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前提を疑う01 医療費と財源/JAPAN

情報は集められているのに、なぜ統計にならないのか

行政はすでに情報を集めている。医療法人の関係事業者取引も、全国的な電子収集の対象に入っている。それでも統計にならないのは、収集と分析可能性のあいだに、構造化・品質管理・連結・利用権限という別の制度設計が要るからである。全国収集・全国統計・全国横断検索・個票の一般公開を分けたうえで、政治資金・産業廃棄物・古物商の同型事例、MCDBの検討過程の一次資料、社会福祉法人との対照を検証する。欠けているのは最後の一手間ではなく、data governance である。「前提を疑う」シリーズ第10回。

公開2026-08-15
更新2026-09-01
出典22 SOURCES

ダイジェスト解説 VIDEO

前回の記事で、医療法人による関連当事者(MS法人)との取引を開示する法的義務は、社会医療法人などの一部に限らずほぼすべての医療法人に及んでいると書いた。そのうえで「それを全国規模で集計する仕組みがどこにも存在しない」と続けたが、この前提は2026年現在では正確でない※訂正。

医療法人経営情報データベース(MCDB)の操作説明書は、システムが受け取る「事業報告書等」をこう定義している1。

6 事業報告書等 医療法人の事業報告書の他、財産目録、貸借対照表、損益計算書、監事監査報告書、関係事業者との取引の状況に関する報告書

関係事業者報告は、既に全国的な電子収集の対象に入っている。令和7年度から、事業報告書等と経営情報等の報告はG-MISからWAMが構築する新システムへ移り、収集は一元化された。

では何が無いのか。同じ操作説明書の次の項目が、それを示している。

7 経営情報等 病院・診療所単位の「経営状況に関する情報(収益及び費用)」、「職種別給与総額及びその人数に関する情報」

構造化され、分析の対象として定義されているのは、収益・費用と職種別給与である。関係事業者取引は、そこに入っていない。

つまり空白はこう言い直せる。

集める基盤は、既に作られた。だがそこに届いた関係事業者取引を、項目単位で構造化し、全国集計・分析できる形で使っている形跡が無い。

「集めていない」より、「集める基盤まで作ったのに、統計にしていない」のほうが問題として重い。この空白は、医療費の増大が質の向上につながっているかを検証した回で見つけた「施設別の治療アウトカム指標が公開されていない」という測定インフラの欠如と、よく似た形をしている。この記事では、この構造が医療分野に限った話なのか、そしてもし開示義務が既に存在するなら、それを集計する作業自体は本来コストが低いはずなのに、なぜ実現しないのかを検証する。「前提を疑う」シリーズ第10回。

この構造は、医療分野だけではない

他分野を見る前に、「空白」を四つに分けておきたい※追記。この記事は当初これらを一括して「集計されない」と呼んでいたが、別の問題である。

内容
A全国的に収集されていない
B全国統計が無い
C全国横断検索ができない
D個票が一般公開されていない

分けて見ると、他分野の事例はそれぞれ違う場所に立っている。

政治資金は、いまCにあたる。総務省(国会議員分)または都道府県選挙管理委員会(地方政治家分)に提出されるが、全国を横断して検索できる公式データベースは無い。民間の一個人がOCRで報告書を独自にデータベース化し、2025年4月に公開した2。そして制度は動き出している※訂正——国会議員関係政治団体等について2027年1月からオンライン提出が義務化され、検索可能なデータベースは2028年4月までに提供が開始される予定である。地方政治家を含む全国すべての政治団体の統一データベースが2027年に完成するわけではない。

産業廃棄物は、Bではない※訂正。環境省自身が全国の許可件数(2026年4月時点で248,458件)という集計値を公表している3。つまり統計にはなっている。無いのはCで、環境省が運営していた全国検索システムは2022年6月に休止され、後継の検索機能は民間主体の財団法人に事実上移管された4。この記事の当初の枠組みでは、産廃を「情報はあるのに統計にならない」事例として挙げていたが、それは誤りだった。

古物商についても、条文の読み方を訂正する※訂正。古物営業法第8条の2は、すべての古物商の名簿公開を義務づける規定ではない。条文はこうである5。

公安委員会は、第五条第一項第六号に規定する方法を用いる古物商(……「特定古物商」という。)について、次に掲げる事項を……公衆の閲覧に供するものとする。 一 氏名又は名称 二 第五条第一項第六号に規定する文字、番号、記号その他の符号 三 許可証の番号

