測る道具の点検02 アクセスと提供体制/JAPANEUROPEOTHER
その地区が消えたのは、医者が来たからか、人がいなくなったからか
無医地区の数は昭和59年から一度も増えず、令和7年に初めて増えた。だが数の増減より、増減の理由のほうが重要だった。厚労省が令和元年度から公表している内訳表を開くと、無医地区と準無医地区を合わせて減った109地区のうち「医療機関ができた」は2地区、「人口が50人未満になった」は35地区、そして理由の書かれていない「その他」が36地区である。医療が届いたことと、住民が50人を割ったことが、同じ「地区数の減少」として集計されている。しかもこの内訳は合算でしか公表されておらず、無医地区単独の増減理由は、国が地区名つきで持っているのに公表されていない。4kmと50人という線の来歴は、国の研究班自身が「未見である」と書いている。
ダイジェスト解説 VIDEO
無医地区の数は、昭和59年から令和4年まで、一度も増えなかった。1,276(昭和59年)、997(平成6年)、787(平成16年)、637(平成26年)、557(令和4年)1。
令和8年7月に公表された最新の調査で、この数字が575に増えた2。前回比18地区増。人口は122,206人から134,753人へ、12,547人増えている。
公表されている系列の中で、地区数としては初めての反転である。
ただし人口のほうは、初めてではない※訂正。無医地区人口は平成26年124,122人から令和元年126,851人へ、一度増えている1。反転しているのは地区数のほうである。——ニュースとしては、これが見出しになる。
だが本稿が見たいのは、そこではない。数が増えたか減ったかではなく、増減の理由のほうを見たい。厚労省は令和元年度の調査から、その内訳を公表している。
減った109地区のうち、医療機関ができたのは2地区
報道発表は「18地区増加」としか書かない。内訳は統計表の第11表にある3。
先に、この表の範囲を断っておく。第11表の表側は、無医地区と準無医地区の合算である(1,106地区→1,148地区、+42)。無医地区単独の557→575という数字と、これから見る内訳は、対象がずれている。
その上で、令和4年10月末から令和7年10月末までの3年間の全国計は、こうなっている。
| 減った理由 | 地区数 |
|---|---|
| 医療機関ができた | 2 |
| 人口が50人未満になった | 35 |
| 交通の便が良くなった | 26 |
| 地域区分を変更した | 10 |
| その他 | 36 |
| 計 | 109 |
「医療機関ができた」は2地区である。一方、「人口が50人未満になった」は35地区。
ただし公開時の本稿は、この表でいちばん大きい欄を読み飛ばしていた※訂正。減少側の最大は「その他」の36地区で、「人口が50人未満になった」35地区よりも多い。この36地区が何なのかは、公表表からは分からない。
無医地区の定義は「おおむね半径4kmの区域内に50人以上が居住している地区」だから、50人を割れば、その地区は定義から外れる2。医療は何も届いていない。住民が減っただけである。それでも、統計の上では地区数が一つ減る。
医療が届いたことと、住民が50人を割ったことが、同じ「地区数の減少」として集計されている。
念のため書いておくと、厚労省がこれを「改善」と名付けているわけではない。理由別に分類して並べているだけで、むしろ「人口減少などにより50人を下回った場合は無医地区ではなくなる」と自ら説明している4。問題は集計の側ではなく、この数字の減少を成果として読むときに起きる。
同じ3年間で、増えた理由の内訳はこうだ。
| 増えた理由 | 地区数 |
|---|---|
| 医療機関がなくなった | 51 |
| 人口が50人以上になった | 1 |
| 交通の便が悪くなった | 20 |
| 地域区分を変更した | 9 |
| その他 | 70 |
| 計 | 151 |
「医療機関がなくなった」51地区に対し、「医療機関ができた」2地区。——25倍の差である。
だが、増加側でも最大は「その他」の70地区である※訂正。しかもこれは今回に限らない。3周期の増加側「その他」は131→93→70で、どの周期でも「医療機関がなくなった」(31→18→51)を上回っている。
したがって「増加はこの非対称の側にある」とは書けない。
そこで、増減を同じ表に並べて純増減を出す※追記。これなら計算そのものから言える。
| 理由 | 増加 | 減少 | 純増減 |
|---|---|---|---|
| 医療機関 | 51 | 2 | +49 |
| 人口50人の境界 | 1 | 35 | −34 |
| 交通 | 20 | 26 | −6 |
| 地域区分 | 9 | 10 | −1 |
| その他 | 70 | 36 | +34 |
| 計 | 151 | 109 | +42 |
合算の増加(+42)を最も押し上げた識別可能な要因は、医療機関の消失である(+49)。人口50人の境界は、逆に34件ぶん押し下げている。交通も6件ぶん押し下げており、「アクセスが改善して外れた」側は、この周期では人口減より小さい。そして「その他」が+34あり、この分は何が起きたのか分からない。
肝心の内訳が、無医地区単独では公表されていない
だが、無医地区が18地区増えたことの原因を、この表から分解することはできない。+18は無医地区単独の数字で、151/109は合算の数字だからである。「医療機関がなくなった」51地区のうち何地区が無医地区の増加に効いたのかは、公表表からは分からない。
そしてこれは「国が集計していない」のではない。調査票の第2表は「無医地区等増減整理表」といい、市町村が、増えた地区名・人口・理由と、減った地区名・人口・理由を書いて提出している5。
地区名の単位で、国は持っている。無医地区単独で集計して公表していないだけである。
この記事がいちばん言いたいのは、ここである。——増えた理由を知りたいのに、増えた対象と、理由の分かる対象が、公表の段階でずらされている。
3周期分を並べる
この内訳表が現れるのは令和元年度調査からで、3回分しかない6。
| H26→R1 | R1→R4 | R4→R7 | |
|---|---|---|---|
| 医療機関ができた | 8 | 2 | 2 |
| 人口が50人未満になった | 79 | 37 | 35 |
| 交通の便が良くなった | 33 | 15 | 26 |
| 医療機関がなくなった | 31 | 18 | 51 |
「医療機関ができた」は3周期で8→2→2。平成26年から令和7年までの11年間に、医療機関の新設によって解消した無医地区等は、全国でのべ12件である。
対して「人口が50人未満になった」は79→37→35で、合計のべ151件7。
「地区」ではなく「件」と書く※訂正。第11表が数えているのは周期ごとの増減の件数であって、同一の地区が複数の周期に現れうる。地区名が公表されていない以上、実地区数に還元できない。
内訳が公表されている直近11年の合計では、減少の最大の理由は人口が50人を割ったことである。のべ151件で、次が「その他」の125件(54+35+36)。ただし3周期の減少はのべ418件(192+117+109)なので、151件は36.1%であり、過半数ではない。
ただし周期ごとに見ると、直近では逆転している※訂正。令和4年→令和7年の減少では「その他」36が「人口が50人未満になった」35を上回った。「人口減が最大の理由」は11年の合計について言えることであって、いま起きていることの説明ではない。——そしてそれ以前についてはこう言えない。理由がそう変わるとは考えにくいが、確かめる材料が無い(すぐ下で見る)。
そして「医療機関がなくなった」は18から51へ、2.8倍になっている。合算の増減が+42に転じたのは、この側の動きが大きい。
平成26年以前は、分解できない
637(平成26年)、705(平成21年)、787(平成16年)——この時期の減少がどういう内訳だったかは、分からない。平成26年度の統計表に増減理由の表は無い8。
半世紀にわたる「減少傾向」のうち、内訳を確かめられるのは直近の11年だけである。
公表される表は、53から11に減った
平成26年度の公表統計表は53表あった。その中には、第22〜33表「最寄病院・最寄診療所までの距離及び所要時間」、第43表「最寄医療機関までの交通手段別無医地区数」、第52表「所要時間及び最小往復便数」がある8。
どれも、無医地区かどうかを判定する根拠そのものである。「容易に医療機関を利用することができない」の判定には、定期交通機関の往復便数と所要時間が使われるからだ5。
ただし公開時の本稿は、判定をこの二つだけで説明した。第三の条件がある※訂正。調査の概要には、便数・所要時間の条件に該当する場合でも「タクシー、自家用車(船)の普及状況、医師の往診の状況等により、受療することが容易であると認められる場合は除く」と書かれており、その判断で考慮する事情として「医療機関がないことについて、住民の不便、不安感がない」が挙げられている。判定には裁量が入る。——後で見る「移動手段を変えると格差が現れる」という話は、この定義の内側にも既に入っている。
令和元年度以降、公表は11表になり、距離・所要時間・交通手段の表はいずれも消えた。増減理由の表が加わったのと同じ回である。
(この調査は統計法上の一般統計調査であって基幹統計ではない。報告者は市町村で、回収率は100%。令和4年調査の点検・評価結果には「無医地区等及び無歯科医地区等調査に関する業務マニュアルを作成していないため、業務マニュアル拡充のための手順書に基づき、令和7年9月までに業務マニュアル等の整備を行う予定」と書かれている9。半世紀以上運用されてきた統計に、業務マニュアルが無かった。)
