6・眼の病気66.9である。性別に並べ直し、「男女それぞれで、有訴の上位3項目と通院の上位3傷病に重なりはない」に改めた。
  4. 訂正「腰痛と肩こりは通院の上位に一つも入らない」は誤りだった2026-09-01 · youtsuu女性の通院者率の第5位は「腰痛症」(51.2)である。上位5に現れないのは肩こりのほうで、これは男女ともに入らない。
  5. 撤回「最も多く訴えられている症状が、最も少なく持ち込まれている」を削除した2026-09-01 · mottomo-sukunaku上位3に入っていないことから「最も少ない」は導けない。言えるのは、現在感じている症状の構成と、現在継続して通院している傷病の構成がかなり違う、というところまでである。
  6. 追記JGSS-2021H・2022Hの同じ設問の結果を追加した2026-09-01 · jgss-2021-2022公開時の本文は2008年と2023年の二つしか並べていなかった。JGSSは2021年・2022年にも全国の層化無作為標本にほぼ同じ問いを尋ねており、「控えたことがある」は2021年24.9%(449/1800)、2022年24.2%(383/1581)である。ただしこの低下を単純な趨勢として読むことはできない。両年とも控えた理由の最多は「新型コロナウイルスに感染したくない」で、それぞれ51.7%・49.6%だった。
  7. 訂正「この問いを一本で出す全国調査を見つけられなかった」を撤回した2026-09-01 · unmet存在する。JGSSは2008年だけでなく2021年・2022年にも同じ問いを尋ね、控えた人の割合とその理由まで公表している。「病院に行くほどの病気・ケガではないと判断した」は2008年57.0%、2021年38.1%、2022年37.3%である。この記事が本当に突き当たったのは、未受診者を測る調査が無いことではなく、「何を未受診と数えるか」が一つになっていないことだった。あわせて、これらがいずれも政府統計ではないこと(JGSSは大学の研究センター、日医総研は職能団体の研究機関の調査)も明記した。節見出しも「数えられていないのは、まさにこの部分である」から「空白は『調査が無い』ことではなかった」に改めた。
  8. 訂正受診を控えた理由を図から目測していた2026-09-01 · jgss-seikaku埴淵(2010)には図としてしか載っていないが、JGSSの公開集計表に正確な値がある。病院に行くほどの病気・ケガではないと判断した57.0%、忙しくて時間がない34.4%、待ち時間が長い33.4%、費用がかかる31.8%、病院に行くのは好きではない25.3%、どの病院に行ったらよいかわからない4.6%、病院が近くにない3.9%、その他2.2%、交通手段がない0.7%。目視での概数との差は最大1.4ポイントだったが、公開されている数表があるのに図を目測したのは手順として誤りである。CALCブロックを削除し、正確値の表に差し替えた。
  9. 訂正「測っているのは、現象ではなく設問である」を弱めた2026-09-01 · setsumon-dake3.6%と42.5%の差を設問の効果だけに帰すのは行き過ぎである。二つは2008年と2023年で15年離れ、留置調査と個別面接という方式も違い、回答者構成も違う。より根本的に、この二つは測定誤差以前に別の構成概念である——広義の受診抑制と、費用起因の受診抑制。「同じ『未受診率』として引用できそうな数字でも、何を分子に入れるかで桁が変わる」に改めた。
  10. 撤回JGSSと日医総研を掛け算で橋渡しした計算を削除した2026-09-01 · hashiwatashiJGSSの42.6%に費用を挙げた31.8%を掛けて13.6%とし、日医総研の3.6%と「3.8倍の開き」と比べていた。JGSSの31.8%は複数回答で「費用も理由の一つ」と答えた人であり、日医総研は「費用が理由で行かなかったことがあるか」という別の設問である。しかも15年離れている。量として比べる意味がない。
  11. 訂正「日本の全国標本では、受診しない理由は距離ではない」を弱めた2026-09-01 · kyori「全国標本の自己申告理由では、地理・交通は一貫して上位要因になっていない」に改めた。2008年は病院が近くにない3.9%・交通手段がない0.7%、2021年は3.6%と1.8%、2022年は2.1%と0.0%である。離島や中山間地域のような少数集団での大きな障壁は全国平均に薄められるし、「病院が遠い」を選ばなかった人にも地理が間接的に効いている可能性は残る。
  12. 訂正離島研究について「来なかった人は一人も含まれていない」を訂正した2026-09-01 · ritouこの研究は率を住民12,238人を分母に算出しているので、受診がゼロだった住民も分母には入っている。入っていないのはその人たちについての個人単位の情報である。「人口を分母に置けているが、来なかった住民を個人として特定し、その人に症状があったのか、なぜ来なかったのかを観察することはできない」に改めた。