対象はインターネット等を用いて取引する古物商に限られ、公開されるのは氏名・URL等の符号・許可証番号の三項目である。「47都道府県が全古物商を個別にオンライン公開している」とは言えない。

これら3つの事例に共通するのは、都道府県が個々の届出の法定受理者になっている一方、それを全国規模で集計する義務を負う国の機関が存在しないという構造である。ただし、これは「都道府県単位の許可だから全国集計は技術的に不可能」ということではない。建設業者・宅地建物取引業者については、国土交通大臣許可・都道府県知事許可の両方を横断して検索できるシステムが2008年から実際に稼働しており(新規許可の反映に約1か月のタイムラグがあるといった限界はある)、都道府県単位の許可権限であっても全国集計は可能であることを示している6。

「一つの窓口があるように見えて、実は集計されていない」という中間的な形態もある。介護サービス情報公表システムは、2006年から全国共通の入口として運用されているが、実際にはトップページで都道府県を選ぶと、各都道府県が個別に運営する47の別システムへ転送される構造になっている。ただし、画面が分かれていることから、背後のデータ基盤が分散していると推論することはできない※訂正。共通仕様や中央集約用のデータが存在する可能性は残る。本稿が確認できたのは、利用者向けの検索が都道府県単位に分かれており、全国一括検索になっていない(つまり上の分類でC)というところまでである7。

一方で、実現できている例もある。社会福祉法人の現況報告書については、2016年の社会福祉法改正(2017年4月施行)以降、独立行政法人福祉医療機構(WAM)が運営する真に全国統一されたデータベースが稼働しており、都道府県知事等に提出された報告書は7〜10日程度でこのシステムに反映される8。このWAMこそが、前回の記事で扱ったMCDB(医療法人の経営情報データベース)の運営元でもある——同じ組織が、隣接する分野では既に全国集約を実現している。つまりこの空白は、技術的な不可能性の問題ではなく、制度設計上の優先順位の問題だということになる。

なぜ集計されないのか——構造的な理由

日本学術会議は2020年の提言で、政府の2017年調査を引用し、各省庁が所管する法定手続きは57,688件、そこから生じるデータセットは39,219件あるのに、構造化されたデータベースとして管理されているのはわずか8,738件にとどまると指摘している9。経団連も2021年の提言で、個別に収集された行政記録情報が統計に活用されない構造的な要因として、(1)省庁横断的な連携用ID(符号)が整備されていないこと、(2)提出者の同意要件、(3)個別法による情報提供上の制約——つまりデータの利用目的がその法律自身の範囲に限定されていること——の3点を挙げている10。医療法51条・52条の関係事業者報告も、その法律(医療法54条の剰余金配当禁止)を実効あらしめるための個別の仕組みとして設計されており、統計として全国集計することは、そもそも制度設計の射程に入っていなかった可能性がある。

MCDBの検討過程は、関係事業者報告を「検討して除外した」わけではなかった

この可能性を、MCDBの実際の検討過程で確かめることができる。2022年の検討会の第1回資料は、現行の医療法52条1項の届出事項(損益計算書、関係事業者との取引の状況に関する報告書、監査報告書等)と、新たな経営情報データベースの検討対象項目案とを並べた比較表を示している。ところがこの検討対象項目案には、関係事業者との取引に関する項目が一切含まれていない11。第1回検討会で出た意見を整理した第2回資料を見ても、事業報告書等との関係、対象法人、収集する経営情報、公表方法など複数の論点が記録されている一方、関係事業者との取引について言及した意見は一件も記録されていない12。最終報告書は、対象を損益計算書の特定の科目に限定し、貸借対照表の情報は新制度の対象とせず、「法人の負担に対する配慮」を理由に既存の事業報告書等を活用すべきとしている13。

つまり、関係事業者報告は検討会の視界に入っていた(比較表の左側に載っていた)にもかかわらず、新しい経営情報データベースの項目設計には入らなかった。

ただし「一度も俎上に上がらなかった」とまでは断定できない※訂正。「主な御意見」は逐語録ではない。言えるのは、公開された検討資料と主な意見の範囲では、関係事業者取引を新データベースの独立した収集・分析項目とする議論を確認できなかった、というところまでである。

また検討会の枠組みを「損益計算書のどの科目を移行するか」に限定して描いたのも、狭すぎた※訂正。同検討会は施設単位収支、職種別給与、事業報告書との関係、貸借対照表、第三者提供、政策活用なども議論している。より正確には、検討の中心が施設単位の収益・費用・給与等に置かれ、既存の関係事業者報告を構造化して政策分析へ転用するという論点は、公開資料上では前面に出なかったということである。