4kmと50人は、どこから来たのか
ではこの線自体は、何を根拠に引かれているのか。
厚生労働科学研究の分担報告書が、正面から書いている10。
無医地域の統計は、当初は「無医町村数」であったものが、1958(昭和33)年より基準人口300人とした「無医地区」へ変わり、その後1966(昭和41)年に基準人口が50人以上となり現在に続く。基準人口が300人から50人に変わった経緯、およびそれらの数値の根拠に関する資料は未見である。
国の研究班が、国の統計の閾値について「根拠に関する資料は未見である」と書いている。
前回の記事で、腹囲85cmの導出が三文で、根拠図に「投稿準備中」と付されていたことを見た。あれは記述が薄いという話だった。ここは、記述が見つからないという話である。
そして同じ報告書は、減少の質についても書いている。
無医地区の減少も地区の人口が50人未満になったという理由もあり…その減少は、集落人口が50人を下回ったことによるケースもあり、医療アクセスが向上した結果であるのかは精査が必要である。
無医地区は1966(昭和41)年より同じ定義で調査されているが、現状では必ずしも医療提供状況を適切に把握していない状況も認められた。
現地調査の記述も引いておく。無医地区に指定されている白倉地区で、住民はこう答えている。
確かに医者はいないが何かあったら車で15分位のところにある診療所に行っていて、特に問題はない
同じ報告書は、無医地区に指定されているが医師がいる地区と、無医地区ではないが医師がいない地区が実在することも報告している。
「準無医地区」には、そもそも算式が無い
無医地区とセットで数えられる準無医地区の定義は、こうである4。
無医地区には該当しないが、無医地区に準じ医療の確保が必要な地区と各都道府県知事が判断し、厚生労働大臣に協議し適当と認めた地区
半径も人口も出てこない。
ただし公開時の本稿は、ここから「知事の判断と、大臣との協議で決まる」とだけ書いた。完全な自由裁量ではない※訂正。調査の概要は「各都道府県知事が判断し」の中身として、五つの特殊事情を列挙している5。
ア 半径4kmの地区内の人口が50人未満で、かつ、山、谷、海などで断絶されていて、容易に医療機関を利用することができないため、巡回診療が必要である。 イ 半径4kmの地区内に医療機関はあるが診療日数が少ないか(概ね3日以下)又は診療時間が短い(概ね4時間以下)ため、巡回診療等が必要である。 ウ 半径4kmの地区内に医療機関はあるが眼科、耳鼻いんこう科などの特定の診療科目がないため、特定診療科についての巡回診療等が必要である。 エ ……定期交通機関があり、かつ、1日4往復以上あり、また、所要時間が1時間未満であるが、運行している時間帯が朝夕に集中していて、住民が医療機関を利用することに不便なため、巡回診療等が必要である。 オ 豪雪地帯等において冬期間は定期交通機関が運行されない、又は極端に運行数が少なくなり、住民が不安感を持つため、巡回診療等が必要である。
正確にはこうである。準無医地区には、無医地区のような単一の算式が無い。だが完全な自由裁量でもなく、五つの要件が列挙されている。その要件への該当を知事が判断し、大臣と協議する。
そして、ここからのほうが強い批判になる。アは「50人未満」という無医地区の裏返し、イ・ウは医療機関の中身、エ・オは交通の時間帯と季節である。判定の規則が、無医地区とまったく違う。その二つを合算した数で、増減理由が公表されている。
そして厚労省自身が、両者の関係をこう説明している。
全国の準無医地区数は、無医地区に該当しなくなった地区が準無医地区に指定される事例が多いため、増加傾向にある。
無医地区が減ると、準無医地区が増える。——この二つは独立した指標ではない。片方から溢れたものが、もう片方に流れ込む器である。
(無医地区575地区のうち、人口50〜99人の地区は209地区、36.3%を占める3。3分の1以上が100人未満であり、50人という線の影響を受けやすい側に寄っている。ただし公表されている最小の区分が「50〜99人」なので、あと何人減れば外れるのかは、この表からは分からない。
同じ表の「1〜49人」の欄は、無医地区では0である。定義上そうなる。そして準無医地区の同じ欄は364地区あり、令和元年287、令和4年326、令和7年364と増え続けている。
ただし公開時の本稿は、ここから「50人を割った地区は消えるのではなく、隣の欄に移っている」と書いた。これは推論であって、表が示していることではない※訂正。準無医地区の指定は知事の判断と大臣協議で決まるのであって、50人を割れば自動的に移るわけではない。厚労省が書いているのは「無医地区に該当しなくなった地区が準無医地区に指定される事例が多い」までである。この欄の増加が無医地区からの流入かどうかは、地区名を突き合わせないと分からない。)
都市部のアクセス困難は、この定義では捉えにくい
ここまでは「へき地の統計」の話だった。だがこの指標には、もう一つの端がある。
厚労省の資料には、こう書いてある4。
「無医地区」及び「準無医地区」を有する都道府県は千葉県、東京都、神奈川県、大阪府を除く43道府県
ただしこれは無医地区単独の数ではないし、最新の数でもない。令和7年度の第1表を都道府県別に数えると、こうなる3。
| 令和元年度 | 令和7年度 | |
|---|---|---|
| 無医地区を有する | 39都道府県 | 40都道府県 |
| 無医地区も準無医地区も無い | 4都府県 | 5都府県 |
無医地区がゼロなのは、令和7年度で山形・埼玉・千葉・東京・神奈川・大阪・佐賀の7都府県。うち山形(準無医5)と佐賀(同1)は準無医地区を持つので、両方ゼロなのは埼玉・千葉・東京・神奈川・大阪の5都府県である。上の「43道府県」は令和元年度の数え方で、当時の統計表は千葉・東京・神奈川・大阪の4つを「無医地区がないため、除外している」と注記して、行ごと落としていた。
そしてこの注記は、無医地区についてしか言っていない※訂正。落とされた4都府県が準無医地区を持っていたかどうかは、この表からは確認できない。上の表の令和元年度「4都府県」は、その4つが両方ゼロだったと仮定した数である。表に載っている43道府県の中では、両方ゼロの県は一つも無い。
そして——制度として都市部を除外する規定があるわけではない。4km圏に医療機関が無く、かつ定期交通機関で1時間を超える、という条件を、都市部が満たしにくいだけである。
これは指標の欠陥ではない。へき地対策の予算配分のための指標なのだから、そう設計されているのが正しい。問題は、この尺度で見えないものを、別の指標が拾っているかどうかである。
医師偏在指標は、都市の内側に閾値割れを見つけている
令和8年4月公表の医師偏在指標を見る11。全国266.8、下位33.3%の閾値は193.7。
東京都の13医療圏は、区中央部772.4から西多摩143.6まで開いている。同じ都道府県の中で5.4倍。
そして三大都市圏には、下位閾値を下回りながら、へき地尺度は低い医療圏が実在する。
| 医療圏 | 医師偏在指標 | へき地尺度 |
|---|---|---|
| 埼玉 南西部 | 187.7 | −0.0123 |
| 神奈川 県央 | 173.7 | −0.0079 |
| 愛知 東三河南部 | 186.6 | −0.0043 |
埼玉県南西部は、所沢・狭山・入間・朝霞などを含む圏域である。「へき地ではないが、医師が少ない」という象限が、制度の分類の中に実在している。
そして埼玉県は、無医地区も準無医地区もゼロの5都府県の一つである。へき地の尺度では、この県に空白は無い。
(ただし正確に書くと、医師少数区域の指定一覧に埼玉県南西部は入っていない。指定がどの年次の指標に基づくかを確認できなかったので、ここでは「新しい指標では閾値を下回っている」という事実の記述にとどめる。)
移動手段を変えると、都市の中に格差が現れる
無医地区の判定は、定期交通機関の便数と所要時間で行われる。では都市部で、移動手段を徒歩に変えるとどうなるか。
東京都南多摩医療圏を対象にした研究が、こう結論している12。
自動車が利用可能であれば居住地や診療科によらずアクセシビリティが高い反面、交通手段が徒歩に限定されると、アクセシビリティの高い地域は鉄道駅周辺などに集中し地域格差が大きい
同じ地域を、同じ診療科で測って、前提の交通手段を変えただけで、格差の有無が入れ替わる。
隣の役所は、同じ問題に別の枠組みを持っている
決定的な対照がある。食料品である。
農林水産省は「食料品アクセス困難人口」を推計している。定義はこうだ13。
令和2年国勢調査(2020年)地域メッシュ統計と店舗の所在地がわかる情報から、店舗まで直線距離で500m以上、かつ、65歳以上で自動車を利用できない人を「食料品アクセス困難人口」として推計。
2020年における食料品アクセス困難人口は、全国で904万人と推計され、全65歳以上人口の25.6%であった。
直線距離500m。自動車利用困難。65歳以上。——三つの要素が揃っている。国勢調査のメッシュ統計に、店舗の位置を重ねて数えている。
500mの根拠も書いてある。
過去の研究事例等から、徒歩で無理なく買い物に行ける距離として500mを設定し、買い物での不便・苦労を感じる人の多くが自動車を利用できない65歳以上の高齢者であることから定義。
これも患者アウトカムから引かれた線ではない。「徒歩で無理なく行ける距離」という行動の目安である。それでも4kmと違うのは、来歴が一文で書いてあることだ。
