前提を疑う02 アクセスと提供体制/JAPAN
医師偏在指標は、何を測れていないのか
医師偏在指標は失敗した指標ではない。患者側の年齢構成も、受療率も、患者の流出入も、医師の性年齢別労働時間も補正した、人口当たり医師数よりずっと精緻な指標である。だが医療アクセスそのものを測る指標ではない。そして2026年、厚生労働省が出した答えは、一つの指標を万能にすることではなかった——医師偏在指標は医師供給の相対差を測るものとして残し、へき地尺度という別の指標を重ねて医師少数区域を決める。制度自身が「単独の指標では足りない」に到達した。「前提を疑う」シリーズ第11回。
ダイジェスト解説 VIDEO
2018年7月の医療法・医師法改正で制度的な枠組みが設けられ※訂正、2019年3月に医師確保計画策定ガイドラインが出て、2020年1月に初めて公表された医師偏在指標は、都道府県が「医師少数区域」「医師多数区域」を指定する際の公式な基準になっている。ただし「総合診療だけが例外」というのは誤りである※訂正。シーリングの対象外は外科・産婦人科・病理・臨床検査・救急・総合診療の6診療科で、対象は残る13診療科である。そして総合診療と救急は同じ脚注で「今後の役割についてさらなる議論が必要」という理由で除外されている。対象外は総合診療だけではない。(もっとも、その理由づけが総合診療と救急に共通していること自体は、「守備範囲が診療科別に割れない領域をどう数えるか」という同じ問題を示している。)単純な人口当たり医師数よりは前進した設計だが、この指標は実際の医療アクセスの偏在をどこまで捉えられているのか。この検証は、厚労省自身の検討会資料の中に、既にかなりの部分の答えが記録されていた。「前提を疑う」シリーズ第11回。
エビデンス整理
医師偏在指標は、何を計算しているのか
医師偏在指標は、標準化医師数を、地域の人口(10万人単位に換算)と地域の標準化受療率比で割って算出される。標準化医師数は、性年齢階級別医師数に性年齢階級別の平均労働時間比を乗じたもので、単純な頭数ではなく労働力に近づけた値である。標準化受療率比は、患者の受診行動における地域をまたいだ移動(流出入)を反映した性年齢階級別の調整受療率をもとに算出される1。つまりこの指標は、単純な人口当たり医師数と比べれば、需要側の年齢構成や受診行動、供給側の労働力を組み込んだ、確かに精緻化された設計になっている。
地理的要因の欠落——厚労省自身が認めている限界
しかし、この指標の限界は、外部の研究者だけでなく厚労省自身の検討会資料にも明記されている。「医師偏在指標は…その計算式には医療機関へのアクセス等の結果である流出入調整係数を含んでいるものの、地理的要素を十分に反映できていないという意見が多い」と、令和7年7月の検討会資料は率直に記している。委員からは、地域ごとの受療行動の違いが反映されていないこと、労働時間比係数(特に研修医比率・男女比)が実情より古いのではないかという指摘、そして医師の年齢構成——10年後の高齢化見通し——が全く反映されておらず、現在「医師多数区域」に分類される地域が、退職の波によって急速に「医師少数区域」へ転じうる可能性も指摘されている2。
学術側からの批判も、ほぼ同じ論点に収斂している。東北福祉大学の佐藤英仁は、医師偏在指標には「医師の性年齢と地域の受療率の違いしか考慮されていない」と指摘し、本来医療が必要にもかかわらず地理的な理由等で受診できていない「潜在的な受療率」が指標に反映されていない点、そして指標が現在の医師の平均労働時間をそのまま計算の基準にしている——既に過労死水準に近いとされる労働時間を「正常な供給能力」として扱ってしまっている——点を問題視している3。
厚労省が示した改善案(直近の二次救急病院までの直線距離を地理的要素として組み込む案)についても、検討会の委員から「直線距離だけでなく、交通事情・アクセス時間などを勘案すべき」という、改善案自体への批判が出ている。労働時間比についても、2022年調査で20代・30代の若手医師を中心に労働時間が短縮していることが確認されており、最新の調査結果を反映する方針が示された4。
国際的な知見と重なる問題——単純な人口当たり医師数の限界
この種の批判は、日本に限った話ではない。米国の郡単位の医師人口比は、住民が郡境を越えて受診する現実を無視しており、同じカテゴリー内でも実際の医師までの距離にはばらつきがあることが示されている5。ベルギーの公式な医師人口比方式は大きな医師ゾーンを単位とするため地域内のばらつきを覆い隠しており、より精緻な空間的手法の方が政策的な判定に適していると評価されている6。フランスでも同様に、医師人口比は「あるかないか」の二値的なパターンしか示さず、滑らかなアクセスの勾配を表現できないと指摘されている7。こうした批判を受けて、GISを用いたより精緻な空間アクセス手法が各国で提案されてきた8,9。
日本国内でも、アクセスを組み込んだ必要医師数の推計は、従来の人口比方式による推計(38,685人)より約7,700人多い46,378人となり、この差は人口密度の低い地域ほど大きいことが示されている——単純な人口当たり医師数に基づく方式は、疎住地域の必要医師数を系統的に過小評価しているということである10。1998〜2008年の日本の医師偏在を追跡した縦断研究では、医師数が全体として増加したにもかかわらず地域間の不均等は解消されておらず、農村部で見かけ上「改善」しているように見える数値の一部は、人口減少という分母側の変化によるものだったことも示されている11。
診療科構成・総合診療医の不在という次元
医師偏在指標は総医師数を扱う指標であり、診療科構成の偏りは別の問題として扱われる。日本の医師偏在指標(PUDI)を検証した研究は、単純な人口当たり医師数より脳血管疾患死亡率との関連が強いことを確認する一方、診療科別の需給を反映しておらず、産科・小児科などの診療科別目標を、実際の人的資源や実践範囲を評価しないまま設定しても効果は限定的だと指摘している12。別の研究では、地域全体の医師分布は院外心停止のアウトカムと関連していたが、専門医に限った地域間の偏在指標はアウトカムと有意な関連を示さなかった——総医師数の偏在と専門医の偏在とでは意味合いが異なりうることを示唆している13。
診療科ごとの偏在は、産科・小児科で特に深刻である。日本の産婦人科医の地理的偏在を示すジニ係数は2008年以降上昇に転じ、2016年以降は0.4を超える水準で推移している14。農村部の小児科医のジニ係数も1996年0.723・2004年0.703と、都市部(0.32〜0.34程度)のおよそ2倍にのぼり、非小児科医が農村部の小児医療を実質的に支えている実態も報告されている15。
一方、総合診療医・家庭医は、この偏在構造の中で異質な位置を占めている。日本の家庭医は最も人口密度の低い地域に偏って分布している一方、内科・小児科・外科・産婦人科などの専門医は日米いずれでも人口密度の高い地域に偏っており、米国では家庭医の方がより均等に分布している。日本の家庭医比率を米国並みに引き上げるシミュレーションでは、全体の医師偏在が大きく改善するという結果が示されている16。別の全国調査でも、家庭医は他のどの専門医よりも農村部に有利な分布を示しており、家庭医・総合診療専門医を国の政策で増やすことが都市偏重の是正につながると結論づけられている17。米国でも、家庭医は農村度の連続的な尺度の中で最も均等に分布している診療科だと報告されている18。
診療科別の指標は、総合診療には存在しない
厚労省は実は、医師偏在指標を診療科別にも運用している——ただし2診療科分だけである。産科(分娩取扱)医師偏在指標は標準化分娩取扱医師数を分娩件数(1000件あたり)で割って算出され、小児科医師偏在指標は標準化小児科医師数を年少人口(10万人あたり、標準化受療率比込み)で割って算出される。いずれも第7次医療計画(2018年法制化、2020年運用開始)の枠組みで導入されたものである19。
しかし、総合診療にはこの種の指標が存在しない。厚労省自身の令和7年9月の検討会資料は、診療科偏在対策を3つの「視点」に分類しており、総合診療は「地域でのニーズがある一方で、医師数の伸びが緩慢であるなど、担い手の確保の観点での対策が必要な診療科」という視点1に位置づけられている一方、産科・小児科は「医療計画に基づき地域の医療提供体制を維持する観点での対策が必要な診療科・領域」という視点2——つまり指標を伴う枠組み——に位置づけられている20。総合診療は、量的な指標で管理する対象ではなく、人材確保という別の政策課題として扱われているということである。
なお、総医師数の医師偏在指標が低いことと、小児科や産科が不足していることは別である※追記。産科・小児科にはそれぞれ分娩取扱医師偏在指標・小児科医師偏在指標という独立した指標があり、診療科偏在は総医師偏在とは別のトラックで扱われている。