業界側が、開示の拡大に抵抗している場面もある

この空白が今後も続くかどうかを占う、現在進行形の動きもある。2026年5月、MCDBの情報を第三者(研究者等)に提供する制度を検討する専門委員会で、経済学者側の委員が「医療機関の(施設単位などの)損益計算書は本来一般公開してもおかしくないもの」と主張したのに対し、医師会側の委員は「(損益計算書は)個人情報と変わらない」と反論し、意見が割れたと報じられている14。2013年の国会答弁で厚労省自身がMS法人による利益移転の構造を認めてから10年以上が経つが、開示範囲をめぐる対立そのものは、今もなお続いているということである。

集約のコストは、実は低い——デンマークと日本政府自身の試算

もし関係当事者取引の開示義務が既に広く存在するなら、それを全国集計する作業自体のコストはどの程度なのか。デンマーク統計局は、税務・VAT・中央企業登録簿・個人ID登録など、既に別の行政目的で収集されている行政記録情報に法律上無償でアクセスできる権限を持ち、新たな個別報告を課すことなく統計基盤を構築している15。デンマーク政府自身の検証では、住所データの公開による2005〜2009年の直接的な経済便益は6,200万ユーロで、事業費用はわずか200万ユーロだったと算定されている16。

興味深いことに、この「低コスト・高リターン」という論理は、日本政府自身が既に採用しているものでもある。日本の政府CIO上席補佐官は、デンマークのベース・レジストリ整備事例を投資対効果の根拠として引用し、改革を行わない場合の15年間の業務コストを1,664億円と見積もった上で、98億円の投資により業務コストを445億円に抑制でき、投資回収期間は1年強、15年間の投資対効果は12.5倍になったと紹介している17。OECDのデジタル・ガバメント指数(2023年)では、日本は評価対象33か国・地域中31位で、特に「データ駆動型の公共部門」という指標では0.525とOECD平均(0.633)を下回り、デンマーク(0.833)にも英国(0.598)にも及ばない18。ただしこの指数の評価データは主に2020〜2022年のものであり、現在の日本を表す数字として読むべきではない※訂正。その後、デジタル庁の設置、ベース・レジストリの整備、2026年3月の法人ベース・レジストリ開始と、状況は動いている。

もっとも、集約のコストが低いからといって、制度全体のコストが低いとは限らない。英国のPeople with Significant Control(実質的支配者)登録制度では、政府側のIT整備・運用コストは初期7.2〜11.2万ポンド、年間維持費22.5万ポンドと小さかった一方、企業側のデータ整備・報告コストは初年度4億5,890万ポンド、以降年間6,700万ポンドと算定されている——集約する政府側のコストは小さいが、元データを揃える企業側のコストは大きいという非対称性である19。ただし、この英国の数字を日本の事例にそのまま持ち込むことはできない※訂正。PSC制度は、実質的支配者という新しい情報を企業がゼロから調査・管理する制度を導入した費用である。日本の既存の関連当事者報告とは、データモデルも制度も違う。ここから言えるのは一般論として、中央のシステム費用より報告者側の制度対応費用のほうが大きくなりうる、というところまでである。

そして「残っているのは集約するだけ」という書き方も、正確ではない※訂正。作成済みのPDFやExcelを法人が持っていることと、全国統計に使える構造化された清浄なデータが存在することは、別である。統計にするにはフォーマットの統一、検証、名寄せ、重複処理、過年度の連結、未提出の扱い、匿名化、品質保証が要る。MCDB自身も2026年の委員会で、決算後のデータクリーニングにかなりの時間を要すると説明している。

なお英国の登録制度は2016年6月から企業の届出が始まり、同年6月30日には無料で誰でも検索できる形で公開された20。ただし法制度とCompanies Houseのシステム開発はそれ以前から準備されており、「1か月で作れた」という構築の容易さの証拠にはならない※訂正。

なお、全国集約されたデータベースを作れば論争が終わるとは限らない点にも触れておきたい。EUの実質的支配者登録簿をめぐっては、欧州司法裁判所が2022年、無条件の一般公開アクセスはプライバシー・個人データ保護に対する不均衡な干渉にあたるとして、無条件の一般公開を義務づける規定を無効とした21※訂正。(裁判所が「正当な利益を示せる者に限れ」と制度設計を命じたわけではない。その後、アクセス範囲をどう再設計するかが政策課題になった、というのが正確である。)集約のインフラを作ることと、それを誰にどこまで公開するかは、別の論点として残り続ける。