そして農水省のページには、こういう記述もある14。
2010年の382万人から2025年には598万人に56.4%増加すると推計され、その増加の大部分は都市的地域である
ただし公開時の本稿は、この数字を904万人と同じ系列のように並べた。別のものである※訂正。三つ違う。
- 定義が違う。382万人の系列は「生鮮食料品販売店舗まで500m以上で自動車のない高齢者」で、904万人の系列は「店舗まで500m以上かつ自動車利用困難な65歳以上高齢者」である
- 時点が違う。これは平成26年(2014年)10月の農林水産政策研究所の報告であり、904万人は令和6年(2024年)公表の2020年推計である
- 性格が違う。598万人は実績値ではなく、「これまでの趨勢が継続した場合」の2025年への推計である
同じ系列で2010年を見ると、382万人ではなく733万人である(2005年678万、2010年733万、2015年825万、2020年904万)13。並べて書いてはいけなかった。
そのうえで、都市部で増えるという指摘そのものは、2014年の報告が述べていることとして残る。
同じ組み合わせを医療機関に当てた全国推計を、今回は見つけられなかった。「距離 × 自動車利用の可否 × 年齢」で医療アクセス困難人口を数えた厚労省の全国統計は、探した範囲では見当たらない。国の側の到達時間の算出は、むしろ逆を向いている——病院7,509施設と1kmメッシュ147,366個について「有料道路を使わず90分以内」で診療圏を引く方式で、自動車移動が前提になっている15。
買い物に行けないことは904万人分数えられていて、診療所に行けないことは、同じ形では数えられていない。
他の国は、どこから線を引いているか
日本だけの話かどうかを確かめたい。一次資料に当たれた範囲で、9か国18件の地理的な分類・アクセス規則を辿った。患者の健康アウトカムから引かれたものは、一つも無かった。
「閾値」ではなく「分類・アクセス規則」と書く※訂正。18件のうちフィンランドは距離を数値化しておらず、閾値ではないからである。
ただし、これを「その国はアウトカムから引いていない」と読まないでほしい※訂正。確認できたのは、特定の機関が出した特定の文書に何が書かれていたかである。同じ国の別の文書に導出が書かれている可能性は、どの国についても残っている。18件という分母も、私が到達できた資料の数であって、母集団ではない。
| 国 | 閾値 | 由来 | 患者アウトカム由来か |
|---|---|---|---|
| 日本 | 無医地区 4km・50人 | 昭和41年に300人から変更。研究班が「根拠に関する資料は未見」10 | いいえ |
| 日本 | 準無医地区 | 算式なし。知事が判断し大臣に協議4 | いいえ |
| フランス | APL 年2.5回未満 | 平均4.11に対し「四つが試された」16 | いいえ(健康状態を考慮しないと明記) |
| フランス | ZIP/ZAC の区分 | APLの低い順に並べ、地域ごとの人口枠で切る17 | いいえ(定義上、分布) |
| フランス | 距離減衰 α=−0.6, β=0.68 | 実際の受診フローに当てはめて決定18 | いいえ(受診行動) |
| 米国 | MUA の IMU 62.0 | 「全米の郡の中央値が62だった」19 | いいえ |
| 米国 | HPSA 人口対医師 3,500:1 | CFRに成文化。当局は「適正水準を表すものではない」20 | いいえ |
| 米国 | IMU の4因子と重み | 専門家の合議とデルファイ法21 | いいえ |
| 豪州 | MMM 5,000/15,000/50,000人 | 一般医3,636人の勤務条件で等質な4群22 | いいえ(医師の勤務・生活条件) |
| 豪州 | DPA のベンチマーク | MM2地域の平均。当局の検証が「根拠を見つけられなかった」23 | いいえ |
| カナダ | RIO の各項 | すべて州の中央値との相対。理由は医師の孤立24 | いいえ |
| カナダ | 遠隔度指数の上限36ドル | 主要道路網で150分。日常的な往来が可能な範囲25 | いいえ(通勤行動) |
| カナダ | BC州 70km/35km/緯度52・53度 | 18頁の政策文書に導出の記載なし26 | いいえ |
| ノルウェー | 救急車 12分/25分 | 科学的検討・他国の数値・裁量的判断の混合27 | いいえ(国自身が関連を確認できず) |
| スウェーデン | 45分/人口5万人 | OECD・Eurostatに合わせ国際比較を容易にするため28 | いいえ |
| スウェーデン | 医療機関まで20km | 薬局基準からの類推。「客観的で測りやすい」28 | いいえ(明示的に行政的便宜) |
| フィンランド | 距離 | 数値化していない(時間は14日・4か月で法定)29 | — |
| ドイツ | 家庭医 1対1,609 | 需要計画導入時(1990年代)の供給実態を「需要」とみなす30 | いいえ(分布の凍結) |
18件のうち、患者の健康アウトカムから導かれたものは0件。由来として書かれているのは、分布の位置(中央値・四分位・平均・過去の実態)か、受診・通勤という行動か、国際比較の都合か、行政的な測りやすさである。
本文では、性格の違う三つだけ引く。
フランスは、国の統計部局が正面から書いている16。
ce seuil ne peut être qu’arbitraire(この閾値は恣意的でしかありえない)
そして「四つが試された(quatre ont été testés)」——1、2、2.5、3。2.5を採ると人口の8.1%、3を採ると18.4%が該当する。恣意的だと書いた上で、それでも線を引いて予算を配っている。
米国の MUA 基準は、官報に来歴が書いてある19。
the median county score was 62, therefore 62 was chosen as the cut-off point
全米の郡の中央値だったから62。その方法論を、後に会計検査院がこう評価した21。
the methodology (including four factors, formula, weights, and cutoff point) was developed by consensus of expert judgment, with limited empirical testing
オーストラリアだけは、区切りが実証的に導かれている。ただし何のアウトカムかを見たい22。一般医3,636人のデータから四つの人口群(0–5,000、5,001–15,000、15,001–50,000、50,000超)が等質な群として同定された。その等質性を測った指標がこれである。
four professional indicators (total hours worked, public hospital work, on call after-hours and difficulty taking time off) and two non-professional indicators (partner employment and schooling opportunities)
勤務時間、時間外オンコール、休みの取りにくさ、配偶者の就業、子の就学環境。——アウトカムは、患者ではなく医師である。
そして、この区分の上に乗る給付判定について、豪州保健省自身の検証報告がこう書いている23。
The review was unable to find a rationale for why this benchmark is used
「なぜこのベンチマークが用いられているのかの根拠を、この検証は見つけることができなかった」。厚生労働科学研究の「未見である」と、同じことを言っている。
(アメリカについては、指定が実際に効いたかを事後検証した研究が二つあり、結論が割れている。50年間で死亡率にも医師密度にも有意な変化は無かったとするもの31と、傾向スコアマッチングで全死亡率3%減・脳卒中死亡率13%減を報告するもの32。分布から引いた線が効かない、と決めつけることもできない。)
それでも、諦める話ではない
ここまでを「どの国も適当にやっている」とまとめたくなる。だが、二つの国は違うことをしている。
公開時の本稿は、これを「二つの反例」と書いた。反例ではない※訂正。以下のノルウェーは、12分・25分という数値がアウトカムから検証されたわけではなく、むしろ検証して確認できなかった側である。フィンランドは距離を数値化していない。反例ではなく、不確実性に対する二つの応答——事後に検証した国と、数値化を避けた国——として読んでほしい。
ノルウェーは、救急車の応答時間基準(人口密集地12分、過疎地25分、いずれも90%)について、公衆衛生研究所が自国のデータで検証している。結論はこうだ27。
Betydningen av responstid for pasientutfallet er ikke godt dokumentert.(応答時間が患者アウトカムに対して持つ意義は、十分に documented されていない)
Vi har ikke funnet noe som tyder på at det er en klar sammenheng mellom responstid og overlevelse i de dataene vi har hatt tilgang på.