新設された「重点的に医師を確保すべき区域」の指定も、この非対称性を引き継いでいる。制度の条文自体に診療科の限定はなく、候補選定は都道府県ごとに医師偏在指標(全体)が最も低い二次医療圏など約100区域を想定していると報じられている21。制度の前身にあたる「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」も、人口規模・地理的条件・今後の人口動態から医療機関の維持が困難な地域として定義されており、診療科による絞り込みは組み込まれていない20。産科・小児科が不足している区域と、総合診療医が不足している区域が一致するとは限らないにもかかわらず、この制度は両者を区別する手段を持っていない。
なぜ総合診療だけ指標化されないのか。産科は分娩件数、小児科は年少人口という明確な代理指標を持つのに対し、総合診療が診る範囲は診療科横断的すぎて、同じ方法で定量化しにくいというのが実質的な理由のようだ——厚労省の検討会でも、痛風のような疾患は内科で診ることも整形外科で診ることもあるといった趣旨の指摘があったと報じられている4。日本のプライマリケア文献レビューも同じ構造的問題を指摘しており、「プライマリケアと二次医療の境界が不明確なため、プライマリケアの人材を評価することは困難」であり、日本の医療制度には英国のような患者登録制度がなく、患者が自由に医師・医療機関を選択・変更できるため、提供者側が継続性を維持することも難しいと述べている22。
この困難に、日本国内の研究がまったく取り組んでいないわけではない。アクセス(移動時間)を組み込んだ必要医師数推計は、前述の通り単純な人口比方式(38,685人)より多い46,378人という推計を示しているが、これはプライマリケア医師全体の必要数であり、総合診療医に限定した推計ではない10。より直接的な試みとして、厚労科研(前野哲博・筑波大学ほか、2018〜2020年度)の報告書は、専門医型の外来診療を「1傷病1診療」、総合診療医型の外来診療を「1患者1診療」の構造として対比し、高齢化に伴う併存疾患数の増加を踏まえると、総合診療の需要推計は疾患別ではなく患者の複雑性(併存傷病数・要介護認定等)に基づいて行う必要があると論じている23。もっとも、これは研究レベルの試みにとどまり、公式の医師偏在指標や医師確保計画には反映されていない。
専攻医の配置制度も、総合診療を意図的に除外している。日本専門医機構の専攻医シーリング(都道府県・診療科別の定員上限)は、外科・産婦人科・病理・臨床検査・救急、そして総合診療科の6診療科をシーリングの対象外としており、総合診療科を対象外とする理由を「今後の役割についてさらなる議論が必要とされている等の理由」と説明している24。他の13診療科※訂正では都道府県別に「必要医師数」を算出して定員を管理しているのに対し、総合診療科には都道府県別の必要医師数に基づく定員設定そのものが存在しない。
海外に目を向けると、総合診療に特化した地理的配分の仕組みを持つ国もある。オーストラリアの「Distribution Priority Area(DPA)」制度は、Modified Monash Model(地理的僻地度の分類)に基づき、各GP診療圏の実際のメディケア請求診療量を人口動態・社会経済指標(SEIFA)で調整したベンチマークと比較し、これを下回る区域をDPAに指定する——診療科横断的な指標ではなく、GP(総合診療医)そのものを対象にした専用の需給管理システムである25。日本には、これに相当する総合診療専用の需給管理システムが存在しない。
実働能力・チーム医療という次元
標準化医師数は単純な頭数ではない※訂正。性年齢階級別の平均労働時間比で補正されており、令和8年版では複数医療機関勤務を主たる勤務先0.8・従たる勤務先0.2として配分する方法も採られている。測っていないのは、一人の医師が実際に何人を、どの範囲まで診療できるかという診療能力と守備範囲のほうである。米国のHPSA(Health Professional Shortage Area)算定にナースプラクティショナーを含めると、保守的な仮定の下でもHPSA指定郡の数が約8割減少するという推計がある——医師のみに基づく指標は、実際に利用可能なプライマリケアの供給力を大きく過小評価しうるということである26。医師一人当たりの実際の年間診療患者数に基づいて供給力を測定した研究では、2021年のバージニア州で28.8%の不足(2016年の17.7%から悪化)と推計され、従来の頭数・常勤換算に基づく推計より深刻な不足が明らかになった27。もっとも、非医師職種の拡大は単純な代替にはならない。英国の研究では、GP以外の職種の拡大はGPの常勤換算数を単純に代替せず、患者満足度や病院利用への効果は一貫しないと報告されている28,29。研修医の配置計画にも、同様の精緻化が求められている。オーストラリアの事例では、地域アクセス指標・医療従事者不足地域区分・農村度・社会経済指標・人口規模などを組み合わせて研修枠の配分を計画・監視する手法が提示されており、医師の配置だけでなく研修枠の配分そのものも、局所的な需要に応じて評価すべきだという含意を持つ30。
遠隔医療は、指標の外側にある政策手段として扱われている
医師偏在指標は、遠隔医療による代替可能性を供給量に換算していない。ただしこれを単純な欠落と呼ぶのは公平ではない※訂正。令和8年の厚生労働省の整理では、mRIJによって新たに医師少数区域となる地域について、幅広い診療領域を担える医師の確保、不足診療科の医師、そしてオンライン診療を組み合わせた診療機能の補完に取り組む方針が明記されている。遠隔診療を「医師0.13人」のように指標へ換算するのではなく、指標で不足と判定した後の政策手段として扱う設計である。高所得国の農村・遠隔地における遠隔医療に関するレビューは、遠隔医療が既存の患者・医師関係を前提としたフォローアップや専門医不在時の代替として有用な補完的手段にとどまり、身体診察や関係構築、地域の文脈理解という点では限界があると整理している31。しかも遠隔医療の前提となるデジタル基盤自体が、まさに医師不足が深刻な地域ほど欠けている可能性がある。米国では、ブロードバンド普及率の低さが遠隔医療を対面診療の代替手段として機能させる上での制約になっていることが示されており32、デジタルディバイドと医療従事者不足がそれぞれ独立に郡レベルの健康アウトカム悪化と関連し、デジタルディバイドは非都市部でより深刻だという報告もある33。厚労省の資料でも、遠隔医療(拠点病院からのオンライン診療)は高齢化が進む医師少数区域への政策的な緩和策として言及されているにとどまり、指標そのものが遠隔医療による代替可能性を測定・相殺する対象としては扱われていない4。
指標に基づく政策は、どこまで効果を上げているのか
不足地域の判定そのものが、その後の政策効果を保証するわけではない。米国では、HPSA指定が実際に若手医師の流入を促した(23%増加)という研究がある一方、キャリア後期の医師の異動には効果が見られなかったという報告もある34。より長期の分析では、1970〜2018年の約50年間でHPSA指定は死亡率・医師密度のいずれにも統計的に有意な変化をもたらさず、指定を受けた郡の73%は10年以上経っても不足地域のままだったとする研究もある——ただしこの研究の著者らは、これを測定そのものの欠陥というより制度設計・インセンティブ構造の不備によるものと解釈している35。対照的に、別の研究ではHPSA指定が全死亡率3%減・がん死亡率6%減・脳卒中死亡率13%減と関連していたと報告されており、米国内でも指定の効果についての結論は一致していない36。
そもそも、この判定基準自体をどう設計すべきかについても議論が続いている。米国のプライマリケアHPSA指定は社会的決定要因の脆弱性マーカーの分布とかなりの部分(9割超)で重なるものの、「医師数に基づく不足判定だけでは、医療的・経済的・地理的に脆弱な人口を十分特徴づけられない」と指摘されている37。判定方式そのものを見直す提案も出ているが、理論とデータの両面から新方式を検討した研究でも、現行制度で対象とされている地理的・低所得層人口の9割超は新方式でも引き続き対象に含まれるとされており、既存の判定の骨格自体はそう簡単には揺らがない38。
英国の事例は、的を絞った政策介入がGP供給の地理的偏在を実際に是正しうることを示す一例である。ある小地域別縦断分析では、GP供給の社会経済的な不平等度は研究期間中に縮小し、2013/14年度までには困窮地域の方が人口当たりGP数がやや多い状態になっていた39。もっとも別の分析では、より困窮度の高い地域ほどGPの配置数が少なく、この格差が時間とともに拡大していたとも報告されており、地域や測定期間によって結論が変わりうる点には注意が必要である40。
代替指標の模索——国内で実際に開発されている
こうした欠落を埋めようとする学術的な試みは、既に日本国内で進んでいる。人口密度・最寄りの二次三次救急病院までの直線距離・離島該当・特別豪雪地帯該当という4要素からなる「Rurality Index for Japan(RIJ)」は、公式の医師偏在指標との相関係数がr=−0.45にとどまり、医師偏在指標を含む既存の指標の多くが農村度を二値的にしか分類できず、都市と農村の間の連続的な勾配を捉えられていないと指摘している41。そして注目すべきことに、令和7年9月の厚労省検討会資料が地理的要素として挙げた項目は、このRIJの4要素とほぼ同じだった4。実際、大学側の広報は「厚生労働省の医師確保対策にも直線距離のmRIJが用いられている」と明記しており、大学発の学術指標が既に公式の医師確保政策の一部に組み込まれていることを示している42。