最後に、日本自身の動きとして付け加えておきたい事実がある。日本の法人ベース・レジストリは、この記事を書いている時点のわずか数か月前、2026年3月24日に稼働を開始したばかりである。添付書類省略・申請項目の自動入力・変更届出省略・登記事項証明書の代替という4つの活用場面だけで、5年間累計約448億円の便益を見込んでいる22。日本にも、行政記録情報を集約・活用する技術的・制度的な基盤は、今まさに整いつつある。それが医療法人の関係当事者取引にまで及ぶかどうかは、また別の話である。

前回の記事で見つけた空白——開示義務は広く存在するのに、全国集計する仕組みがどこにもない——は、医療分野に固有の欠陥ではなかった。政治資金、産業廃棄物、古物商と、同じ構造が繰り返し見つかった。都道府県が個々の届出の法定受理者になっている一方、それを全国規模で集計する義務を負う国の機関が存在しない——複数の行政分野に繰り返し見られるパターンである※訂正。(「日本の行政法に共通する設計上の特徴」と呼ぶには、この記事が示した反例——建設業・宅建の全国横断検索、社会福祉法人の全国集計、法人ベース・レジストリ——のほうが多すぎる。)日本学術会議や経団連が指摘する通り、省庁横断的なID連携の欠如と、個々の法律がその法律自身の目的のためだけにデータの利用範囲を限定してきたことが、この空白を生んでいる。

ただし、MCDBの検討過程を実際に確認して分かったのは、この空白が必ずしも「検討した上で意図的に維持された」ものではないということだった。関係事業者報告は検討会の比較表に載っており、委員の視界には入っていたはずである。それでも一度も検討対象として俎上に上らなかったのは、「損益計算書のどの科目を移行するか」という検討の枠組み自体が、最初から関係当事者取引という異なる種類の情報を想定していなかったからだった。これは、意図的な情報隠蔽というより、検討の射程を狭く設定したことの副作用に近い。この違いは重要だと思う。一度下された政策判断を覆すよりも、まだ検討されていない論点を新たに俎上に載せる方が、はるかに容易なはずだからである。

もっとも、この空白がいつまでも「単なる見落とし」のままだとも思わない。2026年5月の専門委員会では、施設単位の損益計算書の扱いをめぐって見解が分かれた※訂正。研究利用を広げたい立場がある一方、一人医療法人や少人数の施設では、法人情報や職種別給与から個人が識別されやすいという懸念が示されている。これを「開示拡大への抵抗」と要約するのは、意図を読み込みすぎである。争点は「集計・研究利用と、法人・個人の識別リスクをどう両立させるか」だった。なおこの論争の中心はMCDBに入った施設単位の経営情報を研究者へどう第三者提供するかであり、本稿が問うている関係事業者取引の全国集計とは、隣接するが別の論点である。2013年の国会答弁で厚労省自身がこの構造を認めてから10年以上が経ち、検討の機会も何度かあった中で、それでも埋まっていない空白は、もはや単純な見落としでは説明しきれない部分もあるはずだ。

それでも、この検証を通じて分かった最も重要なことは、この空白を埋めるコストが、決して高くはないだろうということである。デンマークの実例が示す12.5倍という投資対効果は、日本政府自身のベース・レジストリ整備の根拠として既に採用されている。ただし「低コストであることが証明された」とまでは言えない※訂正。デンマークのベース・レジストリも日本の法人ベース・レジストリも、商号・住所・代表者といった標準化しやすい基本情報である。関係事業者報告は、法人名・相手方・関係・取引内容・金額・科目・期末残高・取引条件の自由記述を含み、クリーニングと名寄せと関連会社の同定が要る。言えるのは、新規に一次情報を集める制度よりは追加コストを抑えられる可能性が高い、というところまでである。

そのうえで、対照例は強い。WAMは医療法人のMCDBを運営するのと同じ組織でありながら、社会福祉法人については21,086法人を対象に、個別検索だけでなく所在地別・所轄庁別・収益規模別の全国集計まで公表している。同じ基盤の上で、一方は統計になり、他方はなっていない。そして日本の法人ベース・レジストリという、まさにこの種の統合を可能にする基盤は、この記事を書いているまさに数か月前に稼働を始めたばかりである。

このシリーズが繰り返し見つけてきた「測定インフラの欠如」——施設別アウトカム指標、前回の関係事業者取引の集計——は、単に「データがない」という話ではなかった。多くの場合、データそのものは既に個別に存在している。そして欠けているのは、「集める最後の一手間」ではない※訂正。医療法人については、集めるところまでは既にできている。欠けているのは、行政監督のために提出された文書を、分析に耐える構造化データへ変換し、誰がどの条件で再利用できるかを決める工程である。