(我々が利用できたデータの中に、応答時間と生存の間に明確な関連があることを示すものは、見つからなかった)
30日生存率は、最も待機時間が短かった患者で最も低かった——重症ほど早く運ばれるという適応交絡である。
ところが、同じ報告書に、こうも書いてある。
Kunnskapsgrunnlaget for viktigheten av rask utrykning er godt dokumentert for enkelte akutte tilstander som hjerteinfarkt.
(迅速な出動の重要性に関する知識基盤は、心筋梗塞など一部の急性病態については十分に documented されている)
心筋梗塞など、一部の急性病態については、十分に documented されている。
公開時の本稿は、ここから「閾値をアウトカムに固定できるのは、対象を絞ったときだけである」と結んだ。だが報告書は、その直後にこう続けている※訂正。
Det er imidlertid ikke mulig å utpeke ambulansers responstid som avgjørende for om en pasient får nødvendige behandling i tide. Hele den prehospitale kjeden er viktig.
(ただし、患者が必要な治療を間に合って受けられるかについて、救急車の応答時間を決定的な要因として特定することはできない。病院前の連鎖全体が重要である)
対象を絞っても、応答時間という一つの変数に固定できるとは書かれていない。書ける範囲はこうである。迅速な出動が重要であることは一部の病態について確立している。しかしそのことは、救急車の応答時間を閾値にしてよいことを意味しない。
(あわせて、この12分/25分は法的な基準ではない。「Dagens responstidskrav er veiledende」——現行の応答時間要件は勧告的である。国会は省令化を決議しているが、報告書の時点では veiledende のままだった。)
フィンランドは、別の解き方をしている29。距離について、法はこう書く。
on sijaittava kohtuollisen välimatkan päässä. Enimmäisvälimatkaa ei ole määritetty.(合理的な距離内に位置していなければならない。最大距離は定められていない)
距離の数値化を、拒否している。その代わりに数値化したのは時間で、こちらは個人の法的権利になっている。
ただし公開時の本稿は、その時間を「基礎保健医療の外来は14日以内、口腔保健は4か月以内」と書いた。この数字はもう現行法ではない※訂正。2024年12月19日に法が確定し、2025年1月1日から治療保証は外来3か月・口腔保健6か月に延長された33。
Perusterveydenhuollon avosairaanhoidossa hoitotakuu on jatkossa 3 kuukautta ja suun terveydenhuollossa 6 kuukautta. … Muutokset eivät koske alle 23-vuotiaita.
(基礎保健医療の外来診療の治療保証は、今後3か月、口腔保健は6か月となる。…この変更は23歳未満には適用されない。)
さらに、この訂正自体が不正確だった※訂正。社会保健省の現行の説明はこうである。
Hoitoon on päästävä viimeistään kolmessa kuukaudessa. Alle 23-vuotiaiden on kuitenkin päästävä hoitoon viimeistään 14 vuorokaudessa, jos kyse on sairauden tai vamman tutkimuksesta tai hoidosta. Suun terveydenhuollossa alle 23-vuotiaiden on päästävä hoitoon viimeistään kolmessa kuukaudessa ja tätä vanhempien viimeistään kuudessa kuukaudessa.
(診療には遅くとも3か月以内に到達できなければならない。ただし23歳未満は、疾病または傷害の検査もしくは治療である場合、遅くとも14日以内に到達できなければならない。口腔保健では、23歳未満は遅くとも3か月以内、それより年上は遅くとも6か月以内。)
| 外来診療 | 口腔保健 | |
|---|---|---|
| 23歳以上 | 3か月 | 6か月 |
| 23歳未満 | 14日 | 3か月 |
23歳未満の口腔保健は、4か月ではなく3か月である。
「何km以内に診療所があるか」ではなく、「困ってから何日で診てもらえるか」を国民の権利として書いた。——距離は手段であって、目的ではない。目的のほうを直接測れば、閾値を距離に置く必要がなくなる。
ただし、数値化すれば動かせるということでもある。フィンランドは14日を3か月にした。改善の方向にも、後退の方向にも動く。(同時に国会は、政府に対し自己医師・自己看護師モデルまたは家庭医モデルの導入により診療関係の継続性を強化することを求める附帯決議を付けている。)
総合診療にとって
三つ、持ち帰れることがある。
第一に、減っている数字を見たら、減った内訳を訊く。無医地区数は昭和59年以降ほぼ一貫して減ってきた。内訳が公表されている直近11年の合計では、その最大の理由は人口が50人を割ったこと(151地区)で、次が理由の書かれていない「その他」(125地区)だった。医療が届いたこと(12地区)と、住民が50人を割ったことを、この指標は同じ「減少」として集計する。——測定の失敗の型でいえば、介入しなくても人口減だけで値が下がりうる指標である。
だから、この数字の低下をそのまま政策の成果として読むことはできない。成果として読みたいなら、読む側が内訳を持っていなければならない。そして今その内訳は、無医地区単独では公表されていない。
第二に、指標の外側を誰が見ているかを確かめる。無医地区があるのは40都道府県で、残る7都府県はゼロである。これは設計として正しい。問題は、そのゼロの内側にある空白を、誰も同じ精度で数えていないことである。買い物については904万人という数字がある。通院については、同じ形の数字が無い。
総合診療は、この空白の上で働く科である。外来に来られなくなった人は、外来の統計から消える。「来ない人」は分母に入っていない。
第三に、線の来歴を訊くことは、線を否定することではない。フランスは「この閾値は恣意的でしかありえない」と書いた上で、それでも閾値を使って予算を配っている。書いてあることが重要なのであって、恣意的であること自体は、必ずしも欠陥ではない。
日本の4kmと50人が問題なのは、恣意的だからではない。恣意的かどうかを確かめる資料に、国の研究班が辿り着けなかったからである。
そしてこれは、直せる種類の問題だと思う。市町村は毎回、増えた地区名と減った地区名を、理由つきで提出している。集計して公表するだけで、「医療が届いたから減った地区」と「人がいなくなったから減った地区」は分けて数えられる。
一文に畳むと、こうなる※追記。
無医地区数を成果として読むなら、地区数のストックではなく、地区別の遷移を理由とともに公表する必要がある。人が減って線の外へ出たのか、交通が改善したのか、医療機関が開いたのか。その区別を持たない減少は、成果ではなく差分にすぎない。
この列では、指標を一つずつ点検している。優先順位は指標監査のページに置いた。本稿の国際比較は、表1枚と三つの例に畳んだ。それぞれの国が閾値をどう文章にしているか——恣意性を認めた国、認めずに済ませた国、数値化を拒んだ国——は、いずれ別に立てる。
訂正 CORRECTIONS
公開後に直したこと。本文は直したうえで、何をどう変えたかをここに残している。本文中の※ が、直した箇所を指す。
- 訂正準無医地区を「半径も人口も出てこない。知事の判断と大臣との協議で決まる」とだけ書いていたが、五つの要件が列挙されている2026-09-01 · junmui2調査の概要は「各都道府県知事が判断し」の中身として、ア(半径4km内50人未満で山谷海に断絶)、イ(医療機関はあるが診療日数概ね3日以下または診療時間概ね4時間以下)、ウ(特定の診療科目がない)、エ(定期交通機関は1日4往復以上・1時間未満だが運行時間帯が朝夕に集中)、オ(豪雪地帯で冬期間の運行がない、または極端に少ない)という五つの特殊事情を挙げている。単一の算式が無いことと、完全な自由裁量であることは違う。あわせて、五要件はいずれも無医地区とは別の判定規則であり、その二つを合算した数で増減理由が公表されていることを本文に加えた。
- 訂正前回の訂正で「23歳未満だけが14日・4か月のまま」と書いたが、23歳未満の口腔保健は3か月である2026-09-01 · finland2社会保健省の現行の解説ページ(2026年5月13日更新)は「Suun terveydenhuollossa alle 23-vuotiaiden on päästävä hoitoon viimeistään kolmessa kuukaudessa ja tätä vanhempien viimeistään kuudessa kuukaudessa」と記す。現行は、外来が23歳以上3か月・23歳未満14日、口腔保健が23歳以上6か月・23歳未満3か月である。表にして示した。
- 訂正ノルウェーとフィンランドを「二つの反例」と呼んでいた2026-09-01 · hanreiノルウェーの12分・25分は、患者アウトカムから検証されて成立した数値ではなく、むしろ検証して関連を確認できなかった側である。フィンランドは距離を数値化していない。どちらも「アウトカムから引かれた線」の反例ではないため、「不確実性に対する二つの応答——事後に検証した国と、数値化を避けた国」に位置づけ直した。
- 追記増減を同じ表に並べた純増減を追加した2026-09-01 · junzogen令和4年→令和7年の純増減は、医療機関+49、人口50人の境界−34、交通−6、地域区分−1、その他+34、計+42である。「合算の増加を最も押し上げた識別可能な要因は医療機関の消失である」を、計算そのものから言える形にした。同時に、交通による減少26件もアクセス側の改善であることが表から読める。
- 訂正3周期合計の「12地区」「151地区」を「のべ12件」「のべ151件」に改めた2026-09-01 · nobe第11表が数えているのは周期ごとの増減の件数であって、同一の地区が複数の周期に現れうる。地区名が公表されていない以上、実地区数には還元できない。あわせて、3周期の減少はのべ418件(192+117+109)であり、151件は36.1%で過半数ではないことを明記した。
- 訂正「9か国18件の地理的閾値」を「地理的な分類・アクセス規則」に改めた2026-09-01 · 18ken18件のうちフィンランドは距離を数値化しておらず、閾値ではない。表そのものにもその旨は書いてあったが、総括の一文が「閾値」で括っていた。
- 追記結論を一文に畳んだ2026-09-01 · shime「無医地区数を成果として読むなら、地区数のストックではなく、地区別の遷移を理由とともに公表する必要がある。人が減って線の外へ出たのか、交通が改善したのか、医療機関が開いたのか。その区別を持たない減少は、成果ではなく差分にすぎない。」を末尾に置いた。
- 訂正第11表でいちばん大きい「その他」の欄を読み飛ばしていた2026-09-01 · sonota令和4年→令和7年の減少側の最大は「その他」36地区で、「人口が50人未満になった」35を上回る。増加側の最大も「その他」70地区で、「医療機関がなくなった」51を上回る。しかも増加側の「その他」は3周期とも最大である(131→93→70)。「増加はこの非対称の側にある」という断定を撤回し、「分類された理由の中では医療機関の消滅と新設の差が大きい。ただし増加地区の半分近くは理由が『その他』に落ちている」に改めた。
- 訂正「減少の最大の理由は人口が50人を割ったこと」は11年の合計についてのみ成立する2026-09-01 · saidai11年合計では人口50人未満151地区が最大で、次が「その他」125地区である。しかし周期ごとに見ると、直近の令和4年→令和7年では「その他」36が「人口が50人未満になった」35を上回っている。合計についての記述であることを明記した。