日本医師会総合政策研究機構(日医総研)によるGISを用いた分析も、公式指標が二次医療圏という粗い単位で集計されるために見落とす、圏域内部の格差を具体的に示している。秋田県内には、人口が存在するにもかかわらず道のり30km圏内にアクセス可能な三次救急病院が一つもない地域があると報告されており43、福岡県を対象にした別の分析では、診療所の後継者不在という悲観的なシナリオの下で、県内全域でプライマリケアへのアクセシビリティが崩壊しうると試算されている——現行の医師偏在指標では現時点で福岡県のほとんどが「医師少数区域」とは判定されないにもかかわらず、将来のリスクは既に相当程度存在するということである44。
より広い視野で見ると、この種の評価インフラそのものが日本ではまだ薄い。ドナベディアン・モデル(構造・過程・アウトカム)を枠組みに、英語・日本語両方のデータベースを検索して5,020件から15件に絞り込んだあるスコーピングレビューは、日本のプライマリケアにおける都市農村格差の「アウトカム」を評価した研究が1件も見つからなかったと報告している45。国際的なレビューでも、医療人材計画の手法には空間モデル・需給予測・スキルミックスに基づく計画など複数のアプローチがあるが、広く受け入れられた単一の手法はなく、医療従事者の実働能力(コンピテンシー)を統合した計画手法には明確な研究の空白があると結論づけられている46。日本独自のシステムダイナミクス・GISモデルによる予測研究も、施設調査に基づく「必要医師数」の推計が実際の住民ニーズを直接反映するものではないと注記している47。
改定は完了した——そして答えは「一つの指標を完璧にする」ではなかった
公開時の本文は「令和8年1〜3月に新指標を公表する予定」と書いていたが、既に公表されている※訂正。医師偏在指標は2020年1月に初版、2024年1月に第2版が公表され、令和8年4月に新版(都道府県別・二次医療圏別)が公表された。外来医師偏在指標・分娩取扱医師偏在指標も同月、小児科医師偏在指標は令和8年7月版が出ている。そして令和8年6月30日、「医師確保計画策定ガイドライン〜第8次(後期)〜」が発出された。
そして、地理的要素をどう入れたかが重要である※訂正。医師偏在指標そのものを地理アクセス指数へ改造したのではない。厚生労働省の説明はこうである48。
次期医師確保計画(R9年度〜)における医師少数区域等の設定にあたっては、現行の医師偏在指標のみでなく、へき地尺度(RIJ)についても組み合わせることで、地理的要素を一定程度反映したうえで医師少数区域を設定することとする。 具体的には、①現行の医師偏在指標による下位1/3に該当する区域に加えて、②現行の医師偏在指標による中位1/3の区域のうち、「へき地尺度(RIJ)が特に高い区域」を追加し、新たな「医師少数区域」とすることとする。……例えばへき地尺度が上位10%の区域として設定する
同じ資料が、課題もそのまま書いている。
医師偏在指標のみを用いた場合には、山間部にへき地を多く抱えていたり、医療機関のアクセスに時間を要するといった地理的要素が反映されていないことが課題である
行政が選んだ答えは、一つの指標を万能にすることではなかった。医師偏在指標は医師供給の相対差を測るものとして残し、そこに別の構成概念を測る指標を重ねる、という設計である。既に決定済みの改定内容として、複数医療機関に勤務する医師について主たる勤務先0.8・従たる勤務先0.2という按分でカウントする方式への変更と、病院・診療所別の内訳を都道府県への参考情報として提供することが挙げられている49。
この指標改定は、2025年12月5日に成立した医療法等改正とは別の、並行した行政プロセスである点に注意が必要だ。この法改正は医師偏在是正に向けた総合的な対策を含むが、法律の条文自体は医師偏在指標の算出式を変更するものではなく、都道府県知事による「重点的に医師を確保すべき区域」の指定制度の創設や、外来医師過多区域における無床診療所の新規開設に関する事前届出制の強化など、指標の出力を活用する下流の制度を新設・強化するものである50。指標そのものの改定と、指標を使った政策の強化は、たまたま同じ時期に動いている、別々の取り組みなのである。
私見・考察
医師偏在指標が地理的要因・診療科構成・実働能力・遠隔医療という複数の次元を十分に捉えられていないという指摘は、外部の研究者からの批判にとどまらない。厚労省自身の検討会資料が、ほぼ同じ限界を率直に記録していた。この点で、このシリーズがこれまで検証してきた他の指標——対GDP比や病院の赤字率——とは異なる構図がある。単に「単独の指標では語れない」という発見だけでなく、その指標を運用する当事者自身が既に限界を認め、改定作業に着手しているという点である。
とりわけ印象的だったのは、Rurality Index for Japan(RIJ)という、大学の研究者が独立に開発・検証した学術指標が、行政の制度に取り込まれたことだった。ただし「ほぼそのままの形で採用された」というのは正確でない※訂正。2023年のRIJを基礎に、令和7年度の厚生労働科学研究班がより精緻な修正版(mRIJ)を検討し、それが令和8年4月に行政上の補完指標として公表された、という経路である。これは、前回・前々回の記事で検証してきた「開示義務はあるのに集計されない」という空白とは対照的な事例だと思う。ここでは、外部で真面目に検証された指標が、実際に行政の意思決定に取り込まれるという、望ましい経路が機能しているように見える。
それでも、改定作業の射程には限界がある。診療科構成・総合診療医の不在という論点は、指標そのものの改定ではなく、別の政策トラック(診療科偏在対策)として扱われている。調べてみると、この切り分けは想像していたより徹底していた。産科・小児科には分娩件数・年少人口という代理指標に基づく専用の偏在指標があり、新設の「重点区域」制度もこの2診療科の偏在は(全体指標を経由する形でだが)視野に入れられる※訂正。しかし総合診療には、この種の量的な扱いが一切ない——専攻医シーリングでさえ、総合診療科は「今後の役割についてさらなる議論が必要」という理由で対象外に置かれている。厚労省の言い分にも一理はある。産科・小児科と違って、総合診療が診る範囲は診療科横断的すぎて、同じ方法で定量化しにくいというのは、おそらく事実である。しかしそれは「測らなくてよい」ことの理由にはならない。総合診療医が地域に十分にいれば、同じ医療アクセスを、地域で提供できる機能は異なりうる※訂正。ただし、一人の総合診療医が複数の専門医分を代替でき、必要な総医師数を減らせることを示した研究は無い。現行の指標が表現していないのは、この守備範囲(scope of practice)の違いである——だとすれば、総医師数の頭数を基準にする現行の指標の設計思想そのものが、総合診療医の価値を測る仕組みを最初から持っていないことになる。オーストラリアのDPA制度のように、GPそのものを対象にした需給管理の仕組みを持つ国が既にあることを踏まえると、「定量化が難しい」は「定量化を諦める」理由として十分ではないと思う。遠隔医療についても、指標を補う政策手段としては語られても、指標が測るべき対象としては扱われていない。そして厚労省自身が認めているように、医師の年齢構成——今は「医師多数」に見える地域が、10年後の退職の波でどう変わるか——は、依然として指標に組み込まれていない。
このシリーズが繰り返し確認してきた「単独の指標は生き残らない」というパターンは、ここでも成り立っている。ただし今回の検証で分かったのは、その限界を埋める作業が、外部の学術研究と行政の検討会という2つの経路が実際に交わる形で、現在進行形で進んでいるという、いくぶん前向きな事実でもあった。総合診療医としてのキャリアを目指す立場から見れば、この非対称性は看過できない。第3回の記事で「総合診療医も専門医の一つであり、専門医数ではなくシステムの一貫性こそが問われるべき軸だ」という論点を扱ったが、今回分かったのは、その一貫性を支える基盤——地域ごとに総合診療医が何人必要かを見積もる仕組み——が、日本にはまだ存在しないという、より具体的な事実だった。この指標改定が今後、総合診療医の存在をどう位置づけていくのか——別の政策トラックのままなのか、産科・小児科のように指標そのものに組み込まれるのか——は、引き続き注視する価値のある論点だと思う。