これは一手間ではなく、data governance の問題である。

訂正 CORRECTIONS

公開後に直したこと。本文は直したうえで、何をどう変えたかをここに残している。本文中の※ が、直した箇所を指す。

  1. 訂正2022年の欧州司法裁判所判決について「『正当な利益』を示せる者に公開範囲を限定するよう差し戻した」と書いていたのを訂正した2026-09-01 · cjeu裁判所が無効としたのは無条件の一般公開を義務づける規定である。アクセス範囲をどう再設計するかを制度として命じたわけではなく、その後それが政策課題になった、というのが正確である
  2. 訂正「集約のコストは低い」「残っているのは集約するだけの相対的に軽い作業」という結論を弱めた2026-09-01 · costデンマークと日本のベース・レジストリは商号・住所・代表者といった標準化しやすい基本情報である。関係事業者報告は法人名・相手方・関係・取引内容・金額・科目・期末残高・取引条件の自由記述を含み、クリーニングと名寄せと関連会社の同定が要る。新規に一次情報を集める制度よりは追加コストを抑えられる可能性が高い、というところまでに限定した
  3. 訂正結論の「欠けているのは、それを集める最後の一手間である」を訂正した2026-09-01 · data-governance医療法人については集めるところまでは既にできている。欠けているのは、行政監督のために提出された文書を分析に耐える構造化データへ変換し、誰がどの条件で再利用できるかを決める工程であり、これは一手間ではなく data governance の問題である。記事の中心命題をこの形に組み替えた
  4. 訂正OECDデジタル・ガバメント指数2023を現在の日本を表す数字として「国際的に見ても後れを取っている」と断定していたのを訂正した2026-09-01 · dgi同指数の評価データは主に2020〜2022年のものである。その後デジタル庁の設置、ベース・レジストリの整備、2026年3月の法人ベース・レジストリ開始と状況は動いている
  5. 訂正「日本の行政法に共通する設計上の特徴である」という一般化を訂正した2026-09-01 · gyouseihou記事自身が反例として建設業・宅建の全国横断検索、社会福祉法人の全国集計、法人ベース・レジストリを挙げている。複数の行政分野に繰り返し見られるパターン、までが妥当である
  6. 訂正介護サービス情報公表システムについて、画面が都道府県ごとに分かれていることから「データ基盤は都道府県ごとに分散したまま」と推論していたのを訂正した2026-09-01 · kaigo-backendフロントエンドの分散はバックエンドの分散を意味しない。共通仕様や中央集約用データが存在する可能性がある。利用者向け検索が都道府県単位に分かれており全国一括検索になっていない、というところまでに限定した
  7. 訂正検討会の枠組みを「損益計算書のどの科目を移行するか」に限定して描いていたのを訂正した2026-09-01 · kentoukai-waku同検討会は施設単位収支、職種別給与、事業報告書との関係、貸借対照表、第三者提供、政策活用なども議論している。検討の中心が施設単位の収益・費用・給与等に置かれ、既存の関係事業者報告を構造化して政策分析へ転用する論点が公開資料上では前面に出なかった、という書き方に改めた
  8. 訂正古物営業法第8条の2が許可業者情報の公衆閲覧を義務づけていると書き、47都道府県が全古物商を個別に公開していると書いていたのを訂正した2026-09-01 · kobutsu条文の対象は「第五条第一項第六号に規定する方法を用いる古物商」すなわちインターネット等を用いて取引する特定古物商に限られ、公開項目も氏名又は名称・第五条第一項第六号に規定する符号・許可証の番号の三つである。すべての古物商の名簿公開義務ではない。e-Gov法令検索で条文を取得して確認した
  9. 追記「全国収集されない」「全国統計が無い」「全国横断検索ができない」「個票が一般公開されない」を一括して『集計されない』と扱っていたため、四つを分類する表を追加した2026-09-01 · kuuhaku-bunrui分けないと他分野との比較が成立しない。実際、産業廃棄物は全国統計が公表されている一方で全国横断検索が無いという、別の場所に立つ事例だった