- 訂正「公表されている系列の中で初めての反転」は地区数についてのみ言える2026-09-01 · jinko無医地区人口は平成26年124,122人から令和元年126,851人へ一度増えている。反転が初めてなのは地区数のほうである。
- 訂正無医地区の判定を「定期交通機関の便数と所要時間」だけで説明していた2026-09-01 · hantei調査の概要には第三の条件があり、便数・所要時間の条件に該当する場合でも「タクシー、自家用車(船)の普及状況、医師の往診の状況等により、受療することが容易であると認められる場合は除く」とされ、その判断で考慮する事情として「医療機関がないことについて、住民の不便、不安感がない」が挙げられている。判定には裁量が入る。後段の「移動手段を変えると格差が現れる」という論点は、この定義の内側に既に入っている。
- 訂正「50人を割った地区は隣の欄に移っている」は推論であって、表が示していることではない2026-09-01 · jun準無医地区の指定は知事の判断と大臣協議で決まるのであって、50人を割れば自動的に移るわけではない。厚労省が書いているのは「無医地区に該当しなくなった地区が準無医地区に指定される事例が多い」までである。第1表の1〜49人欄の増加が無医地区からの流入かどうかは、地区名を突き合わせないと分からない。
- 訂正令和元年度の「無医地区も準無医地区も無い4都府県」は仮定を含む数である2026-09-01 · r1yon令和元年度統計表の注記は「千葉県、東京都、神奈川県、大阪府は無医地区がないため、除外している」であって、準無医地区については何も述べていない。落とされた4都府県が準無医地区を持っていたかどうかはこの表からは確認できない。表に載っている43道府県の中では、両方ゼロの県は一つも無い。
- 訂正食料品アクセス困難人口の904万人と「382万人→598万人」を、同じ系列のように並べていた2026-09-01 · maff三つ違う。定義が違い(382万の系列は「生鮮食料品販売店舗まで500m以上で自動車のない高齢者」、904万の系列は「店舗まで500m以上かつ自動車利用困難な65歳以上高齢者」)、時点が違い(前者は平成26年10月の農林水産政策研究所報告、後者は令和6年公表の2020年推計)、性格が違う(598万人は実績値ではなく趨勢継続を仮定した2025年への推計)。同じ系列の2010年の値は382万人ではなく733万人である。
- 訂正フィンランドの治療保証を「外来14日以内・口腔保健4か月以内」と書いていたが、2025年1月1日に3か月・6か月へ延長されている2026-09-01 · finland2024年12月19日に法が確定し、2025年1月1日から基礎保健医療の外来の治療保証は3か月、口腔保健は6か月になった。23歳未満だけが従来の14日・4か月のまま維持される。「距離ではなく時間を権利として書いた」という論点は残るが、数値化すれば改善の方向にも後退の方向にも動く、という但し書きを加えた。
- 訂正FHI報告の「心筋梗塞など一部の病態については十分に documented されている」の直後の一文を落としていた2026-09-01 · norway報告書はその直後に「Det er imidlertid ikke mulig å utpeke ambulansers responstid som avgjørende for om en pasient får nødvendige behandling i tide. Hele den prehospitale kjeden er viktig」(ただし救急車の応答時間を決定的な要因として特定することはできない。病院前の連鎖全体が重要である)と続けている。「閾値をアウトカムに固定できるのは対象を絞ったときだけである」という結論はこの一文と衝突するため撤回した。あわせて12分/25分が法的基準ではなく「veiledende」(勧告的)であることを明記した。
- 訂正「9か国18件で患者アウトカム由来は0件」を、確認した文書の範囲に限定した2026-09-01 · kunitani確認できたのは、特定の機関が出した特定の文書に何が書かれていたかである。同じ国の別の文書に導出が書かれている可能性はどの国についても残っており、18件という分母も到達できた資料の数であって母集団ではない。
出典 SOURCES
- 1令和4年度無医地区等及び無歯科医地区等調査の概況厚生労働省 · 2023 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 無医地区数の時系列は、昭和59年1,276、平成元年1,088、平成6年997、平成11年914、平成16年787、平成21年705、平成26年637、令和元年590、令和4年557。無医地区人口は同順に319,796人、285,034人、236,193人、203,522人、164,680人、136,272人、124,122人、126,851人、122,206人。地区数は昭和59年以降一貫して減少しており、令和4年度調査の本文も「減少傾向が続いている」と記す。なお人口は平成26年124,122人から令和元年126,851人へ一度増加している
- 2令和7年度無医地区等及び無歯科医地区等調査の結果厚生労働省(令和8年7月30日公表) · 2026 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 調査時点は令和7年10月末日。「無医地区数は、前回調査(令和4年10月末日:557地区)に比べて18地区増加の575地区となっている。また、無医地区人口は、前回調査(令和4年10月末日:122,206人)に比べて12,547人増加の134,753人となっている」。無医地区の定義は「医療機関のない地域で、当該地区の中心的な場所を起点として、おおむね半径4kmの区域内に50人以上が居住している地区であって、かつ容易に医療機関を利用することができない地区」。調査対象は無医地区等を有する市町村であり、地区を単位として数える
- 3令和7年度無医地区等及び無歯科医地区等調査 統計表(第1表〜第11表)厚生労働省 · 2026 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 第11表「無医地区等の増減理由別地区数」の全国計(令和4年10月末日から令和7年10月末日まで)は、増加が「医療機関がなくなった」51、「人口が50人以上になった」1、「交通の便が悪くなった」20、「地域区分を変更した」9、「その他」70の計151地区、減少が「医療機関ができた」2、「人口が50人未満になった」35、「交通の便が良くなった」26、「地域区分を変更した」10、「その他」36の計109地区。すなわち減少側の最大は「その他」36で、「人口が50人未満になった」35を上回る。増加側の最大も「その他」70で、「医療機関がなくなった」51を上回る。表側は無医地区と準無医地区の合算(1,106地区から1,148地区)であり、無医地区単独の内訳は示されていない。第1表によれば無医地区575のうち人口50〜99人の地区は209(36.3%)
- 4へき地の医療について厚生労働省医政局 · 2023 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 「『無医地区』及び『準無医地区』を有する都道府県は千葉県、東京都、神奈川県、大阪府を除く43道府県」と明記されている。また「無医地区は人口50人以上の指定要件があるため、人口減少などにより50人を下回った場合は無医地区ではなくなる」「全国の準無医地区数は、無医地区に該当しなくなった地区が準無医地区に指定される事例が多いため、増加傾向にある」と説明されている。準無医地区は「無医地区には該当しないが、無医地区に準じ医療の確保が必要な地区と各都道府県知事が判断し、厚生労働大臣に協議し適当と認めた地区」と定義され、地理的な算式は示されていない
- 5無医地区等及び無歯科医地区等調査 調査の概要厚生労働省 · 2026 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 「容易に医療機関を利用することができない」場合とは、夏期における交通事情が「(ア)定期交通機関がない場合」「(イ)定期交通機関はあるが、1日3往復以下であるか、または4往復以上であるが、これを利用しても医療機関まで行くために必要な時間(徒歩が必要である場合は徒歩に必要な時間を含む)が1時間をこえる場合」に該当する場合をいう。ただし「(ウ)上記(ア)または(イ)に該当する場合であっても、タクシー、自家用車(船)の普及状況、医師の往診の状況等により、受療することが容易であると認められる場合は除く」とされ、その判断基準として「医療機関がないことについて、住民の不便、不安感がない」という事情を考慮すると書かれている。また「無医地区に準じる地区」については「各都道府県知事が判断し」の中身として五つの特殊事情を列挙する。「ア 半径4kmの地区内の人口が50人未満で、かつ、山、谷、海などで断絶されていて、容易に医療機関を利用することができないため、巡回診療が必要である」「イ 半径4kmの地区内に医療機関はあるが診療日数が少ないか(概ね3日以下)又は診療時間が短い(概ね4時間以下)ため、巡回診療等が必要である」「ウ 半径4kmの地区内に医療機関はあるが眼科、耳鼻いんこう科などの特定の診療科目がないため、特定診療科についての巡回診療等が必要である」「エ 地区の住民が医療機関まで行くために利用することができる定期交通機関があり、かつ、1日4往復以上あり、また、所要時間が1時間未満であるが、運行している時間帯が朝夕に集中していて、住民が医療機関を利用することに不便なため、巡回診療等が必要である」「オ 豪雪地帯等において冬期間は定期交通機関が運行されない、又は極端に運行数が少なくなり、住民が不安感を持つため、巡回診療等が必要である」。すなわち準無医地区には単一の算式は無いが、完全な自由裁量でもなく、五要件のいずれかへの該当を知事が判断する。判定の規則は無医地区とは別物である。統計法に基づく一般統計調査(政府統計コード00450122)であり基幹統計ではない。報告者は市町村で、3年周期
- 6令和元年度無医地区等及び無歯科医地区等調査 統計表(第1表〜第11表)厚生労働省 · 2020 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 増減理由別地区数の表が現れるのは令和元年度調査からで、この回の全国計(平成26年から令和元年まで)は、減少が「医療機関ができた」8、「人口が50人未満になった」79、「交通の便が良くなった」33、「地域区分を変更した」18、「その他」54の計192地区、増加が「医療機関がなくなった」31、「人口が50人以上になった」2、「交通の便が悪くなった」37、「地域区分を変更した」18、「その他」131の計219地区。この周期でも増加側の最大は「その他」である。この回の掲載は43都道府県で、表末に「※千葉県、東京都、神奈川県、大阪府は無医地区がないため、除外している。」と注記されている。この注記は無医地区についてのみ述べており、除外された4都府県の準無医地区の有無は表からは確認できない。合算地区数は1,057から1,084
- 7令和4年度無医地区等及び無歯科医地区等調査 統計表(第1表〜第11表)厚生労働省 · 2023 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 第11表の全国計(令和元年から令和4年まで)は、減少が「医療機関ができた」2、「人口が50人未満になった」37、「交通の便が良くなった」15、「地域区分を変更した」28、「その他」35の計117地区、増加が「医療機関がなくなった」18、「人口が50人以上になった」0、「交通の便が悪くなった」13、「地域区分を変更した」15、「その他」93の計139地区。この周期でも増加側の最大は「その他」である。掲載は47都道府県、合算地区数は1,084から1,106