この検証を通じて、あらためて感じたことがある。RIJがそうだったように、学会という批判に晒され、査読という淘汰を経て磨かれた学術研究は、行政の検討会だけでは埋まらない空白を埋める、現実的な突破口になりうるということだ。ただし、それが機能するには前提条件がある。今回の総合診療の空白がまさにそうだったように、計算の土台になるデータが整備・公開されていなければ、研究者は理論を検証するどころか問題の輪郭を描くことすらできない。このシリーズが繰り返し突き当たってきた「データはあるはずなのに集計されていない」という壁(前々回・前回の記事で扱った、施設単位のアウトカム指標やMS法人の関係事業者情報の空白)は、単に行政の透明性の問題であるだけでなく、学術研究がその問題に取り組むための入り口そのものを塞いでいる問題でもあるのだと、この記事を書いて初めて実感した。
そしてもう一つ、オーストラリアのDPA制度を調べて痛感したのは、この種の突破口が必ずしも国内だけにあるとは限らないということだ。総合診療の地理的配分という、日本国内ではまだ答えが出ていない問題に対して、海外にはすでに実装されている制度がある。国内の議論だけに閉じていては、こうした知見に出会う機会そのものを逃してしまう。このシリーズが一貫して国際文献と日本語文献の両方を検証してきたのは、単に網羅性のためだけではなく、コミュニティの外側で本気で同じ問題に取り組んでいる人たちの知見を取りこぼさないためだったのだと、あらためて思う。
最後に、この記事の答えを書き直しておく※訂正。
公開時は「医師偏在指標は地理・診療科・実働能力・遠隔医療を見落としている」という形で書いた。だが厚生労働省自身が、この指標を「絶対的な医師の充足状況ではなく、相対的な偏在状況を表す指標」と定義している。医療アクセスの総合指数として作られたものではない。
だから、より正確な形はこうである。
医師偏在指標の限界は、設計が粗雑だからではなかった。むしろ逆で、年齢・性別・受療率・患者の流出入・労働時間まで補正してもなお、医療アクセスという現象を一つの数値には畳み込めない、ということだった。
そして2026年の答えも、さらに複雑な一つの指標を作ることではなかった。医師偏在指標は医師供給の相対差を測るものとして残し、そこにへき地尺度を重ね、産科・小児科には専用の指標を置き、オンライン診療と総合診療は別の政策手段として扱う。
制度自身が、「単独の指標では足りない」という結論に到達したのである。
訂正 CORRECTIONS
公開後に直したこと。本文は直したうえで、何をどう変えたかをここに残している。本文中の※ が、直した箇所を指す。
- 訂正「厚労省が2019年に法定化」を訂正した。2026-09-01 · houteika-2018「厚労省が2019年に法定化」を訂正した。根拠法である医療法及び医師法の一部を改正する法律は2018年7月に成立・公布され、2019年3月に医師確保計画策定ガイドラインが出て、2020年1月に最初の医師偏在指標が公表された
- 訂正「指標の医師数は頭数であり」という記述を訂正した。2026-09-01 · atamakazu「指標の医師数は頭数であり」という記述を訂正した。標準化医師数は性年齢階級別の平均労働時間比で補正されており、令和8年版では複数医療機関勤務を主たる勤務先0.8・従たる勤務先0.2として配分する方法も採られている。測っていないのは、一人の医師が実際に何人をどの範囲まで診療できるかという診療能力と守備範囲のほうである。指標noteの『潜在的受療率も年齢構成も地理も入っていない』も、患者側・医師側とも現在の年齢構成は反映済みであるため書き直した
- 訂正遠隔医療を「指標が全く扱っていない次元」として欠落のように書いていたのを訂正した。2026-09-01 · enkaku遠隔医療を「指標が全く扱っていない次元」として欠落のように書いていたのを訂正した。令和8年の厚生労働省の整理では、mRIJによって新たに医師少数区域となる地域について、オンライン診療を組み合わせた診療機能の補完に取り組む方針が明記されている。指標へ換算するのではなく、指標で不足と判定した後の政策手段として扱う設計である
- 訂正「総合診療医が地域に十分にいれば、同じ医療アクセスをより少ない総医師数で実現できるかもしれない」という記述を弱めた。2026-09-01 · generalist「総合診療医が地域に十分にいれば、同じ医療アクセスをより少ない総医師数で実現できるかもしれない」という記述を弱めた。一人の総合診療医が複数の専門医分を代替でき必要総医師数を減らせることを示した研究は無い。現行指標が表現していないのは守備範囲の違いである
- 訂正重点区域制度について「全体指標を経由する形でだが産科・小児科の偏在も一応視野に入れられる」という記述を削除した。2026-09-01 · jyuten重点区域制度について「全体指標を経由する形でだが産科・小児科の偏在も一応視野に入れられる」という記述を削除した。総医師数の医師偏在指標が低いことは、小児科や産科が不足していることを測ったことにはならない
- 訂正結論を書き直した。2026-09-01 · ketsuron結論を書き直した。厚生労働省自身が医師偏在指標を『絶対的な医師の充足状況ではなく、相対的な偏在状況を表す指標』と定義しており、医療アクセスの総合指数として作られたものではない。限界は設計の粗雑さではなく、補正を重ねてもなお医療アクセスを一つの数値に畳み込めないことであり、2026年の行政の答えも複数指標の併用だった、という形に組み替えた
- 訂正「令和8年1〜3月に新指標を公表する予定」という記述を訂正した。2026-09-01 · kouhyou-zumi「令和8年1〜3月に新指標を公表する予定」という記述を訂正した。令和8年4月に医師偏在指標(都道府県別・二次医療圏別)とへき地尺度(mRIJ)関連データが公表され、外来医師偏在指標・分娩取扱医師偏在指標も同月、小児科医師偏在指標は令和8年7月版が出ている。令和8年6月30日には医師確保計画策定ガイドライン〜第8次(後期)〜が発出された
- 訂正地理的要素が医師偏在指標そのものに組み込まれたかのように書いていたのを訂正した。2026-09-01 · mrij-heiyou地理的要素が医師偏在指標そのものに組み込まれたかのように書いていたのを訂正した。厚生労働省の資料は「現行の医師偏在指標のみでなく、へき地尺度(RIJ)についても組み合わせる」とし、医師偏在指標の下位1/3に加えて、中位1/3のうちへき地尺度が上位10%の区域を新たに医師少数区域とする方式を示している。指標そのものを地理アクセス指数へ改造したのではなく、別の構成概念を測る指標を併用する設計である
- 訂正RIJが「ほぼそのままの形で採用されつつあった」という記述を訂正した。2026-09-01 · mrij-keiiRIJが「ほぼそのままの形で採用されつつあった」という記述を訂正した。2023年のRIJを基礎に、令和7年度の厚生労働科学研究班がより精緻な修正版(mRIJ)を検討し、令和8年4月に行政上の補完指標として公表されたという経路である
- 訂正専攻医シーリングについて「総合診療だけが対象外」「他の12診療科」と書いていたのを訂正した。2026-09-01 · shiiringu専攻医シーリングについて「総合診療だけが対象外」「他の12診療科」と書いていたのを訂正した。対象外は外科・産婦人科・病理・臨床検査・救急・総合診療の6診療科で、対象は残る13診療科である。総合診療と救急は同じ脚注で『今後の役割についてさらなる議論が必要』として除外されている
- 追記産科・小児科にはそれぞれ分娩取扱医師偏在指標・小児科医師偏在指標という独立した指標があり、診療科偏在は総医師偏在とは別のトラックで扱われていることを明記した。2026-09-01 · shinryouka-track産科・小児科にはそれぞれ分娩取扱医師偏在指標・小児科医師偏在指標という独立した指標があり、診療科偏在は総医師偏在とは別のトラックで扱われていることを明記した
出典 SOURCES
- 1医師確保計画の見直し等に関する参考資料(第12回地域医療構想及び医療計画等に関する検討会 資料2-2)厚生労働省 · 2026 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 医師偏在指標の正式な算出式を掲載している。標準化医師数を、地域の人口を10万人単位に換算した数値と地域の標準化受療率比で割って算出し、標準化医師数は性年齢階級別医師数に性年齢階級別平均労働時間比を乗じて求める。標準化受療率比は、流出入(患者の受診行動における地域をまたいだ移動)を反映した性年齢階級別調整受療率をもとに算出される
- 2医師偏在指標について(第1回地域医療構想及び医療計画等に関する検討会 資料1、令和7年7月24日)厚生労働省 · 2025 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 「医師偏在指標は…その計算式には医療機関へのアクセス等の結果である流出入調整係数を含んでいるものの、地理的要素を十分に反映できていないという意見が多い」と、厚労省自身の検討会資料が明記している。委員からは、地域ごとの受療行動の違いが反映されていないこと、労働時間比係数(特に研修医比率・男女比)が実情より古いのではないかという指摘、医師の年齢構成(10年後の高齢化見通し)が反映されておらず、現在「医師多数区域」に分類される地域が退職の波で急速に「医師少数区域」へ転じうる可能性も指摘されている