  10. 訂正英国PSC制度の費用を日本の医療法人の事例にそのまま当てはめていたのを訂正した2026-09-01 · psc-hikakuPSC制度は実質的支配者という新しい情報を企業がゼロから調査・管理する制度の導入費用であり、日本の既存の関連当事者報告とはデータモデルも制度も違う。一般論として中央のシステム費用より報告者側の制度対応費用のほうが大きくなりうる、という比較に留めた
  11. 訂正英国PSC制度が「届出開始からわずか1か月足らずで集約・公開の仕組みが機能した」ことを構築の容易さの証拠として使っていたのを訂正した2026-09-01 · psc-ikkagetsu法制度とCompanies Houseのシステム開発はそれ以前から準備されている。1か月で作れたという読み方はできない
  12. 訂正「一次データ収集コストは既に発生・負担済みであり、残っているのは集約する仕組みだけ」という記述を訂正した2026-09-01 · saigo-hitotema作成済みのPDFやExcelを法人が持っていることと、全国統計に使える構造化された清浄なデータが存在することは別である。フォーマット統一、検証、名寄せ、重複処理、過年度の連結、未提出の扱い、匿名化、品質保証が要る。MCDB自身も2026年の委員会でデータクリーニングにかなりの時間を要すると説明している
  13. 訂正産業廃棄物を「情報はあるのに統計にならない」事例として挙げていたのを訂正した2026-09-01 · sanpai環境省自身が全国の許可件数(2026年4月時点で248,458件)という集計値を公表しており、統計にはなっている。無いのは全国横断検索のほうである
  14. 訂正政治資金について「政府がオンライン提出・ネット公表を義務化するのは2027年度から」と書いていたのを、対象と時期を限定する形に改めた2026-09-01 · seijishikin国会議員関係政治団体等について2027年1月からオンライン提出が義務化され、検索可能なデータベースは2028年4月までに提供開始とされている。地方政治家を含む全国すべての政治団体の統一データベースが2027年に完成するわけではない
  15. 訂正2026年5月の専門委員会を「医師会側が開示の拡大に明確に抵抗している」と要約していたのを訂正した2026-09-01 · senmoniinkai一人医療法人や少人数の施設では法人情報や職種別給与から個人が識別されやすいという懸念が示されており、争点は集計・研究利用と識別リスクの両立である。またこの論争の中心はMCDBに入った施設単位の経営情報の第三者提供であり、本稿が問う関係事業者取引の全国集計とは隣接するが別の論点である旨も明示した
  16. 訂正関係事業者報告が検討会で「一度も俎上に上がらなかった」と断定していたのを訂正した2026-09-01 · soujou「主な御意見」は逐語録ではないため、上がらなかったことの証明にはならない。公開された検討資料と主な意見の範囲では、関係事業者取引を新データベースの独立した収集・分析項目とする議論を確認できなかった、という書き方に改めた
  17. 訂正「関係事業者報告を全国規模で集計する仕組みがどこにも存在しない」という前提を訂正した。関係事業者報告は既に全国的な電子収集の対象に入っている2026-09-01 · zenkoku-shuushuu医療法人経営情報データベース(MCDB)の操作説明書は「事業報告書等」を「医療法人の事業報告書の他、財産目録、貸借対照表、損益計算書、監事監査報告書、関係事業者との取引の状況に関する報告書」と定義しており、令和7年度から報告はG-MISからWAMが構築する新システムへ移って一元化されている。一方、構造化された分析対象として定義される「経営情報等」は収益・費用と職種別給与総額であり、関係事業者取引は含まれない。空白を「集める基盤は既に作られたが、届いた関係事業者取引を項目単位で構造化し全国集計・分析できる形で使っている形跡が無い」に言い直した