- 8平成26年度無医地区等及び無歯科医地区等調査 統計表(第1表〜第53表)厚生労働省 · 2016 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 平成26年度調査の公表統計表は53表あり、第22表から第33表の「最寄病院・最寄診療所までの距離及び所要時間」、第43表「最寄医療機関までの交通手段別無医地区数」、第52表「所要時間及び最小往復便数」など、無医地区の判定根拠に直結する表が含まれている。増減理由を扱う表は存在しない(第14表は「無医地区となっている理由」であって増減の内訳ではない)。令和元年度調査以降、公表統計表は11表に減り、距離・所要時間・交通手段に関する表はいずれも公表されていない
- 9無医地区等及び無歯科医地区等調査(令和4年調査) 統計調査等の点検・評価結果厚生労働省 · 2024 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 「無医地区等及び無歯科医地区等調査に関する業務マニュアルを作成していないため、業務マニュアル拡充のための手順書に基づき、令和7年9月までに業務マニュアル等の整備を行う予定」と記載されている。また精度管理について「全数調査で回収率が100%のため、精度管理の目安としている指標はない」とされている
- 10無医地区の定義変遷と現状厚生労働科学研究費補助金 分担研究報告書(研究代表 林玲子) · 2025 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 「無医地域の統計は、当初は『無医町村数』であったものが、1958(昭和33)年より基準人口300人とした『無医地区』へ変わり、その後1966(昭和41)年に基準人口が50人以上となり現在に続く」とした上で、「基準人口が300人から50人に変わった経緯、およびそれらの数値の根拠に関する資料は未見である」と明記している。また「無医地区の減少も地区の人口が50人未満になったという理由もあり…その減少は、集落人口が50人を下回ったことによるケースもあり、医療アクセスが向上した結果であるのかは精査が必要である」「現状では必ずしも医療提供状況を適切に把握していない状況も認められた」と述べる。現地調査では、無医地区に指定されている白倉地区の住民が「確かに医者はいないが何かあったら車で15分位のところにある診療所に行っていて、特に問題はない」と述べたこと、無医地区でありながら医師がいる地区と、無医地区でないが医師がいない地区が実在することが報告されている。三師統計に基づく「無医町村数」は2018年28、2020年29、2022年32と増加に転じている。旧定義期の系列(同報告 表2、出典は厚生省『医制百年史付録』)は昭和33年1,184(基準人口300人)、昭和35年1,352、昭和41年2,920(基準人口50人へ変更)、昭和46年2,473、昭和48年2,088、昭和53年1,750、昭和59年1,276であり、昭和35年から41年への急増は定義変更によるものである
- 11医師偏在指標(令和8年4月公表)厚生労働省 · 2026 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 全国の医師偏在指標は266.8。「上位33.3%の閾値を236.0、下位33.3%の閾値を193.7と設定している」とされ、「①医師偏在指標が下位33.3%に該当する区域、②中位33.3%に該当する区域のうちへき地尺度が特に高い区域(上位10%)を医師少数区域と設定することとする」と記されている。東京都では区中央部772.4に対し西多摩143.6で5.4倍の開きがあり、埼玉県南西部は187.7と下位閾値193.7を下回る一方でへき地尺度は−0.0123である。大阪府は8二次医療圏すべてが下位閾値を上回る
- 12日常における外来医療への空間的アクセシビリティの分析都市計画論文集 58(3):1132-1139(山田育穂) · 2023 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 東京都南多摩医療圏を対象に受療の多い8診療科への空間的アクセシビリティを評価し、「自動車が利用可能であれば居住地や診療科によらずアクセシビリティが高い反面、交通手段が徒歩に限定されると、アクセシビリティの高い地域は鉄道駅周辺などに集中し地域格差が大きい」と結論している
- 13「食料品アクセス困難人口」の推計結果について(2020年推計)農林水産省 農林水産政策研究所 · 2024 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 「アクセス困難人口とは、店舗まで500m以上かつ自動車利用困難な65歳以上高齢者を指す」と定義した上で、「2020年における食料品アクセス困難人口は、全国で904万人と推計され、全65歳以上人口の25.6%であった」としている。75歳以上は566万人(31.0%)。時系列は2005年678万人、2010年733万人、2015年825万人、2020年904万人。都道府県別では東京が53.1万人(65歳以上人口比17.1%)で最も低く、長崎が41.0%で最も高い。なお農林水産省ウェブサイト「食料品アクセス問題の現状」が載せる「2010年の382万人から2025年には598万人に56.4%増加」は、平成26年10月の農林水産政策研究所報告に基づく別系列であり、定義が「生鮮食料品販売店舗まで500m以上で自動車のない高齢者」、性格が趨勢継続を仮定した推計である。本系列の2010年の値は733万人である
- 14食料品アクセス問題の現状農林水産省 · 2026 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 食料品アクセス困難人口が「2010年の382万人から2025年には598万人に56.4%増加すると推計され、その増加の大部分は都市的地域である」と記されている。令和7年の市町村アンケートでは89.3%が対策の必要性を認識しており、大都市では「宅配・買物代行支援」が、中小都市では「コミュニティバス・乗合タクシー」が最も多い対策として挙げられている
- 15医療機関へのアクセシビリティに関する研究厚生労働科学研究費補助金 分担研究報告書(村松圭司) · 2023 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 病院7,509施設と平成27年国勢調査の1kmメッシュ147,366個について、有料道路を使わず90分以内で到達可能な組合せを算出している。診療圏人口の中央値は15分圏で9.3万人、30分圏で33.5万人、60分圏で93万人。到達時間の算出は自動車移動を前提としており、非運転者の移動手段は考慮されていない
- 16Déserts médicaux : comment les définir ? Comment les mesurer ?Les Dossiers de la DREES n°17 (Vergier N, Chaput H), Ministère des Solidarités et de la Santé · 2017 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 「bien que le terme soit répandu, la question de ce qu'est ou serait un désert médical ne connaît pour l'heure aucune réponse consistante et partagée」(この語は広まっているが、医療砂漠とは何か・何でありうるかという問いに、現時点で一貫した共有された答えは存在しない)とした上で、「se pose donc (quel que soit l'indicateur retenu) la question du seuil : à partir de quand considère-t-on être dans un désert médical ? Or, ce seuil ne peut être qu'arbitraire」(どの指標を採るにせよ閾値の問題が生じる。どこからが医療砂漠なのか。しかしこの閾値は恣意的でしかありえない)と述べている。一般医への潜在的アクセシビリティ(APL)の全国平均は年間4.11回、中央値4.07回で、閾値としては1、2、2.5、3の「四つが試された(quatre ont été testés)」。2.5を採ると人口の8.1%、3を採ると18.4%、2を採ると2.9%が sous-dense になる。また「L'APL ne tient pas compte à ce stade des différences d'état de santé de la population」(APLは現段階では住民の健康状態の差を考慮していない)と明記されている
- 17Arrêté du 9 mai 2025 relatif à la méthodologie applicable à la profession de médecin pour la détermination des zones prévues au 1° de l'article L. 1434-4 du code de la santé publiqueJournal officiel de la République française (Ministère du travail, de la santé, des solidarités et des familles) · 2025 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 現行のゾーニングは絶対閾値ではなく順位と人口枠で決まる。「Les territoires de vie-santé sont pré-classés par ordre croissant de leur niveau d'accessibilité potentielle localisée (APL) au médecin généraliste」(生活・保健圏域は一般医への潜在的アクセシビリティの水準が低い順にあらかじめ並べられる)と定め、地域ごとの人口割当の範囲で上から順にZIP・ZACに分類する。パリ・リヨン・マルセイユの各区は「constituent des territoires de vie-santé à part entière」としてそれ自体が一つの圏域とされ、都市政策優先地区(QPV)は所属圏域全体を分類せずに単独で指定できるが、その人口合計は地域人口の5%を超えられない
- 18Le développement des maisons et pôles de santé — L'accessibilité potentielle localisée : une nouvelle mesure de l'accessibilité aux médecins généralistes libéraux (Document de travail, Série Études et Recherche n°124)DREES / IRDES · 2012 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: APLの距離減衰関数のパラメータは、実際の受診の流れに当てはめて決められている。「Le paramétrage de la fonction est réalisé en le calant sur les flux réels de recours au médecin généraliste」(関数のパラメータ設定は、一般医への実際の受診フローに合わせて行われる)とし、決定係数が最良となる値として β=0.68、α=−0.6 を採り、y = 2,18 exp(−0,6 d^0,68) という形を得ている。健康アウトカムは用いられていない