- 3要医師数の推計方法および医師偏在指標の問題点に関する考察医療福祉政策研究 第3巻第1号(佐藤英仁、東北福祉大学) · 2020 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 医師偏在指標には「医師の性年齢と地域の受療率の違いしか考慮されていない」と批判し、本来医療が必要にもかかわらず地理的な理由等で受診できていない「潜在的な受療率」が考慮されていない点、そして指標が現在の医師の平均労働時間をそのまま計算の基準にしている点(既に過労死水準に近いとされる労働時間を「正常な供給能力」として扱ってしまう)を問題点として挙げている
- 4医師偏在対策のベースとなる医師偏在指標を改善、診療科特性踏まえた「医師の診療科偏在対策」を検討——地域医療構想・医療計画検討会GemMed(第4回地域医療構想及び医療計画等に関する検討会の報道、令和7年9月11日開催) · 2025 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 厚労省が示した「直近の二次救急病院までの直線距離」を地理的要素として指標に組み込む改善案に対し、委員から「直線距離だけでなく、交通事情・アクセス時間などを勘案すべき」という指摘があったと報じている。また、指標に用いる医師の労働時間比が2022年調査に基づき「20代・30代の若手医師を中心に労働時間が短縮」していることを踏まえ、最新の調査結果を反映する方針も示されたと報じている。総合診療医・外科医など診療科特性を踏まえた偏在対策は、指標そのものの改定とは別の政策トラックとして検討されている
- 5The geographic distribution of physicians revisitedHealth Services Research, 40(6 Pt 1):1931-1952 · 2005 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 郡単位の医師人口比は、住民が郡境を越えて受診する現実(患者の受診行動の実証研究で裏づけられている)を無視しており、医師と患者の距離を考慮した推計では、都市・農村を問わず同じカテゴリー内でも実際の医師までの距離にばらつきがあることを示している
- 6Accessibility to primary health care in Belgium: an evaluation of policies awarding financial assistance in shortage areasBMC Family Practice, 14:122 · 2013 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: ベルギーの公式な医師人口比(PPR)方式は大きな医師ゾーンを単位とするため地域内のばらつきを覆い隠す「粗い」代理指標にとどまり、より精緻な空間的手法(E2SFCA)の方が政策的な不足地域判定に適していると評価している
- 7Assessment of the spatial accessibility to health professionals at French census block levelInternational Journal for Equity in Health, 15 · 2016 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: フランスの医師人口比(PPR)方式は「あるかないか」の二値的なパターンを示し、より滑らかなアクセスの勾配を表現できないと指摘し、より精緻な空間的アクセス指数(ISA)を提案している
- 8Assessing spatial and nonspatial factors for healthcare access: towards an integrated approach to defining health professional shortage areasHealth & Place, 11(2):131-146 · 2005 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 医療アクセスの空間的要因と非空間的要因は従来別々に検討されてきたと指摘し、両者を統合した不足地域の定義手法を提案している
- 9Using a GIS-based floating catchment method to assess areas with shortage of physiciansHealth & Place, 10(1):1-11 · 2004 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 行政界に基づく単純な医師不足地域の判定に代わる、GISを用いた浮動的商圏(floating catchment)手法を提案している
- 10Effect and significance of incorporating access in estimating the number of required physicians: focus on differences in population density in the target areaInternational Journal of Health Geographics, 20 · 2021 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 従来の人口比方式による必要医師数の推計(38,685人)に対し、アクセスを組み込んだ推計方式では46,378人と、全国で約7,700人多く見積もられ、この差は人口密度の低い地域ほど大きい——単純な人口当たり医師数に基づく方式は、疎住地域の必要医師数を系統的に過小評価している
- 11Urbanization and physician maldistribution: a longitudinal study in JapanBMC Health Services Research, 11:260 · 2011 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 1998〜2008年の日本の医師偏在を追跡した縦断研究で、医師数が全体として増加したにもかかわらず地域間の不均等は解消されておらず、農村部で見かけ上「改善」しているように見える数値の一部は、人口減少という分母側の変化によるものであったことを示している
- 12Incorporating Medical Supply and Demand into the Index of Physician Maldistribution Improves the Sensitivity to Healthcare OutcomesJournal of Clinical Medicine, 11(1):155 · 2022 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 日本の医師偏在指標(PUDI)は単純な人口当たり医師数より脳血管疾患死亡率との関連が強いことを確認する一方、診療科別の需給を反映しておらず、産科・小児科などの診療科別目標を、実際の人的資源や実践範囲を評価しないまま設定しても効果は限定的であり、地域間の著しい医療アクセス格差も十分に捉えられていないと指摘している
- 13Assessing the Association of Physician and Specialist Maldistribution with Out-of-hospital Cardiac Arrest Outcomes: Implications for Regulatory PolicyJMA Journal, 8(2):506-516 · 2025 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 地域全体の医師分布は院外心停止のアウトカムと関連していた一方、専門医(specialist)に限った地域間の偏在指標はアウトカムと有意な関連を示さなかった——総医師数の偏在と専門医の偏在とでは、意味合いが異なりうることを示している
- 14The geographical maldistribution of obstetricians and gynecologists in JapanPLoS ONE, 16 · 2021 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 日本の産婦人科医の地理的偏在を示すジニ係数は2002〜2006年は横ばいだったが2008年以降上昇に転じ、2016年以降は0.4を超える水準で推移しており、偏在が悪化し続けていると報告している
