ハンガリー語と日本語、意外に似てる?
ハンガリー語は「ヨーロッパの孤島」と呼ばれます。周囲のドイツ語・スラブ語・ロマンス語とはまったく別の系統——ウラル語族のフィン・ウゴル語派に属していて、近い親戚はフィンランド語やエストニア語です。ところが留学の準備をしていたとき、「実はハンガリー語、日本語に近い構造をしてるよ」という話を聞いてびっくりしました。まさか、と思いながら調べてみると、本当に共通点がたくさん見つかったのです。
語順がほぼ同じ「SOV」
英語は「I eat an apple.」のように 主語→動詞→目的語(SVO) の順番です。でも日本語は「私は(S)りんごを(O)食べる(V)」と、動詞が最後に来るSOV型。ハンガリー語もこのSOV型が基本です。
たとえば「私はりんごを食べる」はハンガリー語で Én almát eszem.(エン・アルマート・エセム)。Én(私は)→ almát(りんごを)→ eszem(食べる)と、日本語とほぼ同じ並びになります。もちろんハンガリー語は語順がかなり自由で、強調したい言葉を前に出す傾向があります。それでも「動詞が後ろに来る」という感覚は、日本語話者にとって親しみやすいはずです。
名詞に「助詞」がくっつく膠着語
日本語で「家」という単語に助詞をつけると、「家で」「家から」「家へ」と意味が変わります。英語なら前置詞を前に置く(in the house / from the house / to the house)ですが、日本語は後ろにくっつけますよね。
ハンガリー語も全く同じ発想です。「ház(ハーズ)=家」に接尾辞を加えると——
- házban(ハーズバン)=家の中で
- házból(ハーズボール)=家の中から
- házhoz(ハーズホズ)=家へ向かって
このように単語の後ろに意味を足していくしくみを「膠着語(こうちゃくご)」と言います。日本語もハンガリー語も、ともに膠着語。英語やフランス語など周囲のヨーロッパ言語とは根本的に設計が異なります。
動詞も「くっつける」で変化する
日本語では動詞の語幹に「〜ます」「〜ない」「〜た」をくっつけて丁寧さや時制を表します。ハンガリー語も同じで、動詞の語幹に人称語尾・時制語尾・定/不定語尾を順番に付け加えます。たとえば「csinál(チナール)=する」に人称語尾を付けると、csinálom(私はそれをする)、csinálod(あなたはそれをする)のように変化します。「単語を作るのではなく、語幹を膨らませていく」という感覚は、日本語の活用にとても近いものがあります。
まとめ
もちろん語彙はまったくの別物ですし、ハンガリー語の発音(二重母音や長母音の区別)には独自の難しさがあります。でも文法の「設計思想」でいえば、ハンガリー語は英語や他のヨーロッパ言語よりも、日本語にずっと近い。これを知ってから文法を学び始めると、「なんとなく仕組みがイメージできる」という感覚が持てるようになりました。ヨーロッパの孤島と、アジアの島国。遠く離れているのに、どこか似た論理で言葉を組み立てているのが面白いな、と思います。