- 19Designation of Medically Underserved Areas (40 FR 40316)U.S. Department of Health, Education, and Welfare, Federal Register 40:40316(1975年9月2日) · 1975 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: Index of Medical Underservice のカットオフ値について「When the IMU was computed for all U.S. counties, it was found that the median county score was 62, therefore 62 was chosen as the cut-off point between underserved and adequately served areas」(全米の郡についてIMUを計算したところ郡の中央値が62であることが分かった。したがって62が、医療過少地域と十分に医療が供給されている地域とを分ける線として選ばれた)と記されている。また指標そのものについて「While none of the indicators actually measures medical underservice directly, each indicator correlates with or predicts a dimension of underservice」(どの指標も医療過少そのものを直接測ってはいないが、それぞれが過少さのある側面と相関または予測する)と述べている
- 2042 CFR Part 5 — Designation of Health Professional(s) Shortage Areas, Appendix AU.S. Code of Federal Regulations · 2023 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: プライマリケアの地理的不足地域の要件として「The area has population to full-time-equivalent primary care physician ratio of at least 3,500:1」、および3,000:1超3,500:1未満で特別な需要がある場合を定める。隣接地域の要件は「in excess of 2000:1」と「more than 30 minutes travel time」。歯科は5,000:1、精神保健は6,000:1(精神科医は20,000:1)。この比率はCFRに成文化されているが、Index of Medical Underserviceの重みとカットオフ値62.0はCFRに現れない
- 21Health Care Shortage Areas: Designations Not a Useful Tool for Directing Resources to the Underserved (GAO/HEHS-95-200)U.S. General Accounting Office · 1995 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 「The methodology (using the Index of Medical Underservice, or IMU) is questionable because it was not based on a clearly defined concept of medical underservice. Moreover, the methodology (including four factors, formula, weights, and cutoff point) was developed by consensus of expert judgment, with limited empirical testing」(この方法論は、医療過少という明確に定義された概念に基づいていないため疑問がある。さらにこの方法論は、四つの要因・式・重み・カットオフ値を含めて、限られた実証的検証のもと専門家の合議によって作られた)と述べ、その手続きに「delphi procedures」が含まれたと記す。また「it was impossible to evaluate whether additional personal health services produced more benefits at MUA sites than at non-MUA sites」「Subsequent evaluations of the model, however, found little significant difference in the availability of health services between areas that were designated as MUAs and areas that were not」と結論している
- 22Who should receive recruitment and retention incentives? Improved targeting of rural doctors using medical workforce dataAustralian Journal of Rural Health 20(1):3-10 (Humphreys JS, McGrail MR, Joyce CM, Scott A, Kalb G) · 2012 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 全国調査 Medicine in Australia: Balancing Employment and Life の一般医3,636人の地理符号付きデータを用い、「four professional indicators (total hours worked, public hospital work, on call after-hours and difficulty taking time off) and two non-professional indicators (partner employment and schooling opportunities)」の統計的変動を検討して「Four distinct homogeneous population size groups were identified (0-5000, 5001-15,000, 15,001-50,000 and >50,000)」と報告している。地理的遠隔性も六つの指標すべてと有意に関連したが「population size provided a more sensitive measure in directing where recruitment and retention incentives should be provided」とされた。結論は「based on the attractiveness of non-metropolitan communities, both professionally and non-professionally, as places to work and live」と述べられており、アウトカム変数は医師にとっての勤務・生活条件である。この四区分が現行 Modified Monash Model の人口区切りの由来にあたる
- 23Review of the Distribution Priority Area Classification SystemAustralian Government Department of Health · 2022 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: DPA の判定基準について「The benchmark is the average level of patient Medicare expenditure across all MM2 areas in Australia」と説明した上で、「The review was unable to find a rationale for why this benchmark is used and notes that a national average benchmark is used for the Bonded Medical Program」(この検証は、なぜこのベンチマークが用いられているのかの根拠を見つけることができなかった)と明記している。また「the impact of their MMM classification on access to programs, incentives and support has not been evaluated」「Very few stakeholders interviewed as part of this review said they understood the calculations used in the measure」と述べる。全国829のGPキャッチメントのうち565(69%)がDPAに該当する
- 24Measuring Rurality — RIO2008_BASIC: Methodology and ResultsOntario Medical Association (Kralj B) · 2009 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: オンタリオ州の地方度指数RIOは、人口(28.6%)と2種類の移動時間(47.6%、23.8%)の加重和で、いずれも州の中央値との相対で定義される(移動時間の中央値49.4分・101.4分、人口の中央値6,825人、人口密度の中央値22.6人/km²)。「most factors are a relative measure to the provincial median」と明記されている。指標を作る理由として挙げられているのは患者の健康ではなく医師の側の事情で、「Distance to referral centres is an important element which impacts scope of medical practice, levels of responsibility and on-call, as well as professional and social isolation of practitioners and their families」とされ、目的は「policies and incentives aimed at physician recruitment and retention」である
- 25Index of Remoteness: Estimates and Methodology (Catalogue no. 11-633-X2020002)Statistics Canada (Subedi R, Roshanafshar S, Greenberg TL) · 2020 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 遠隔度指数は各人口中心までの移動コストで重み付けした人口集積で定義され、上限は36.00ドル——「the cost of traveling 150 minutes (2.5 hours) on the main road/ferry network」——に置かれる。この上限を採った理由は日常的な往来が可能な範囲であること(permits for daily interaction)であり、健康アウトカムではない。5区分の切り方は手動法で、選定基準は「balanced population and census subdivision distribution across categories」とされている。回避可能死亡率との勾配は、この区分を決めた後に別途測定された