出典 SOURCES

  1. 1医療法人経営情報データベースシステム操作説明書(医療法人向け)独立行政法人福祉医療機構(WAM) · 2026 · accessed 2026-08-31裏付けた主張: 全113頁。用語定義に「6 事業報告書等 医療法人の事業報告書の他、財産目録、貸借対照表、損益計算書、監事監査報告書、関係事業者との取引の状況に関する報告書」「7 経営情報等 病院・診療所単位の『経営状況に関する情報(収益及び費用)』、『職種別給与総額及びその人数に関する情報』」とある。すなわち関係事業者との取引の状況に関する報告書は、事業報告書等の一部として本システムを通じて全国的に収集されている。一方、構造化された分析対象として定義されている「経営情報等」は収益・費用と職種別給与総額であり、関係事業者取引は含まれていない。届出タイプは医療法人の形態によって6種類に分かれる
  2. 2政治家のおカネの「出入り」がカンタンに分かる——データベースをネットで公開東京新聞 · 2025 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 政治資金収支報告書は総務省(国会議員分)または都道府県選挙管理委員会(地方政治家分)に提出されるが、全国横断で検索できる公式データベースは存在しない。民間の一個人がOCRで報告書を独自にデータベース化し2025年4月に公開したが、政府自身がオンライン提出・ネット公表を義務化するのは2027年度からである
  3. 3産業廃棄物処理施設の設置、産業廃棄物処理業の許可等に関する状況について環境省 · 2026 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 2026年4月1日時点で全国の産業廃棄物処理業許可件数は248,458件と、集計値としての全国統計は環境省自身が公表しているが、個別の許可業者を検索できる全国データベースは政府が直接運営していない
  4. 4産業廃棄物処理業者の情報(システム休止のお知らせ)環境省 · 2022 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 環境省が運営していた産業廃棄物処理業者許可情報検索システムは2022年6月25日22時に休止され、後継の全国横断検索機能は公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団が運営する民間主体の「産廃情報ネット」に事実上移管された
  5. 6建設業者・宅建業者等企業情報検索システム国土交通省 · 2008 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 2008年6月23日の運用開始以来、国土交通大臣許可・都道府県知事許可の両方を横断して建設業者・宅地建物取引業者を全国検索できるシステムが実際に稼働している(新規許可の反映には約1か月のタイムラグがあるなどの限界はある)——都道府県単位の許可権限であっても全国集計が技術的に不可能ではないことを示す対照例
  6. 7介護サービス情報公表システム厚生労働省 · 2006 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 2006年4月から介護保険法に基づき運用されている全国共通の入口だが、実際にはトップページで都道府県を選択すると、各都道府県が個別に運営する47の別システムへ転送される構造になっており、法的な全国統一の枠組みを持ちながら実際のデータ基盤は都道府県ごとに分散したままである
  7. 8社会福祉法人の現況報告書等情報検索独立行政法人福祉医療機構(WAM) · 2017 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 社会福祉法59条の2第5項(2016年改正、2017年4月1日施行)に基づき、全国の社会福祉法人の現況報告書等を一つの検索窓口で公表する、真に全国統一されたデータベースが実際に稼働している。所轄庁(多くは都道府県知事)に提出された報告書は、7〜10日程度でこのシステムに反映される——医療法人のMCDBを運営するのと同じ独立行政法人が、別分野では全国集約を既に実現していることを示す
  8. 9提言 行政記録情報の活用に向けて日本学術会議 経済学委員会数量的経済・政策分析分科会 · 2020 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 政府の2017年「行政保有データの棚卸し」調査を引用し、各省庁が所管する法定の行政手続きは57,688件、そこから生じるデータセットは39,219件あるが、構造化されたデータベースとして管理されているのはわずか8,738件にとどまると指摘。「各国ともに行政記録情報の統計への活用はほとんど進んでいない」とし、デンマークのID連携型登録簿を対照モデルとして挙げている
  9. 10公的統計の改善に向けた提言——行政記録情報の利活用等に向けて一般社団法人日本経済団体連合会 · 2021 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 個別に収集された行政記録情報が統計に活用されない構造的な要因として、(1)省庁横断的な連携用ID(符号)が整備されていないこと、(2)提出者の同意要件、(3)個別法による情報提供上の制約(データの利用目的がその法律自身の範囲に限定されていること)の3点を明示している
  10. 11「医療法人の経営情報のデータベース」の在り方について(第1回検討会 資料2)医療法人の経営情報のデータベースの在り方に関する検討会 · 2022 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 現行の医療法52条1項の届出事項(損益計算書、関係事業者との取引の状況に関する報告書、監査報告書等)と、新たな経営情報データベースの検討対象項目案を並べた比較表を提示しているが、検討対象項目案には関係事業者との取引に関する項目が一切含まれていない
  11. 12前回検討会での主な御意見(第2回検討会 資料1)医療法人の経営情報のデータベースの在り方に関する検討会 · 2022 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 第1回検討会で委員から出た意見を項目別に整理した資料だが、事業報告書等との関係、対象法人、収集する経営情報、公表方法、第三者提供制度など複数の論点が記録されている一方、関係事業者との取引や関連当事者取引について言及した意見は一件も記録されていない