- 15The shortage of pediatrician workforce in rural areas of JapanThe Tohoku Journal of Experimental Medicine, 217(4):299-305 · 2009 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 農村部の小児科医の地理的偏在を示すジニ係数は1996年0.723、2004年0.703と、都市部(0.337、0.321)のおよそ2倍の水準にあり、非小児科医が農村部の小児医療を実質的に支えている実態を報告している
- 16Geographic distribution of family physicians in Japan and the USA: a cross-sectional comparative studyRural and Remote Health, 22(2):7163 · 2022 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 日本の家庭医(総合診療医)は最も人口密度の低い地域に偏って分布している一方、内科・小児科・外科・産婦人科などの専門医は日米いずれでも人口密度の高い地域に偏っており、米国では家庭医がより均等に分布している。日本の家庭医比率を米国並みに引き上げるシミュレーションでは、全体の医師偏在が大きく改善する
- 17Geographical distribution of family physicians in Japan: a nationwide cross-sectional studyBMC Family Practice, 20:147 · 2019 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 日本の家庭医は他のどの専門医よりも農村部に有利な分布を示しており、家庭医・総合診療専門医を国の政策で増やすことが、都市偏重の医師分布を是正しうると結論づけている
- 18Distribution of Physician Specialties by RuralityThe Journal of Rural Health, 37(4):714-722 · 2021 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 米国において家庭医(family medicine)は農村度の連続的な尺度の中で最も均等に分布している診療科であり、循環器・精神科・産婦人科などは農村部で著しく利用可能性が低いと報告し、家庭医の診療範囲を維持することの重要性を提言している
- 19医師偏在指標について(厚生労働省ガイドライン再掲、奈良県医師確保計画 令和7年度改定版 pp.368-370)奈良県(厚生労働省ガイドライン原典を再掲) · 2025 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 産科(分娩取扱)医師偏在指標=標準化分娩取扱医師数÷分娩件数(1000件あたり)、小児科医師偏在指標=標準化小児科医師数÷(年少人口/10万×地域の標準化受療率比)という、厚労省ガイドラインに基づく2つの診療科別医師偏在指標の算出式を掲載している
- 20医師偏在対策について(第4回地域医療構想及び医療計画等に関する検討会 資料1、令和7年9月11日)厚生労働省 · 2025 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 診療科偏在対策を3つの視点に分類し、総合診療に従事する医師を視点1(地域でのニーズがある一方、担い手の確保の観点での対策が必要な診療科)に、小児科・産婦人科を視点2(医療計画に基づき地域の医療提供体制を維持する観点での対策が必要な診療科・領域、指標を伴う)に位置づけている。あわせて重点医師偏在対策支援区域(仮称)を、人口規模・地理的条件・今後の人口動態等から医療機関の維持が困難な地域として定義しており、こちらには診療科による絞り込みが組み込まれていない
- 21「重点的に医師を確保すべき区域」の候補、都道府県ごとに医師偏在指標が最も低い二次医療圏など約100区域を想定——地域医療構想・医療計画検討会GemMed · 2025 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 「重点的に医師を確保すべき区域」の候補選定について、各都道府県で医師偏在指標(全体)が最も低い二次医療圏など約100区域が想定されていると報じている
- 22Building primary care in Japan: Literature reviewJournal of General and Family Medicine, 20(5):170-179 · 2019 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: プライマリケアと二次医療の境界が不明確なため日本のプライマリケア人材を評価することが困難であること、そして日本の医療制度には英国のような患者登録制度がなく患者が自由に医師・医療機関を選択・変更できるため、提供者側が継続性を維持することも難しいことを指摘している
- 23総合診療が地域医療における専門医や多職種連携等に与える効果についての研究(厚生労働科学研究費補助金研究報告書)厚生労働科学研究費補助金(研究代表者:前野哲博、筑波大学) · 2020 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 専門医型の外来診療を「1傷病1診療」、総合診療医型の外来診療を「1患者1診療」の構造として対比し、高齢化に伴う併存疾患数の増加を踏まえると、総合診療の需要推計は疾患別ではなく患者の複雑性(併存傷病数・要介護認定等)に基づいて行う必要があると論じている
- 24専攻医シーリング(令和7年度第5回医道審議会医師分科会医師専門研修部会 資料1-1、日本専門医機構資料)厚生労働省・日本専門医機構 · 2026 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 専攻医シーリング(都道府県・診療科別定員)の対象外6診療科として外科・産婦人科・病理・臨床検査・救急・総合診療科を挙げ、総合診療科を対象外とする理由を「今後の役割についてさらなる議論が必要とされている等の理由」としている
- 25Distribution Priority AreaAustralian Government Department of Health, Disability and Ageing · 2026 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: Distribution Priority Area(DPA)制度はModified Monash Model(地理的僻地度分類)に基づき、各GP診療圏の実際のメディケア請求診療量を人口動態・社会経済指標(SEIFA)で調整したベンチマークと比較し、これを下回る区域をDPAに指定する、GP(総合診療医)に特化した地理的需給管理の仕組みであると説明している
- 26Including Nurse Practitioners in the Calculation of Primary Care Health Professional Shortage AreasMedical Care Research and Review · 2026 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 米国のHealth Professional Shortage Area(HPSA)算定にナースプラクティショナーを含めると、保守的な仮定の下でもHPSA指定郡の数が約8割減少する——医師のみに基づく指標は、実際に利用可能なプライマリケアの供給力を大きく過小評価しうることを示している
- 27Measuring Primary Care Capacity: Unique Patients Seen per Year and Implications for Workforce ShortagesThe Journal of the American Board of Family Medicine, 38:1101-1112 · 2025 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 医師一人当たりの実際の年間診療患者数に基づいてプライマリケアの供給力を測定したところ、2021年のバージニア州では28.8%の不足(2016年の17.7%から悪化)と推計され、従来の頭数・常勤換算に基づく推計よりも深刻な不足を示した