  13. 訂正「来なかった人を数えられる単位は、たぶん地域しかない」を撤回した2026-09-01 · chiiki-dakeJGSSのような全国の住民標本調査で現に測れている。必要なのは「地域であること」ではなく、医療機関を起点にせず人口を起点に標本を取ることである。そのうえで地域という単位にしかできないことは残る——「来るべきだったのに来なかった人」の特定である。住民標本調査が測れるのは本人が「控えた」と自己申告した割合までで、本人が「大したことない」と判断した57.0%の中に医学的には受診すべきだった人がどれだけいるのかは、名簿と診療の両方を持つ場所からしか見えない。
  14. 訂正「多くの受診は、症状への反応ではなく、検査値と制度への反応である」を弱めた2026-09-01 · kensa-chi同じ調査で66.3%は症状を伴って受診している。「一般病院の外来には、症状を契機としない受診も無視できない割合で存在し、その中では健診での指摘が大きな入口になっている」に改めた。「かかりすぎ」と言うなら何にかかりすぎているのかを分けて言う必要がある、という含意は変わらない。

出典 SOURCES

  1. 12025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況 Ⅲ 世帯員の健康状況厚生労働省 · 2025 · accessed 2026-08-18裏付けた主張: 「病気やけが等で自覚症状のある者〔有訴者〕は人口千人当たり255.7(この割合を「有訴者率」という。)となっている」「傷病で通院している者〔通院者〕は人口千人当たり409.2(この割合を「通院者率」という。)となっている」と記す。有訴者率は男233.2・女276.7、年齢階級別では9歳以下94.3から80歳以上465.5まで上昇する。通院者率は男398.1・女419.7、9歳以下102.1から80歳以上705.8まで上昇する。全年齢階級で通院者率が有訴者率を上回っており、逆転する層は存在しない。症状別の有訴者率は男女とも腰痛が最も高く、男では次いで頻尿・肩こり、女では肩こり・手足の関節が痛む。傷病別の通院者率は男女とも高血圧症が最も高く、男では次いで糖尿病・脂質異常症、女では脂質異常症・眼の病気。なお注記に「有訴者には入院者は含まないが、有訴者率を算出するための分母となる世帯人員には入院者を含む」とある
  2. 2令和5(2023)年 受療行動調査(確定数)の概況厚生労働省 · 2023 · accessed 2026-08-18裏付けた主張: 全国の一般病院を利用する患者を対象とした調査。外来患者の初診時の自覚症状の有無について、自覚症状があった66.3%、自覚症状がなかった28.1%、覚えていない3.3%、不詳2.2%。自覚症状がなかったが受診した理由(複数回答)は「健康診断(人間ドックを含む)で指摘された」が45.2%と最も高く、年次推移では平成29年42.7%、令和2年44.2%、令和5年45.2%と上昇している。次いで「他の医療機関等で受診をすすめられた」25.2%(平成29年23.0%、令和2年24.4%)、「病気ではないかと不安に思った」9.3%。なお本調査の客体は医療機関を利用した患者であり、受診しなかった者は調査対象に含まれない
  3. 3Health at a Glance 2025 図5.16 In-person doctor consultations per capitaOECD (OECD Health Statistics 2025) · 2025 · accessed 2026-08-18裏付けた主張: 図に付された StatLink から取得した原データ。国民一人あたりの年間対面受診回数は、2013年・2019年・2023年(または直近年)の順で、韓国16.9・17.2・18.0、日本12.8・12.4・12.1、ドイツ9.9・9.7・9.7、OECD31平均6.5・6.8・6.5、米国3.7・3.8・3.5。日本は韓国に次いで2番目に多く、OECD平均の約1.9倍である。日本には脚注が付され、直近値は2021年から2022年のデータである旨が示されている。また日本は2019年以降オンライン診療を分離して集計できないため、他国の対面のみの数値と厳密には比較できない