- 26Rural Retention Program (RRP) PolicyBritish Columbia Ministry of Health · 2025 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 医療的孤立度の点数表は、70km圏内の専門科数、35km圏内の家庭医数、コミュニティ規模、主要医療都市からの距離(最初の70km、以降35kmごと)、北緯52〜53度で20点・53度超で30点、バンクーバーからの空路距離による0.10〜0.25の乗数、フェリー地域は水上距離を8倍する、といった数値で構成される。目的は「to enhance the supply and stability of physician services」「addressing some of the unique and difficult circumstances faced by physicians」と述べられており、18ページの政策文書中にこれらの数値の導出に関する記述は無い
- 27Responstider for ambulanser og pasientutfallFolkehelseinstituttet (ノルウェー公衆衛生研究所) · 2022 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 救急車の応答時間基準(人口密集地で12分以内90%、過疎地で25分以内90%)について「Dagens responstidskrav er veiledande」(現行の応答時間要件は勧告的である)とし、「ikke en garanti til den enkelte pasient, men et løfte om en standard på tjenester」と位置づける。主要な結論は「Betydningen av responstid for pasientutfallet er ikke godt dokumentert」(応答時間が患者アウトカムに対して持つ意義は十分に documented されていない)、「Vi har ikke funnet noe som tyder på at det er en klar sammenheng mellom responstid og overlevelse i de dataene vi har hatt tilgang på」(我々が利用できたデータの中に、応答時間と生存の間に明確な関連があることを示すものは見つからなかった)である。30日生存率は最も待機時間が短かった患者で最も低かった。ただし同報告は「Kunnskapsgrunnlaget for viktigheten av rask utrykning er godt dokumentert for enkelte akutte tilstander som hjerteinfarkt. Det er imidlertid ikke mulig å utpeke ambulansers responstid som avgjørende」(迅速な出動の重要性に関する知識基盤は、心筋梗塞など一部の急性病態については十分に documented されている。ただし救急車の応答時間を決定的な要因として特定することはできない)とも述べている
- 28Uppdrag att möjliggöra bättre tillgång till hälso- och sjukvård i hela landet genom främjande av etablering i glesbygd (Ds 2023:23)Socialdepartementet (スウェーデン社会省) · 2023 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 過疎地の区分(人口5万人以上の集積まで45分未満の住民が50%以上、平均移動時間90分超)は、OECDとEurostatの作業を発展させたもので「underlättar därmed internationella jämförelser」(それにより国際比較が容易になる)と説明されている。医療機関までの距離基準20kmについては、薬局の基準からの類推であること、「då detta mått är objektivt och lätt att mäta」(この尺度が客観的で測りやすいため)、そして「Vilken tolkning som väljs handlar primärt om en avvägning mellan hur många vårdmottagningar som man önskar stötta och hur stort stöd som ska utgå」(どの解釈を選ぶかは、主に何か所の医療機関を支援したいかと支援額との兼ね合いの問題である)と明記されている。同文書は過疎地の法的定義を設けることを提案していない
- 29Hoitotakuun toteuttaminen perusterveydenhuollon avosairaanhoidossa ja suun terveydenhuollossa (ohjekirje 14.7.2023)Sosiaali- ja terveysministeriö (フィンランド社会保健省) · 2023 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 2023年9月1日以降、基礎保健医療の外来診療には14日以内、口腔保健には4か月以内にアクセスできなければならないと定める。医師以外の専門職を受診した場合、必要なら7日以内に医師の診察に至らなければならない。距離については、社会保健サービス組織法4条がサービスを利用者の近くで提供することを求めており「on sijaittava kohtuollisen välimatkan päässä. Enimmäisvälimatkaa ei ole määritetty」(合理的な距離内に位置していなければならない。最大距離は定められていない)と記されている
- 30Richtlinie des Gemeinsamen Bundesausschusses über die Bedarfsplanung sowie die Maßstäbe zur Feststellung von Überversorgung und Unterversorgung in der vertragsärztlichen VersorgungGemeinsamer Bundesausschuss (G-BA) · 2019 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: Anlage 5 §1(1)に「Ausgangspunkt für die Ermittlung der Basis-Verhältniszahlen bilden die Arzt- und Einwohnerzahlen zum Stichtag der Einführung der Bedarfsplanung in der jeweiligen Arztgruppe」(基準比率を算出する出発点は、当該医師グループについて需要計画が導入された基準日時点の医師数と住民数である)と規定されている。家庭医の一般比率は1対1,609(基準値1,671に罹病率係数0.96325を乗じたもの)。§29は、家庭医の供給が需要を25%超下回る場合、専門医の供給が50%超下回る場合を Unterversorgung と定義し、110%以上を Überversorgung とする
- 31After 50 Years, Health Professional Shortage Areas Had No Significant Impact On Mortality Or Physician DensityHealth Affairs, 42(11):1507-1516 · 2023 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 1970〜2018年の約50年間で、HPSA指定は死亡率・医師密度のいずれにも統計的に有意な変化をもたらさなかったと報告している。HPSA指定を受けた郡の73%は10年以上経っても不足地域のままであり、著者らはこれを制度設計・インセンティブ構造の不備によるものと解釈している(測定そのものの欠陥とは必ずしも結論づけていない)
- 32The impacts of shortage area designations on mortalityContemporary Economic Policy, 44(1):90-104 · 2026 · accessed 2026-08-27裏付けた主張: 傾向スコアマッチングを用いた分析で、HPSA指定は全死亡率の3%減少、がん死亡率の6%減少、脳卒中死亡率の13%減少と関連しており、不足地域の指定という政策手段自体には実際の健康アウトカム改善効果があったと報告している
- 33Perusterveydenhuollon kiireettömään hoitoon pääsyn enimmäisajat pitenevät vuoden 2025 alusta lukienSosiaali- ja terveysministeriö (フィンランド社会保健省) 報道発表 2024年12月19日 · 2024 · accessed 2026-09-01裏付けた主張: 「Perusterveydenhuollon avosairaanhoidossa hoitotakuu on jatkossa 3 kuukautta ja suun terveydenhuollossa 6 kuukautta」(基礎保健医療の外来診療の治療保証は今後3か月、口腔保健は6か月となる)とし、「Muutokset eivät koske alle 23-vuotiaita」(この変更は23歳未満には適用されない)と明記する。すなわち23歳未満は従来の14日・4か月が維持される。「Tasavallan presidentti vahvisti lait 19. joulukuuta, ja ne tulevat voimaan 1. tammikuuta 2025」とあり、2025年1月1日施行。健康法51a条・51b条の改正による。ただし社会保健省の現行の解説ページ(https://stm.fi/hoitotakuu 、2026年5月13日更新)は「Hoitoon on päästävä viimeistään kolmessa kuukaudessa. Alle 23-vuotiaiden on kuitenkin päästävä hoitoon viimeistään 14 vuorokaudessa, jos kyse on sairauden tai vamman tutkimuksesta tai hoidosta」「Suun terveydenhuollossa alle 23-vuotiaiden on päästävä hoitoon viimeistään kolmessa kuukaudessa ja tätä vanhempien viimeistään kuudessa kuukaudessa」と記しており、23歳未満の口腔保健は4か月ではなく3か月である。すなわち現行は、外来が23歳以上3か月・23歳未満14日、口腔保健が23歳以上6か月・23歳未満3か月。あわせて国会は、政府に対し「hoitosuhteen jatkuvuutta ottamalla käyttöön omalääkäri- ja omahoitajamalli tai perhelääkärimalli」(自己医師・自己看護師モデルまたは家庭医モデルの導入により診療関係の継続性を強化すること)を求める附帯決議を付している
関連記事 RELATED
この記事が踏まえた記事
地域を分母にする、と言うとき、何が分母になっているのかこの列の第1回。日本が「地域を分母にする」試みを重ねてきたこと、その分母の多くが制度の名簿だったことを見た。無医地区は、その名簿の中でも最も古いものの一つである閾値は、どこから来たのかこの列の第2回。腹囲85cmやHbA1c 6.5%の来歴を辿り、「閾値をアウトカムに固定できるのは対象を絞ったときだけ」という形を得た。本稿はその形が地理の線でも成り立つかを、9か国18件の国際比較で確かめる医師偏在指標は、何を測れていないのか医師偏在指標の設計を検証した回。本稿の第5節は、その指標が都市部の内側に作る空白を、無医地区の空白と重ねて見る受診しない人は、どれだけいるのか受診しない人を扱った回。空間アクセス(診療所までの距離)を最初に取り上げた記事であり、本稿はその指標が徒歩を前提にすると何が変わるかを見る