- 28Scale, scope and impact of skill mix change in primary care in England: a mixed-methods studyHealth and Social Care Delivery Research · 2022 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: GP以外の職種(看護師・薬剤師等)の拡大はGPの単純な代替にはならず、GPの常勤換算数が多いほど患者満足度が高い一方、スキルミックス変化と病院利用との関連は一貫しない結果だったと報告している
- 29Skill-mix change and outcomes in primary care: Longitudinal analysis of general practices in England 2015-2019Social Science & Medicine, 308:115224 · 2022 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 2015〜2019年の英国の一般診療所6,296施設の縦断分析で、職種構成の変化とアウトカムの間に明確な補完・代替関係はほとんど見られず、新しい職種の導入が質や患者満足度に単純な効果を持つわけではなかったと報告している
- 30Demonstrating a new approach to planning and monitoring rural medical training distribution to meet population need in North West QueenslandBMC Health Services Research, 18 · 2018 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 研修医の配置についても、地域アクセス指標・医療従事者不足地域区分・農村度・社会経済指標・人口規模などを組み合わせて、地域の必要度に応じて計画・監視する新しい手法を提示している——医師の配置だけでなく研修枠の配分そのものも、局所的な需要に応じて評価すべきだという含意を持つ
- 31Telehealth for primary healthcare delivery in rural and remote contexts in high-income countries—a scoping reviewmHealth, 11:34 · 2025 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 高所得国の農村・遠隔地における遠隔医療は、既存の患者・医師関係を前提としたフォローアップや専門医不在時の代替として有用な補完的手段にとどまり、身体診察や関係構築、地域の文脈理解という点では限界があると整理している
- 32The Limitations of Poor Broadband Internet Access for Telemedicine Use in Rural America: An Observational StudyAnnals of Internal Medicine, 171:382-384 · 2019 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 米国農村部のブロードバンド普及率の低さが、遠隔医療を対面診療の代替手段として機能させる上での制約になっていることを、観察研究で示している
- 33Digital divide and health professional shortages: telehealth access for chronic disease management in rural FloridaInternational Journal of Medical Informatics, 204:106054(Shang D, Williams C, Joshi A, Baynard C) · 2025 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: デジタルディバイド(ブロードバンド普及率の低さ)と医療従事者不足は、それぞれ独立に郡レベルの健康アウトカム悪化と関連しており、デジタルディバイドは非都市部の郡でより深刻である——医師不足地域ほど遠隔医療の前提となるデジタル基盤も欠けている可能性を示唆する
- 34Health Professional Shortage Areas and Physician Location DecisionsSSRN Electronic Journal(後にAmerican Journal of Health Economics掲載) · 2020 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: メディケアデータを用いたマッチング差分の差分分析で、HPSA指定は上位医学部出身者を中心とした若手プライマリケア医の流入を23%増加させたが、キャリア後期の医師の異動には効果が見られなかったと報告している
- 35After 50 Years, Health Professional Shortage Areas Had No Significant Impact On Mortality Or Physician DensityHealth Affairs, 42(11):1507-1516 · 2023 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 1970〜2018年の約50年間で、HPSA指定は死亡率・医師密度のいずれにも統計的に有意な変化をもたらさなかったと報告している。HPSA指定を受けた郡の73%は10年以上経っても不足地域のままであり、著者らはこれを制度設計・インセンティブ構造の不備によるものと解釈している(測定そのものの欠陥とは必ずしも結論づけていない)
- 36The impacts of shortage area designations on mortalityContemporary Economic Policy, 44(1):90-104 · 2026 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 傾向スコアマッチングを用いた分析で、HPSA指定は全死亡率の3%減少、がん死亡率の6%減少、脳卒中死亡率の13%減少と関連しており、不足地域の指定という政策手段自体には実際の健康アウトカム改善効果があったと報告している
- 37The geographic alignment of primary care Health Professional Shortage Areas with markers for social determinants of healthPLoS ONE, 15 · 2020 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 米国のプライマリケアHPSA指定は社会的決定要因の脆弱性マーカーの分布とかなりの部分(9割超)で重なるが、「医師数に基づく不足判定だけでは、医療的・経済的・地理的に脆弱な人口を十分特徴づけられない」とし、HPSA単独では捉えきれない多因子的な脆弱性があると論じている
- 38Designating Places and Populations as Medically Underserved: A Proposal for a New ApproachJournal of Health Care for the Poor and Underserved, 18:567-589 · 2007 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 理論とデータの両面から既存のHPSA・MUA判定制度に代わる新しい提案を行っている。ただし提案する新方式でも、現行制度で対象とされている地理的・低所得層人口の9割超は引き続き対象に含まれるとしており、既存の判定を全面的に否定するものではなく改良の提案である
- 39Unequal socioeconomic distribution of the primary care workforce: whole-population small area longitudinal studyBMJ Open, 6 · 2016 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 英国の小地域別縦断分析で、GP供給の社会経済的な不平等度(Slope Index of Inequality)は研究期間中に縮小し、2013/14年度までには困窮地域の方が人口当たりGP数がやや多い状態になっていたと報告している——的を絞った政策的介入によって、供給の地理的偏在は是正されうることを示す一例