  4. 4日本版 General Social Surveys 基礎集計表・コードブック JGSS-2021H大阪商業大学 JGSS研究センター · 2021 · accessed 2026-08-31裏付けた主張: 留置調査票B票のQ53-1「過去1年間に、病気やケガにもかかわらず、医師の診断を受けることを控(ひか)えたことがありますか。風邪や虫歯の場合も含めてお答えください。」(変数名 XRFDCTR)の集計は、控えたことがある449人(24.9%)、控えたことはない1010人(56.1%)、過去1年間に病気・ケガはしていない329人(18.3%)、無回答12人(0.7%)、計1800人。Q53-2の理由(複数回答、該当者449人)は、新型コロナウイルスに感染したくない232人(51.7%)、病院に行くほどの病気・ケガではないと判断した171人(38.1%)、忙しくて時間がない136人(30.3%)、待ち時間が長い112人(24.9%)、費用がかかる103人(22.9%)、病院に行くのは好きではない80人(17.8%)、どの病院に行ったらよいかわからない31人(6.9%)、病院が近くにない16人(3.6%)、交通手段がない8人(1.8%)、保険が使えない6人(1.3%)、その他13人(2.9%)。COVID-19流行下の調査であり、最多の理由が感染懸念である点に注意を要する
  5. 5日本版 General Social Surveys 基礎集計表・コードブック JGSS-2022H大阪商業大学 JGSS研究センター · 2022 · accessed 2026-08-31裏付けた主張: 留置調査票B票のQ52-1(設問文はJGSS-2021Hと同一、変数名 XRFDCTR)の集計は、控えたことがある383人(24.2%)、控えたことはない934人(59.1%)、過去1年間に病気・ケガはしていない243人(15.4%)、無回答21人(1.3%)、計1581人。Q52-2の理由(複数回答、該当者383人)は、新型コロナウイルスに感染したくない190人(49.6%)、病院に行くほどの病気・ケガではないと判断した143人(37.3%)、忙しくて時間がない135人(35.2%)、待ち時間が長い94人(24.5%)、費用がかかる78人(20.4%)、病院に行くのは好きではない72人(18.8%)、どの病院に行ったらよいかわからない28人(7.3%)、病院が近くにない8人(2.1%)、その他12人(3.1%)、保険が使えない2人(0.5%)、交通手段がない0人(0.0%)
  6. 6第8回 日本の医療に関する意識調査 (日医総研ワーキングペーパー No.480)日本医師会総合政策研究機構 · 2023 · accessed 2026-08-18裏付けた主張: 2023年11月実施、層化3段無作為抽出による個別面接聴取、有効回答1,162。「過去1年間に、具合が悪いにもかかわらず費用がかかるという理由で医療機関に行かなかったことが「ある」と回答した人の割合は、全体の3.6%であった。年齢別では、45歳未満は5.9%、46歳~64歳は4.8%、65歳以上は1.1%であった。男女別では、女性の20~44歳の群は6.7%で、他の群に比べて高い傾向がみられた」と報告する。第7回調査(2020年7月、有効回答1,212)では同一の設問で4.5%であった。等価所得別では200万円未満の層が2023年で7.6%と全体より高い
  7. 7医療と健康の格差——JGSS-2008に基づく医療アクセスの分析日本版総合的社会調査共同研究拠点 研究論文集[10] JGSS Research Series No.7 pp.99-110(埴淵知哉) · 2010 · accessed 2026-08-18裏付けた主張: JGSS-2008(有効回収2,060、回収率58.2%)の二次分析。設問は「過去1年間に、病気やケガにもかかわらず、病院や診療所に行くのを控えたことがありますか。軽い風邪や、虫歯の場合も含めてお答えください。」で、回答分布は「控えたことがある」42.6%、「控えたことはない」48.7%、「病気・ケガはしていない」8.7%。著者は「データからは、4割以上の人が、何らかの理由によって過去1年間に医療を受けられなかった経験をしていることになる。しかしこの設問には、「軽い風邪や、虫歯の場合も含めて」という注釈があるため、病院にいくほどではないという自己判断によるものが多く含まれている」と注意を促す。控えた理由(複数回答)の最多は「病院に行くほどの病気・ケガではないと判断した」で経験者の半数以上を占め、次いで「忙しくて時間がない」「待ち時間が長い」などが挙がる。ただし著者は「この理由を、単純にさほど問題のないケースとして扱うことは早計であろう」とも述べ、必要性の認識自体が社会経済的地位によって異なる可能性を指摘している。なお理由の分布は図として示されており、本文に個別の百分率は記載されていない