  12. 13「医療法人の経営情報のデータベース」の在り方に関する報告書医療法人の経営情報のデータベースの在り方に関する検討会 · 2022 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: MCDBの対象は損益計算書の特定の科目に限定し、貸借対照表の情報は新制度の対象とせず既存の事業報告書等を活用すべきとした。項目選定にあたっては「原則として医療法人が既に取得・収集している情報とする等の法人の負担に対する配慮が必要」とし、新制度は都道府県知事による監督・指導目的の事業報告書等とは「別制度にすべき」と整理している
  13. 14医療法人の経営情報は「個人」情報か否か、意見割れるm3.com(第1回医療法人の経営情報等の第三者提供に関する専門委員会の報道) · 2026 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 2026年5月22日の専門委員会で、経済学者側の委員が「医療機関の(施設単位などの)損益計算書は本来一般公開してもおかしくないもの」と主張したのに対し、医師会側の委員は「(損益計算書は)個人情報と変わらない」と反論し、意見が割れたと報じている
  14. 15Basic Data Programme in DenmarkStatistics Denmark(UNECE Wiesbaden Group会議発表資料) · 2016 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: デンマーク統計局は、税務・VAT・中央企業登録簿(CVR、1967年創設)・破産記録・個人ID登録(1965年から)など、既に別の行政目的で収集されている行政記録情報に法律上無償でアクセスできる権限を持ち、新たな個別報告を課すことなく統計基盤(SBR)を構築している
  15. 16Denmark's Open Address Data Set: Consolidating and Freeing-Up Address DataThe GovLab / Open Data's Impact · 2016 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: デンマーク政府による2010年の検証(2005〜2009年分)では、住所データの公開による直接的な経済便益は6,200万ユーロで、事業費用はわずか200万ユーロにとどまったと算定している
  16. 17ベース・レジストリとはなにか平本健二(政府CIO上席補佐官)、JIPDECイベント発表資料 · 2020 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 日本政府CIO上席補佐官自身が、デンマークのベース・レジストリ整備事例を投資対効果の根拠として引用している。改革を行わない場合の15年間の業務コストを1,664億円と見積もった上で、98億円の投資により業務コストを445億円に抑制でき、15年間で1,223億円の効果、投資回収期間は1年強、投資対効果は12.5倍になったとする。別途、デンマークの住所データベース事業(2003〜2010年)についても、280万ユーロの投資で7,700万ユーロの経済効果(27.5倍のリターン、利用の7割は民間)を得たと紹介している
  17. 182023 OECD Digital Government IndexOECD Public Governance Policy Papers · 2024 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 日本の総合スコアは0.483で、評価対象33か国・地域中31位。特に「データ駆動型の公共部門(Data-driven public sector)」という、政府がデータを戦略的資産として活用する基盤をどこまで整備しているかを測る指標では、日本は0.525とOECD平均の0.633を下回り、デンマーク(0.833)・エストニア(0.949)・韓国(1.000)は言うまでもなく、英国(0.598)にも及ばない
  18. 19Impact Assessment: The Small Business, Enterprise and Employment Act 2015 (Company Ownership) Regulations 2015Department for Business, Innovation and Skills(英国政府) · 2016 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 英国のPeople with Significant Control(実質的支配者)登録制度について、政府側のIT整備・運用コストは初期7.2〜11.2万ポンド、年間維持費22.5万ポンドと見積もられた一方、企業側のデータ整備・報告コストは初年度4億5,890万ポンド、以降年間6,700万ポンドと算定されている——集約する側の政府コストは小さいが、元データを揃える側の企業コストは大きいという非対称性を示す
  19. 20The new People with Significant Control registerCompanies House(英国政府) · 2016 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 英国のPSC登録制度は2016年6月から企業の届出が始まり、同年6月30日から無料で誰でも検索可能な形で公開されている
  20. 21Judgment of the Court (Grand Chamber), Joined Cases C-37/20 and C-601/20欧州司法裁判所(CJEU) · 2022 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: EUの実質的支配者登録簿への無条件の一般公開アクセスは、EU基本権憲章7条・8条(プライバシー・個人データ保護)に対する不均衡な干渉にあたるとして違法と判断し、「正当な利益」を示せる者(報道機関やマネーロンダリング対策関連の研究者等)に限定するよう差し戻した。全国集約されたデータベースを構築しても、公開範囲をめぐる論争が終わるとは限らないことを示す事例である
  21. 22法人ベース・レジストリの利用開始についてデジタル庁デジタル社会共通機能グループ(2025年6月13日閣議決定「公的基礎情報データベース整備改善計画」を引用) · 2026 · accessed 2026-08-15裏付けた主張: 日本の法人ベース・レジストリは2026年3月24日に稼働を開始した。添付書類省略・申請項目の自動入力・変更届出省略・登記事項証明書の代替という4つの活用場面だけで、5年間累計約448億円の便益を見込んでいる

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