- 40Inequalities in the distribution of the general practice workforce in England: a practice-level longitudinal analysisBJGP Open, 5 · 2021 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 診療所単位の縦断分析で、より困窮度の高い地域ほどGPの配置数が少なく、この格差は時間とともに拡大していたと報告している
- 41Development and validation of a rurality index for healthcare research in Japan: a modified Delphi studyBMJ Open, 13(6):e068800(金子惇ほか) · 2023 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 人口密度・最寄りの二次三次救急病院までの直線距離・離島該当・特別豪雪地帯該当という4要素からなる、日本の医療研究向けの「Rurality Index for Japan(RIJ)」を開発・検証した論文。公式の医師偏在指標との相関係数はr=−0.45にとどまり、医師偏在指標を含む既存の指標の多くが農村度を二値的にしか分類できず、都市と農村の間の連続的な勾配を捉えられていないと指摘している
- 42Rurality Index for Japan(RIJ)の改良版を開発——厚労省の医師確保対策にも活用横浜市立大学(研究成果に関する広報、2026年6月5日) · 2026 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 「厚生労働省の医師確保対策にも直線距離のmRIJが用いられている」と明記し、大学発の学術指標が既に公式の医師確保政策の一部に組み込まれていることを示している
- 43地理情報システム(GIS)による医療アクセスの分析: 秋田県のケーススタディ日本医師会総合政策研究機構 ワーキングペーパーNo.441(森宏一郎・坂口一樹) · 2020 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 秋田県内には、人口が存在するにもかかわらず道のり30km圏内にアクセス可能な三次救急病院が一つもない地域があると指摘しており、二次医療圏単位で集計される公式の医師偏在指標では捉えられない、圏域内部の細かなアクセス格差を具体的に示している
- 44地理情報システム(GIS)による医療アクセシビリティ分析:福岡県における承継シミュレーション日本医師会総合政策研究機構 ワーキングペーパーNo.491(坂口一樹・清水麻生・森宏一郎) · 2025 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 診療所の後継者不在という悲観的なシナリオの下では、福岡県内全域でプライマリケアへのアクセシビリティが崩壊しうると試算しており、現行の医師偏在指標では現時点で福岡県のほとんどが「医師少数区域」とは判定されないにもかかわらず、将来のリスクは既に相当程度存在することを示している
- 45Rural and urban disparities in access and quality of healthcare in the Japanese healthcare system: a scoping reviewBMC Health Services Research, 25 · 2025 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: ドナベディアン・モデル(構造・過程・アウトカム)を枠組みに、英語・日本語両方のデータベースを検索して5,020件から15件に絞り込んだスコーピングレビュー。日本のプライマリケアにおける都市農村格差の「アウトカム」を評価した研究は1件も見つからず、農村度の定義自体も研究間で一貫していないという、評価インフラの欠如を報告している
- 46Health workforce planning methods in rural and remote primary care: a scoping reviewHuman Resources for Health, 24 · 2026 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 2005〜2025年の農村・遠隔地プライマリケアにおける医療人材計画手法に関するスコーピングレビュー(26論文、10カ国)。空間・キャッチメントモデル、需給予測、スキルミックス・コンピテンシーに基づく計画など5つのアプローチを整理した上で、広く受け入れられた単一の手法はなく、医療従事者のコンピテンシー(実働能力)を統合した計画手法には明確な研究の空白があると結論づけている
- 47Forecasting the regional distribution and sufficiency of physicians in Japan with a coupled system dynamics—geographic information system modelHuman Resources for Health, 15 · 2017 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: システムダイナミクスとGISを組み合わせたモデルで地域別の医師分布・充足度を予測しており、施設調査に基づく「必要医師数」の推計は、実際の住民ニーズを直接反映するものではないと指摘している
- 48へき地尺度(mRIJ)について厚生労働省医政局地域医療計画課 · 2026 · accessed 2026-09-01裏付けた主張: 全2頁、令和8年4月公表。「次期医師確保計画(R9年度〜)における医師少数区域等の設定にあたっては、現行の医師偏在指標のみでなく、へき地尺度(RIJ)についても組み合わせることで、地理的要素を一定程度反映したうえで医師少数区域を設定することとする」「具体的には、①現行の医師偏在指標による下位1/3に該当する区域に加えて、②現行の医師偏在指標による中位1/3の区域のうち、『へき地尺度(RIJ)が特に高い区域』を追加し、新たな『医師少数区域』とすることとする」「へき地尺度が特に高い区域については、例えばへき地尺度が上位10%の区域として設定することとする」と記す。課題として「医師偏在指標のみを用いた場合には、山間部にへき地を多く抱えていたり、医療機関のアクセスに時間を要するといった地理的要素が反映されていないことが課題である」と明記。RIJは①人口密度、②最寄りの二次・三次救急病院までの直線距離、③離島、④特別豪雪地帯を項目とし2023年に報告されたもので、令和7年度の厚生労働科学研究班がより精緻な修正版(mRIJ)を検討した。厚生労働省は令和8年4月に医師偏在指標(都道府県別・二次医療圏別)とへき地尺度(mRIJ)関連データを同時に公表し、令和8年6月30日には「医師確保計画策定ガイドライン〜第8次(後期)〜」を発出している
- 49医師確保計画の見直しについて(第7回地域医療構想及び医療計画等に関する検討会 資料1、令和7年11月14日)厚生労働省 · 2025 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 医師偏在指標は2020年1月に初版、2024年1月に第2版が公表され、令和7年7月から11月にかけての検討会で改定作業が進められ、令和8年1〜3月に新指標を公表する予定であることを示している。既に決定済みの改定内容として、複数医療機関に勤務する医師について主たる勤務先0.8・従たる勤務先0.2という按分でカウントする方式への変更と、病院・診療所別の内訳を都道府県への参考情報として提供することが挙げられている
- 50良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案について(社会保障審議会医療部会 資料4、令和7年12月8日)厚生労働省 · 2025 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 医師偏在是正に向けた総合的な対策を含む医療法等改正は2025年12月5日に参議院本会議で成立した。ただし法律の条文自体は医師偏在指標の算出式を変更するものではなく、都道府県知事による「重点的に医師を確保すべき区域」の指定制度の創設、外来医師過多区域における無床診療所の新規開設に関する事前届出制の強化など、指標の出力を活用する下流の制度を新設・強化するものである。施行期日は基本が令和9年4月1日で、一部の規定は令和8年4月1日・同年10月1日に前倒しされる
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