  8. 8JGSS-2008 Frequency tables (dorfhsp, rhp* 系変数)大阪商業大学 JGSS研究センター · 2008 · accessed 2026-08-31裏付けた主張: JGSS-2008 の公開集計表。dorfhsp(Refraining from Going to Hospitals)は、Yes, I did 876人(有効回答2060に対し42.5%)、No, I did not 1000人(48.5%)、I was neither ill nor injured last year 178人(8.6%)、No answer 6人(0.3%)。理由の各変数(該当者876人が分母、有効パーセント)は、rhptnng 病院に行くほどの病気・ケガではないと判断した499人(57.0%)、rhpntsd 忙しくて時間がない301人(34.4%)、rhptlng 待ち時間が長い293人(33.4%)、rhpctm 費用がかかる279人(31.8%)、rhpdlsd 病院に行くのは好きではない222人(25.3%)、rhpdkwg どの病院に行ったらよいかわからない40人(4.6%)、rhpnhn 病院が近くにない34人(3.9%)、rhpothr その他19人(2.2%)、rhphntp 交通手段がない6人(0.7%)。すなわち埴淵(2010)が図としてのみ示した理由の分布には、公開されている正確な数値が存在する
  9. 9Gatekeeping function of primary care physicians under Japan's free-access system - a prospective open cohort study involving 14 isolated islandsFamily Practice 36(4):452-459 (Kaneko M, Motomura K, Mori H, Ohta R, Matsuzawa H, Shimabukuro A, Matsushima M) · 2019 · accessed 2026-08-18裏付けた主張: 沖縄県の離島14島(住民12,238人)の診療所を1年間に受診した全患者を対象とした前向き開放コホート研究。54,741件の受診と2,045件の島外紹介、549件の救急受診、705件の入院を記録した。年齢・性で標準化した住民千人・月あたりの発生率は、プライマリケア診療所の受診360.0、島外の病院外来への紹介11.6、救急受診3.3、入院4.2。全国調査との比較では病院外来の受診が少なく、かかりつけ医の受診が多かった。結論は「The lower incidence of visits to secondary care facilities in this study might suggest that introduction of a gatekeeping system to Japan would reduce the incidence of referral to advanced care」と条件法で述べられており、単群の観察を全国調査と比較したものであることに留意が要る

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かかりつけは、なぜ失われるのか本シリーズ第1回。受診を控えた理由のうち地理が下位だったという所見を、本稿の無医地区調査と突き合わせる近さは、何から決められてきたのか受診しない人を扱った回。空間アクセスを最初に取り上げた記事。本稿の第3節は、その指標が連続量としてしか観測できないことの帰結を扱う地域を分母にする、と言うとき、何が分母になっているのか沖縄の離島研究を「人口を分母にできている一歩」として挙げた回。本稿はその設計が本土で再現されたかを確かめる「かかりすぎ」は、どの数字の上に乗っているのか日本の受診回数がOECD平均の1.9倍であることを「かかりすぎ」の根拠として引く語り方に、最初に疑問を置いた回継続性は、誰について測られているのか本シリーズ前回。分母は人口なのに分子は来た人だった、という同じ形が、本稿では指標の式そのものに現れるその地区が消えたのは、医者が来たからか、人がいなくなったからか受診しない人を扱った回。空間アクセス(診療所までの距離)を最初に取り上げた記事であり、本稿はその指標が徒歩を前提にすると何が変わるかを見る分かりにくいのは、誰の問題か本シリーズ第1回。同じ現象の割合が3.6%と42.6%に振れるのは設問の書き方のせいだった。本稿では線引きの位置が同じことをする個人への単独帰属は、なぜ繰り返し成立しないのか本シリーズ第1回。「来なかった人は数えられていない」という形が、ここから九本すべてに現れた

元になったノート STUDY NOTES

姉妹サイト study.yonapo.com の学習ノート。本稿の問いはここから出ている。ノートは講義の要約であり、記事の出典は別に一次資料へ当たっている。